<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:61
プロフィール:地方都市の再任用公務員として勤務する61歳男性です。自職を継いだ方をサポートしているのですが、これがなかなか...。
私は2022年3月に定年退職を迎え、同4月から役場の再任用職員となりました。
退職前の職場であった広報課に引き続き勤務し、私の後を引き継いで広報担当係長となったAさん(50代)の相談役を務めています。
ただこのAさん、かなりクセが強めの人物で、私は相談役としてほぼ機能できていません。
というのもAさん、独特の感覚や記者魂をお持ちで、従来の広報誌の在り方にいたく不満を感じているのです。
その不満タラタラの広報誌を仕切っていた私には、もはや敵対心のような感情があるのでしょう。
私の助言はことごとく否定されてしまいます。
結果、いろいろなトラブルを引き起こすことも...。
「いやあ、英断! いよいよ学校はマスクを外すそうですよ!」
Aさんが興奮した調子で話したのは、4月初め、町の小学校に新しく赴任されたB校長(50代)のインタビューから戻ったときのことです。
昨年、小学校の運動会の取材中、こんなことがありました。
Aさんは「競技中も子どもたちはマスクをさせられていました。文科省の方針と違いますよね。これは健康被害が懸念されますよ」と、学校の対応を強く非難する記事を提案。
そのまま掲載するのはまずいと判断し、すったもんだの挙げ句、そういう声もありますね、と落とし所を見つけた記事にしてなんとか収めました。
まあ、Aさんはそれくらい学校のマスク着用に否定的な意見を持っています。
広報誌的には新たに赴任された校長先生の取材は定番なのですが、あの定番嫌いのAさんがB校長に「自ら取材する」と言ったあたりから嫌な予感はしていました。
そして、嫌な予感は的中。
Aさんが書いてきた記事には...。
「先進的なB校長、わが町の古い考え方を一喝。マスクに煩わされない快適な学校生活の回復へ!」という見出しが踊っていました。
「なかなか思い切った発言をする校長先生が赴任されたんですねえ...」
記事の下書きを見て、広報課長(50代後半)と話したほどでした。
ところが、この下書きを見たB校長から、その日のうちに教育委員会に強い申し入れがありました。
「文科省や県の指示も受けながら徐々に、という話をしただけなのに、新年度からマスクをしている児童がいなくなるみたいな書き方は主旨に沿っていない!」
どうやら、Aさんが発言を盛りまくったようです。
「やっちまったか、Aさんの言葉を鵜呑みにしてしまった」と私と広報課長は後悔し、広報課長がお詫びがてら、B校長に話を伺うことになりました。
「都市部の学校はもうマスクなんかしていない、マスクで感染が防げるというのは確証に乏しい、など言った覚えのないことまで書かれていて困る」
「対話のある学校づくりという大事なメッセージに時間を割いたはずなのに、ごっそり抜け落ちてしまっている。そこはぜひ掲載してほしい」
広報課長はこのようなことをB校長から言われてしまいました。
課長と私の2人でAさんを呼び、事情を話したのですが、Aさんは明らかに不満そうでした。
「取材内容をどう記事にするかは編集側の専決事項じゃないんですか? ああ、つまり、ここも忖度ってわけなんですね...」
吐き捨てるように言い、とにかく書き直しだけは承諾してもらいました。
「あの分じゃ、すぐに穏便な記事にはなりそうもないな...すまないですねえ、なんとか添削してやってください」
体よく難役を課長に回されてしまいました...。
最終稿が出るまで、また説得の日々が始まりそうで憂鬱です。
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