<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:60
プロフィール:この春に定年退職し、後任の係長の助言役となったのですが、この方がなかなかの曲者で困っています。
定年退職した私の後任として広報係長になったAさん(50代後半)。
同じ広報課ではありますが、企画係にずっと携わってきた方で、広報誌の編集は未経験でした。
再任用された私は彼の助言役を任ぜられたのですが、Aさんは私の助言に聞く耳を持ってくれません。
「私のやり方で...」が口癖で、何かにつけてトラブル続きです。
2022年の5月から6月頭は、コロナの影響も下火になり、町内の小学校の運動会や中学校の体育大会が目白押しでした。
昨年までは保護者の参観も限定的でしたが、今年はかなりオープンになりました。
しかし、まだまだ感染が抑え込まれてはいないので、各学校とも工夫をこらしての実施です。
町の広報誌としても、町民の大きな関心事としてこの取り組みや工夫を大きく取り上げることにしました。
各校の運動会などに広報係の職員が出向き、久々の行事を精一杯楽しんでいる子どもたちや保護者の様子、関係者の感染防止の取り組みなどを取材してきました。
「...子どもたちのマスク、過剰じゃないかねえ?」
取材内容を検討する中でAさんがふと呟いたとき、背筋に悪寒が走りました。
彼の「ジャーナリズム精神」が暴走する予感を感じたからです。
「熱中症の危険があるからと文科省も外すことを勧めているはずでしょう? なのに子どもたちはマスク着用を強制されていたじゃないですか」
私は教育委員会での勤務経験もあるので、学校の事情にもそれなりに詳しいつもりです。
Aさんの疑念に異議を唱えました。
「いや、競技中は外させていましたよ。感染を恐れるあまり、子どもたち自身が外したがらないという話もよく聞きますし...」
広報係の他の職員たちは私の話をうなずきながら聞いてくれましたが、Aさんは違いました。
「いや、これは大問題ですよ。子どもたちの健康被害は無視できない事態です」
そう主張し、その後に学校や教委を批判するような記事内容を提案してきました。
しかし、この記事はうわさになり、教育委員会の耳にも届き、記事内容の再考を促す要望が寄せられました。
「いやあ、参ったよ。Aさんにも一応話してはみたんだけど、身内だからといって擁護するような歪曲はできません、って意固地でさあ...」
広報課長(50代後半)はそうぼやきながら、私にAさんの説得を頼んできました。
「私の言うことを聞くとは思えませんけど...」
「そう言わずに、なんとか広報誌の役割というところをさあ...」
気は進みませんが、役割がある以上拒否しきれず、Aさんに改めて助言をしました。
「いろいろ考え方があることだし、問題があるなら改めて関係部局に提起する形で進めたほうがいいんじゃないですか?」
「...そんなことだから広報誌がなめられるんじゃないですか? 今度の教委の申し入れだって典型的な『臭いものには蓋』じゃないですか」
相変わらずAさんは頑なです。
まあ、暴露系の週刊誌ならそれも大事なのでしょうが、Aさんが作っているのは町の広報誌です。
「いや、だとしても一方的な批判と言うのは...」
「ウジさん、元教委でしたからね。彼らに同情的なんじゃないですか?」
こんな調子で助言は全く受け入れられず、記事はAさんの提示した方向性のまま起案されてしまいました。
「このまま通す訳にはいかないなあ...でも、差し戻しじゃAさんも納得しないだろうし...」
課長と2人で頭を抱えています。
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