<この体験記を書いた人>
ペンネーム:むらまゆ
性別:女
年齢:44
プロフィール:主婦です。祖父は2021年4月末に93歳で急逝しました。
私は44歳の専業主婦です。
母は67歳で年金生活をしています。
母方の祖父は2021年4月末に93歳で急逝しました。
祖母は6年前に85歳で死去しています。
38年前の1983年に母が離婚しました。
原因は父(当時32歳)の度重なる金銭問題です。
弟(当時3歳)は父方へ引き取られ、私は母方に引き取られました。
なぜ私と弟は切り離されないといけなかったのかお話しします。
父母が離婚したとき母は29歳、私は6歳でした。
母があるとき、突然1人で実家へ帰ってしまい(祖父母へ離婚報告をするためと後日わかりました)、私はその間父方の祖母(当時50代前半)と父と弟と暮らしていました。
父の実家へ行った私は、実家近くの小学校に通うことになりました。
父から「2学期からはここに通学するんだよ」と言われたのを覚えてます。
しかし2学期になる直前、突然父から「これからはお母さんと暮らしてね」と言われました。
そして母の実家で暮らすことになったのですが、そこに弟はいませんでした。
母に「なぜ弟はいないのか」と聞きたかったのですが、そのころの母はずっと泣いていました。
この話を母に聞いてはいけないと悟った私は、祖父に聞いたのです。
「長男だから弟は父方の人間が手放さなかった。娘はいらないと押しつけられた。しょうがなく引き取ってあげたんだから感謝しろ」
祖父が言う「長男」がどんな意味を持つのか当時の私には意味がわからない部分もありましたが、「しょうがなく引き取った」「いらないと押しつけられた」という言葉はわかりました。
「私はいらない人間なんだ」という思いが、そのときから今も続いています。
そして月日は流れ、この間の祖父のお葬式のときです。
伯母(70歳)が「実は言えなかったことがあるんだけど...」と母に話し始めました。
「私は『兄弟はバラバラにしてはいけない』と言ったのね。そうしたらお父さん(祖父)は『あいつ(母)はまだ若いし、再婚の邪魔になるから弟の親権は放棄させた。でも娘(私)なら義務教育が終わったら嫁に行かせることができるからやぶさかでない』って言ってたの...。あまりにもひどいからあなたに言えなかった...」
それを聞いた母は驚いていました。
母自身は祖父から「お金がなくて姉弟2人とも引き取れなくて申し訳ない」と頭を下げられていたというのです。
「だからそれ以上何も言えなかった...。私は娘さえいれば生きていけると思ったから」
叔母の話を聞いた母は、そうつぶやきました。
祖父は私と母と叔母に対し、全く違う説明をしていました。
そして3人ともお互いを気遣ってそのことを話さなかったため、祖父の真意を知らなかったのです。
別れてから38年がたちましたが、父と弟とはあれから一度も会っていません。
弟は当時3歳と小さすぎたので、母や私のことなど覚えていないかもしれません。
離婚原因を作った父とは会いたくありませんが、私は生きている内に弟に会ってみたいという夢を抱いています。
私と弟を引き離したのは、紛れもなく祖父でした。
だから祖父のことは父と同様に許すことはできません。
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