<この体験記を書いた人>
ペンネーム:さぽらぼ
性別:女
年齢:49
プロフィール:ずーっと独身、会社員。入院したのは、小学生の頃に魚の目を取った時以来。
45歳のときのこと。
心筋梗塞の疑いで救急病院に入院&カテーテル検査&ICU入りしました。 幸いにも心筋梗塞ではなかったのですが、異常なのは間違いないのでICUで1週間過ごしたあと、めでたく一般病棟へ移動したとき体験した話です。
私は最初から個室を希望していたのに、通されたのは4人部屋でした。
自分は窓際のベッド。向かいには90歳超えというのに、上品でシャキッとしたAお姉様。私の隣には「昨日、転んじゃって」と腕を吊っていた、お茶目な80代くらいのBお姉様。斜め向かいには、ずーっとカーテンを閉めて寝たままの、70代くらいのCお姉様がいらっしゃいました。
部屋に移動した当日にはAお姉様とBお姉様とで、窓際でちょっとだけおしゃべり。
Aお姉様のお住まいがここから見えるのよ~とか、Bお姉様の主治医は私と同じ医師で、先生のお陰で私は助かったのよ~とか、穏やかなひとときを過ごしました。その間Cお姉様は、静かにベッドで寝ていらっしゃいました。
楽しい時間が過ごせたので、もしかしたら私、個室じゃなくても大丈夫かも......と希望を抱き、その夜は朝までバタンキュー。
しかし、事件は次の日の夜に起こりました。
消灯後まもなく、どこからかゴソゴソ、ゴソゴソ......隣のBお姉様のベッドからでした。スーパーのビニール袋がこすれる音が、部屋じゅうに広がります。
ナースコールで呼んだらしい看護師さんとの会話によると、どうやら使いたいタオルが見つからなくて探していたようなのです。なぜこの時間?
いつまでたっても隣のゴソゴソは止まず、すっかり寝る気を失った私は院内散歩へ。戻る頃には終わっているだろうと思いつつ、30分後に戻ってみるとまだ探していました。
そのまま更に2時間ほどガサゴソが続いたあと「あった」。
これで寝られると思いきや、今度は戸棚やそこらじゅうの引き出しをバタバタ開けだします。なぜこの時間?
再びナースコールで飛んできた看護師さんとの会話「私、お財布盗まれたみたい」......これって、どこかで聞いたことあるような......もしかしてBお姉様は認知症!?
この後数回、戸棚バタバタ→ナースコールの繰り返し。
そしてやっと「財布、あったあった」。安心したのでしょう、今度はものすごいいびきが響き渡りました......。
明け方、やっと私もウトウトしかけたところで起床のチャイム。まぁまだよいかな......とまどろんでいたら、いきなりくだんのBお姉様側のカーテンが開いて「朝だよっ!」
さすがにムカついて「いきなり開けるのは止めてください」と言ってカーテン閉めました......。結局、一睡もできませんでした。
これはもう私ダメだわと思い、看護師さんの朝の回診時にコッソリ「個室にしてほしい(隣指差し)」と訴え、無事移ることになりました。そして皆さんにお別れのご挨拶をしました。
Aお姉様はちょうどこの日が退院の日。2日しかご一緒しなかった私にも「ティッシュを使って」とお気遣いいただき、昨日Aお姉様が咳込んだときに見舞いに来ていた母が背中をさすってくれたと、とても喜んでいらっしゃいました。そして「咳がうるさいと言われたこともあって(←Bお姉様発信)......だからお母様のお気遣いがとてもうれしかった」と。私も喘息持ちなので、そのつらさ分かります。最後まで謙虚でかわいらしいAお姉様でした。
朝には「あんた昨日うるさかったね!」とBお姉様に言ってくれたCお姉様、私の手を取り「お元気になってね、私も転院の手続きを息子に取ってもらっているんだけど、なかなか決まらなくて......」と延々ループの身の上話を始められました。私はベッド脇にホスト体制で40分。Cお姉様はこんなにおしゃべりしたかったんだ! その間にも、私の荷物が外に出されていく......。
私はCお姉様に「きょうはAお姉様退院だから、カーテン開けてみては?」と言うと「Aお姉様が退院後も、また次の人が入るから開けられない」と。遠慮した末の引きこもり状態だったようです。薄暗い中で1日じゅうこんなに我慢していたら、治るものも治らないのでは......と気の毒になりました。
Aお姉様、Cお姉様に忖度を受けていたBお姉様。Bお姉様とは特に会話も続かずご挨拶だけで終わってしまったのですが、どうやら私が部屋をうつったのは自分が原因だと感づいたらしく、私が個室に引っ越した後に、受付で何かを探っていたようです......怖い。
たった2日の4人部屋での生活。
自分の30年、どんな「お姉様」になるのだろう......と考えさせられる経験でした。
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