相部屋の空きがなく個室になると毎月15万円以上が必要「老人保健施設」/介護破産(33)

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介護のために資産を失う「介護破産」が最近話題となっています。実は介護破産の原因には、単に資産の多寡だけでなく、介護に関する「情報量」も大きく関わってくるのです。
本書「介護破産」で、介護で将来破綻するような悲劇を防ぐための方法を学んでいきましょう。

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前の記事「特別養護老人ホームの場合、自己負担額は月5~8万円(相部屋)が相場/介護破産(32)」はこちら。

老人保健施設

老人保健施設といわれる施設は、原則、在宅復帰を目的にする高齢者を対象としている。病院から在宅に戻るには、もう少しリハビリなどが必要な高齢者が、3~6か月程度の期間入所し、在宅介護に向けて療養するための公的施設だ。

総費用は特別養護老人ホームと同様で、相部屋であれば、毎月、総額5~8万円である。
ただし、相部屋は大都市などでは空きがなく、個室しかないといわれるケースがある。個室となると、毎月15万円以上が必要となる。ただ、いずれ退所しなければならない点が特別養護老人ホームと異なる。

また、病院ではないため限界はあるものの、老人保健施設では医師が一人常駐し、看護師も多く配置されるため、比較的軽度な医療的ケアをともなう介護が可能である。特別養護老人ホームでは、医療的ケアをともなう介護の受け入れはかなり少ないが、それに比べると老人保健施設は受け入れ体制が整っている。

在宅介護が難しい高齢者は、できるだけ長く入所したいとの希望もあり、特別養護老人ホームの代替施設のように利用されているケースもある。都市部の高齢者によっては、老人保健施設を転々としながら、特別養護老人ホームに入所できる順番を待っている人も多く、原則、在宅介護を目指す施設でありながら、長期入所を希望する高齢者は少なくない。
そのため、地方によっては1年以上入所できる施設もあるものの、あくまで終身型の施設ではない。

 

認知症を対象としたグループホーム

グループホームという、民間が運営する小規模な施設もある。おもに認知症高齢者を受け入れる施設であり、地域密着型サービスの一つとして位置づけられる。

基本的には自分が住んでいる自治体内の施設しか利用できない(ただし、住所地以外の施設でも、自治体間で協定が結ばれていればその限りではない。また、入居希望施設のある自治体に親族が住んでいれば、入居可能な場合もある)。
原則、個室になっており、9~18人程度で生活する施設である。入所者が共同で食事をつくり、レクリエーションなどを楽しむことを目的としている。住み慣れた地域内の高齢者施設として位置づけられる。

利用料は、入居金が無料~20万円と施設ごとに幅があり、毎月平均して12~18万円前後が相場となっている。なお、この金額には「家賃」「食費」「光熱費」「介護保険自己負担分(1割)」が含まれている。このように料金に幅があるのは、都市部か地方かで物価が異なるためだ。
地方では土地代が安いため毎月の利用料も低いが、都市部では次に紹介する有料老人ホームと変わらない水準となっている。

入所条件としては、認知症の診断がなされ、要支援2、もしくは要介護1以上の要介護認定の判定を受けている者となっている。グループホームは比較的空きがある施設が多く、入所は難しくない。

  

次の記事「高級なイメージのある「有料老人ホーム」は生活保護受給者も利用している/介護破産(34)」はこちら。

結城 康博(ゆうき・やすひろ)
淑徳大学総合福祉学部教授。1969年生まれ。社会福祉士、介護福祉士、ケアマネジャー。地域包括支援センターおよび民間居宅介護支援事業所への勤務経験がある。おもな著書に『在宅介護――「自分で選ぶ」視点から 』(岩波新書)、『孤独死のリアル』(講談社現代新書)、『介護入門 親の老後にいくらかかるか? 』(ちくま新書)など。

村田くみ(むらた・くみ)
ジャーナリスト。1969年生まれ。会社員を経て1995年毎日新聞社入社。「サンデー毎日」編集部所属。2011年よりフリーに。2016年1月一般社団法人介護離職防止対策促進機構(KABS)のアドバイザーに就任。おもな著書に『書き込み式! 親の入院・介護・亡くなった時に備えておく情報ノート』(翔泳社)、『おひとりさま介護』(河出書房新社)など。

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『介護破産』
(結城 康博、村田 くみ/ KADOKAWA)

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