<この体験記を書いた人>
ペンネーム:マナ
性別:女性
年齢:42
プロフィール:10歳の息子、夫と3人暮らしのフルタイムワーママです。
数年前から少しずつ進行してきた父(72歳)の認知症。
近頃は昼夜の区別がつかなくなって、徘徊して行方不明になり、何度も警察のお世話になっていました。
5月頃になるとその頻度はますます増え、自宅から車で1時間以上かかる場所へ歩いて行ってしまうことも...。
私たち家族は、兄も私も実家から離れたところに住んでいるため、頻繁には帰れません。
デイサービスを探したり、入所できる施設を探したりしていましたが、すぐには見つかるわけもなく、困っているときにまた警察のお世話になったのです。
事情を知らない警察の方に母はかなり注意されたようです。
「なんで徘徊についていかないの」
「なんで家から出さないようにしないの」
「24時間見張っていないと」
母は、自分の不甲斐なさと常に周りに謝っている状況で、かなり落ち込んでいました。
警察の方から「お母さんでは話にならない」と、私のところにも電話がありました。
同じことを言われて注意されたので、私は「施設を探している」「申し込みもしている」「介護認定が上がらないと入所できない」「入所できるところは費用が高過ぎて入れない」と説明しました。
そして、事情を知らないくせにという苛立ちから、つい強い口調で詰め寄ってしまいました。
「どうしたらいいですか? 母が一人で24時間見張るのは無理があります。でも私たちが仕事を辞めてしまったら、生活できないし、入所もさせられないんです」
「QRコード(自治体などが行う、徘徊する高齢者を見つけた際、身元を特定するための見守りサービス)などもつけたりしているんです!」
警察の方も困った様子で「探していただいているなら結構です。現状、家族の方に任せるしか方法はないので」と言われて電話は切られてしまいました。
警察の方はあくまでも仕事として注意したのだと思いますが、私たちにとってはとても辛かった出来事でした。
そんな八方ふさがりだった中、事態が好転していきました。
それは、やっと見つけたデイサービスの職員さんたちのおかげでした。
通い始めた施設の職員の方々は、本気で父が楽しめるようにいろいろなアクティビティを考え、父に合う声がけをしてくれました。
緊急で別の施設に入所させなければならなくなったときも、一緒に探してくれました。
役所や施設へ連絡してくれたおかげで、特例として緊急入所することもできました。
自分たちとは関係なくなるのに、ここまで相談に乗ってくれるなんて...。
通い始めたばかりで、数回しかお世話になっていない他人に対して、ここまで考えてくださる人たちがいることに感謝しかありませんでした。
父に認知症の症状が出てからは、ネガティブな言葉ばかり耳にしていました。
「なんでこんなところで粗相させるの?」
「なんで家に連れて帰らないの?」
「なんで? なんで?」
そんなことばかり言われて心が疲弊していました。
でも、この施設の方たちに出会って本当に救われました。
入所が決まってからお礼に伺ったときも、職員の方みんなで家族のこれからのことを本気で考えてくれて、応援までしてくれました。
今までいろいろ辛いことはあったけど、まだまだ世界は優しいんだな、と感じた出来事です。
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