アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。現在は夫婦二人と2ニャンとで暮らしています。私の嫁時代の体験を思い出しながら書いています。
【前回】「あの! 今心臓が止まりまして!」舅の暮らす介護施設から夜中の電話/かづ
【最初から読む】アッシー・メッシー・貢君だった彼が突然父に結婚の挨拶! 夫との馴れ初め/かづ
「あ、あの! 今、舅さんの心臓が止まりまして! 救急隊が来て心臓マッサージをしながら病院に向かっています! すぐに来ていただけますか!」
電話の相手は一生懸命焦った口調でしゃべってはいるが、それが一体誰の事を言っているのかが理解出来ない。
わずかに 「呼吸が止まって」 「救急隊を要請して」 とは聞こえているものの、頭が理解出来ていない。
私は 「はぁ~...はぁ~...」 と、相槌だけを打つ。
隣のベッドで寝ている夫は 「あん? 誰や? なんや?」 と、いぶかしげにこちらを見る。
話の内容が理解出来た瞬間、私は「はい! はい!!」としか言えなかった。
とりあえず現時点では呼吸停止状態なので、救急隊が到着して甦生処置しながら病院へ搬送しているが、搬送先が解った時点で連絡するから、すぐに出られる様に準備して待っていてくれとの事だった。
電話を切った瞬間、私の口から出た言葉は 「じいちゃんが死にかけてるて!!」 だった。
夫は飛び起き、私も着替えしながら今の電話で聞いた通りの状況説明をした。
息子達を起こし、状況を簡潔に説明し、後の指示を待つように言う。
着替えが終わったのと同時に、電話が鳴った。
「甦生しながら○○病院に向かっています」
夫は自分の車で行く気だったが、病院に着いた時点で夫には一番に降りて貰わなければならない。
駐車スペースに駐車する間も惜しい。
私が運転し、私の車で行く事にした。
病院に着き、夫を救急入り口で降ろし、私は駐車スペースに車を停めた。
私も走って救急外来に入る。
そこにいたのは、気道に送管され、心電図などの機器が付けられ、胸骨が折れんばかりに心臓マッサージを受けている舅だった。
先に入っていた夫は、医者からもうこれ以上何をしても戻る事はないと言い渡され、実の息子である夫が納得いってくれれば甦生処置を止めるという。
もう、ダメだと言う事は一目で解る状態だった。
夫の 「解りました」 と言う言葉に、 医者が 「ご兄弟様は他には?」 と聞き、夫が自分は一人っ子だと言うと 「ご納得いってくださいましたか?」 と言った。
その言葉の後に、 私は 「私は納得がいかん!!」 と言いかけた。
でも、どう見てもダメな状態は私でも解る。
救急隊員が、医者からのストップを待つかの様な表情をこちらに向けながら心臓マッサージを続けている。
夫が更に 「解りました」 と言った後、 医者が救急隊員に 「ご家族がご納得いってくださいましたから」 と言い、それを聞いて心臓マッサージは止まり、舅に付けられていた色んな器具が外されていく。
医者は、夫だけが「解りました」と言ったのに、「ご家族がご納得いってくださった」と言った。
私には聞かない。
私も家族だ!!
それも、家族の中では一番時間を共有した人間は私だ!!
私が一番じいちゃんを知っている!!
私が一番じいちゃんとしゃべってる!!
なんで夫が決めるんだ?? なんで夫一人の決断でイイんだ!!
これが、近親者・血縁者という事だと、悔しいほど思い知らされた。
私は夫と結婚する際に、義両親に養子縁組をして貰っていないので、当然相続権もなけりゃ夫と同じような権利がない。
いくら面倒をみようとも、こんな時の決定権は夫にしかないのだ。
数時間前に笑って話し、来週や来月の面会の約束もしてきた舅が亡くなった事を私自身が全く受け入れられず、心の整理をつける為に仮通夜・本通夜と1日時間が欲しいと夫にはわがままを言わせて貰った。
仮通夜の晩、私は舅の枕元でひたすら 「なんで死んでもたんよ...」 「じいちゃん、目ぇ開けてぇな...」 と語り続けた。
葬儀に関しては夫が一人っ子なので、物事を決めるのには全く困らない。
けれども、誰も手伝ってくれないので、肉体的には物凄くしんどい。
夫が色々と電話をしている最中に、葬儀場の係の人からは、あれこれと決める事の話がある。
姑には兄弟姉妹が4人いて、舅には7人いる。
それぞれに子ども、いわゆる夫からしたらイトコがいる。
姑の葬儀の時もそうだったが、誰も皆口を揃えた様に 「通夜・葬儀の予定が決まったら連絡して。行けると思うから」 だった。
「行けると思う??」
思うじゃねーだろ!! 絶対に来るもんだろが!!
不人情だと思うだろうが、姑が生前に散々親戚中に言いたい放題していたので、実質我が家だけが親戚扱いされていなかったからだろう。
親戚たちの中には、当然舅の弟や妹がいる。
それでも、 「お通夜は5分前でイイ?」 と聞いたり 「葬儀には仕事で行けないが、その後の仕上げ料理には顔を出す」 と言ったり 「腰が痛いから迎えに来てくれるなら行けるけど...」 と言うヤツばかりだ。
姑の葬儀を思い返し、想定はしていたものの 「かづさん、1人で大丈夫? 手伝いに行こうか?」 なんて言う人は1人もいない。
昔から冠婚葬祭だけは、村八分でも付き合いすると言われるが、夫の親戚にそんな事をしてくれる人は誰一人いない。
よっぽど親戚から嫌われていたんだと、よく解る。
姑の葬儀の際に私も学習したので、舅の葬儀は淡々と執り行えた。
一緒にお骨上げに行く人がいないなら、焼き場に行くマイクロバスの手配はいらないし、飲食関係も久しぶりの親戚の宴会じゃないんだから、食事は姑の時に比べてワンランク落とし、酒類は「テーブルに出ている限り」にした。
「どのみちこれ以降付き合いはないのだから」と、私は心の中でつぶやいた。
とりあえず滞りなく葬儀も終わり、ホッと一息と言う所で自宅に帰った。
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