こんにちは。斗比主閲子と申します。
アラフォー、既婚、複数人の子持ち、二世帯住宅在住、富裕層(※)です。
※富裕層は純金融資産1億円以上の世帯(野村総研定義)
【前回】後で揉めたくなければ親が元気なうちに! 家族全員の前で相続を切り出すべし/斗比主閲子
【最初から読む】現在「富裕層」の私がいかにして危険な姑との二世帯住宅に住むことを決めたか/斗比主閲子
前回は親が元気なうちに相続をどうするか切り出すことをお勧めしました。
結果、ありがたいことに、Twitterで複数の人から実際に親に話をしてみたというリアクションがありました。
記事を読まれた方も実践したか、いつかやろうと思われた人はいるんじゃないかと思います。
前回の記事では最後のほうに「介護に関わった人とそうでない人で相続に不平等感が生まれやすい」と書きました。
これ、実際に経験している人はたくさんいるんですけど、意外に意識されずに、同じことが世の中で起き続けているんですよね。
より多くの人が介護前に相続の話をするように、今日は私の母の実際の体験談を紹介します。
私の母は義理の親、つまり私の父の実の親と二世帯住宅で暮らしていました。
もともと父の両親は夫婦だけで暮らしていたものの、夫である私の祖父が亡くなったことをきっかけに、誰かが祖母と一緒に暮らすかということが父のきょうだいの間で持ち上がりました。
父のきょうだいの間でどのような議論が行われたか、幼少期の私は正確なところは把握していません。
ただ、後に聞いたところでは、祖父母が住んでいた土地を地主から買い上げて、同じ場所で二世帯住宅を立てられる資力があったのは父だけだったからなようでした。
祖母が元気なうちは二世帯住宅での暮らしは、母にとってそれほどストレスではなかった印象です。
まあ、私がおばあちゃんっ子で、祖母からとてもよくしてもらっていたから、祖母の悪いところが目に入らなかったというのもあるでしょうが。
少なくとも、母と祖母が分かりやすい嫁姑戦争をしているところは見た記憶がありません。
ただ、祖母に認知症の症状が出てくると話は変わります。
祖母自体が嫌味を言ったり、怒鳴ったりするような人ではありませんが、頻繁に「自分のお金がなくなった」「誰かに盗まれた」と言い出すようになりました。
また、食事をしたことも正確に覚えておらず、近所の商店で揚げ物を買っては食べ血糖値を上げまくるような不健康な食生活にもなっていきました。
当時、父は日中はフルタイムで働いていましたから、祖母の世話をするのは必然的に専業主婦であった母の仕事になりました。
夫の家に嫁いだ専業主婦の妻が、夫の両親の介護をするというのは非常によくある話で、私の母もそうしたということです。
私の母が不幸中の幸いだったのは、介護の対象は祖母だけだった点でしょうか。
現在、高齢の義理の両親の介護をされている方は、本当にお疲れ様です。
確か、母が祖母を介護していたのは十数年程度だったと記憶しています。
徐々に認知症が進み、家から突然出て行くことが増え、火を付けたまま忘れるようになりガスを止め、大量の食事を買ってきて食べ過ぎたり腐らせたりするから財布を母が管理するに至り、もう限界というところで、有料老人ホームに入居してもらうことになりました。
話は変わりますが、祖母がデイ・ホームで麻雀に明け暮れ、男性陣からモテている話を私は祖母から聞かされていて、「年を取っても自分が誰かに認められるというものは嬉しいものなのだな」と感慨深げに思った記憶があります。
脱線しました。
有料老人ホームに入る際は、父のきょうだいからは特に何のサポートもなかったため、どこに入居するかを私がパンフレットを集めて金額を比較して、母が実際に内見をして、交通の便と値段と感じの良さから選びました。
その後、ホームに入居してしばらく健康的に過ごすも、祖母は平均寿命程度で亡くなりました。
で、本題は祖母の遺産相続です。
二世帯住宅で、祖母の世話や介護を主にしていた私の母には何か特別にお金が分けられたでしょうか。
はたまた、母の代わりに父が祖母の遺産をきょうだいより多めにもらうことはあったでしょうか。
答えはどちらともNoです。
もとより、父はきょうだいの間でも経済的に裕福だったからというのはあるでしょう。
何しろ、二世帯住宅を建てられたのは父だけだったわけですから。
でも、二世帯住宅を作る際には祖母からは特に金銭的な支援はなかったと聞いています。
祖母の生きている間の貯金も、できるだけきょうだいが均等になるように贈与されていきました。
言ってしまえば、母は祖母を介護しただけ損だったということです。
嫁なら当然と思う人はいるでしょうが、私の母は祖母を介護したくて結婚したわけではないので、私からすると母は貧乏くじを引いたなと思っています。
今日はこんなところです。
介護が見えていて、贈与や相続の整理がついていない人は、本当に早めにきょうだい・配偶者と方針を確認しておくのがお勧めです。
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。