<この体験記を書いた人>
ペンネーム:にな
性別:女
年齢:46
プロフィール:たまに将来を不安に思ったりしている独身フリーランスです。妹と2人暮らし。
1年ほど前まで乗っていた朝の通勤電車で、毎日ちょっと困った男性に遭遇していました。
同じ電車の同じ車両に、私が乗車する駅の次の駅から乗ってくる40代前半くらいの男性です。
男性は決まって、ドアが開くと同時に左足を引きずりながら手すりを伝って猛スピードで優先席の方へ滑り込みます。
朝のラッシュ時なので、優先席といえども、いつも空席などひとつもありません。
その男性は滑り込むなり、優先席に着席している一人ひとりに、片っ端から顔をくっつきそうなほど近づけて、かなりの大声でこう言うのです。
「ケガしてるんで! どなたかお願いします!」
妊婦さんやヘルプマークの人にも全くお構いなし。
寝ている人には下から覗き込むように顔を接近させ、大声を出します。
うわぁ、こんなことされたら気持ち悪いなぁ、絶対に唾も飛んでくるでしょ...なんて思いながら私は毎日その様子を見ていました。
しかも感染症が拡大してからも男性の行動は変わらず...。
その男性もさすがにマスクはしていましたが、それでも相当に気分は悪いですよね。
寝ていた人も、ここまでされたら起きてしまうのではないかと思っていたのですが、ほとんどの方は、意地でも寝たふりを続けていました。
その車両は前方と後方に優先席があるので、誰も譲ってくれないと反対側まで満員の乗客の身体を押しのけて移動し、また同じように大声を出して席を求めて回ります。
私も反対側に移動する男性に押しのけられたことがあり、背中をべったり触られて本当に不快でした。
そんな状況のなか、いつも同じ優しそうな男性2名ほどが席を明け渡すことがほとんどでした。
席が確保できるとケガの男性は、着席から5分間くらい大声で「あー足が痛い」などと言い続け、その後に少しスマホをしてから寝静まるのがお決まりでした。
そして、ある日から着席後のルーティーンに、いったい何年同じ袋を使ってるんだよ! と突っ込みたくなるほどボロボロの処方薬の紙袋を、カバンから出し入れする謎の行動が追加されたのです。
ちなみにその男性、乗ってくるときは足を引きずっているのに、降りるときはいつも何不自由ない様子で降りていきます。
そのため私は「この人なんか胡散臭いな」と思っていましたが、その追加ルーティーンが私の中でさらに胡散臭さを助長することに...。
そんな状況が1年くらい続き、毎朝同じ車両に乗っているメンバーの間でも「さすがにこの人のケガは嘘だろう」という雰囲気になっていました。
男性が現れるとスマホを見ていた人も一瞬冷ややかな視線を男性に向けた後、スマホをやめてみんな寝たふりに入るという状況ができあがっていました。
とうとう、いつも席を譲っていた優しそうな男性たちでさえ、あの男性には席を譲らなくなっていきました。
するとある朝からその男性は首にサポーターを巻いて現れるようになったのです。
「作戦変更かよ!」と、私は心の中で盛大に突っ込まずにはいられませんでした。
そして、普段は見かけない乗客を狙って、また顔を接近させ大声で優先席を譲るよう迫ります。
ちなみに作戦変更の前日まで派手に引きずっていた足は、その日からピンピンしている様子。
みんなが顔見知りのようになる朝のラッシュ時に、ここまで捨て身で席を確保したいなんて、いったい何が彼を突き動かしているのでしょうか。
しかも、その男性の乗車時間はわずか20分です。
本当に怒りを通り越してただ呆れるしかありません...。
現在は職場が変わり、同じ電車に乗ることがなくなったので、あの男性がどうしているかは分かりませんが、もうやめてくれていることを祈るばかりです。
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