<この体験記を書いた人>
ペンネーム:まさかず
性別:男性
年齢:44
プロフィール:部下との距離の取り方に悩むコールセンターのマネージャー。
私はコールセンターのマネージャーになって6年になります。
この間で、部下のマネジメントの方法も変わりました。
マネージャーになり立ての頃は、部下の面談は半年に1回程度。
話題は主に仕事の進捗・成果の確認でした。
しかし、ここ2~3年の間に「1on1ミーティング」という手法が推奨され始めました。
マネージャーには、月1回もしくはそれ以上の頻度で部下と1対1のミーティングを行います。
また、話題は上司から振るのではなく、部下が自発的に話す内容にすることが求められます。
とは言え、立場は上司と部下で、しかも大半は女性。
立場が違う男女で「はいどうぞ」と言って、いきなり話すことができる人は稀です。
部下が話しやすい雰囲気を作るため、他愛もない雑談から始めることになります。
天気や通勤時の出来事など当たり障りのない世間話をしていたのですが、回を重ねるうちにそれでは盛り上がらなくなり、次第に私の自己開示も必要となってきました。
あるとき、同年代の女性の部下とニッチなスポーツ観戦が、共通の趣味であることが判明したのです。
「休日とかはどんなことをして過ごしているのですか?」
「いや。恥ずかしくて言えませんよ」
ここで「ああ。そうなんですか」と引き下がるわけにはいきません。
「私だって、あまり人には言っていない趣味があるんですよ。実は〇〇が大好きなんです」
「えー!? 実は私も十年以上〇〇を見てるんです。先週の△△はすごかったですよね?」
「△△見た? あれはそこに至るまでにああでこうで...」
そうなると、その次の面談の冒頭でもその話題を振ることになります。
「コロナで無観客が続いてましたが、最近は徐々に観客数も増えてきて、やっぱり生で観たいですよね」
「いや。実はテレビ専門で現地で生観戦したことはないんですよ。一度行ってみたいと思っているのですが、機会がなくて...」
その部下は現地観戦をしたことがないとのこと。
当然、スポーツは生観戦に勝るものはありません。
「それはいけませんね。すごく詳しいし、一緒に行くと盛り上がりそうですね」
「ぜひ行ってみたいです」
こんな社交辞令の会話も挟むことになります。
そんな中、同僚ではない友人と久々に観戦の話が持ち上がりました。
当初は友人3人で行くつもりが、1人が急遽行けなくなり、その他の友人に声を掛けてもスケジュールが合わず、チケットが1枚余ることに。
そこに例の部下との面談がやってきます。
「今度、生観戦することになったんですよ。でも友人が1人行けなくなってしまって」
「え? それ行きたいです!」
「いや。でも私の友人もいますよ?」
「マネージャーがいれば大丈夫です」
友人に聞くと、共通の趣味を持っている新しい人と会うのは楽しみとノリノリ。
そうして部下を交えて3人で行くことになりました。
当日は、久々の生観戦での迫力を体験し、友人も部下も私も大いに楽しみました。
特に私は、家族と離れて好きなスポーツを観戦したことや、部下の意外な一面が見られたことなど、いろいろな刺激が交錯しました。
そして翌月、また面談がやってきます。
「この前の観戦、楽しかったですね。お付き合いいただいてありがとうございました」
「初めて生で観てすごかったです。テレビとは全然迫力が違いますね。ますます好きになっちゃいました」
こうなると誰もが「また行けるといいですね」と言いたくなると思います。
友人も部下を交えてまた観に行こうと言っていますし。
結局、スムーズに面談するための余談にすぎなかったのに、友人関係に異性の部下が1人加わった状態になってしまいました。
この先、上手くこの関係を維持できるものでしょうか。
上司として、一緒に行くのは失敗だったのかもと少し後悔しています。
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