こんにちは。斗比主閲子と申します。
アラフォー、既婚、複数人の子持ち、二世帯住宅在住、富裕層(※)です。
※富裕層は純金融資産1億円以上の世帯(野村総研定義)
【前回】毎月数万円レベルの節約をしたいなら「生活レベルの見直し」から!/斗比主閲子
【最初から読む】現在「富裕層」の私がいかにして危険な姑との二世帯住宅に住むことを決めたか/斗比主閲子
前回は月数万円の節約をしたければ生活レベルを下げる必要があることを書きました。
今回は少し変わって相続についてです。
『毎日が発見』の読者の皆様は、そろそろご両親の健康問題も気になってくる年代の方が多いのではないでしょうか。
そこで問題になるのが相続です。
「いやいや、相続が問題になるのってお金のある家だけでしょ?」とお思いなら、考えを改めることをお勧めします。
というのも、家庭裁判所での遺産分割調停という、相続人だけで相続の仕方に結論がでないときに使われる仕組みの、実に7割が相続財産が5000万円以下で、3割が1000万円以下のケースだからです。
相続財産が1000万円と聞くと、もしかして自分たち家族も該当することがあるかもしれないと思いませんか?
金額の多寡によらず、相続で金銭トラブルはつきものです。
棚からぼたもち的に降ってきたお金ですから、できるだけ多くもらいたいというのが人間ってものですからね。
「いやいや、私たち姉妹・兄弟は仲が良いからいざというときにも揉めないから」というのであれば、自分の姉妹・兄弟の配偶者の考えは想像できるでしょうか?
お互いに家族を持っている場合、配偶者は相続について違う考えを持っていることもあるんですよね。
配偶者に「うちも必ずしも生活が楽じゃないから、もらえるものはもらっておいたら?」と一言口添えされてしまえば、考えを変える人も出てくるものです。
実際、私の祖母は田舎の大したことのない土地の相続争いで、家族の中で考えが完全に真っ二つに割れて、二度と会わなくなった姉妹・兄弟がいたそうです。
また、私の祖母が亡くなったときも、私の父親は姉妹・兄弟の間で、わずかに残った葬儀用のお金をどう分けるかで生臭い会話がありました。
祖母は自分の反省から、自分の子どもたちに揉めてほしくないように、ある程度平等にお金を分けていたにも関わらずです。
祖母の葬儀の後に、義伯母が私の父に対し、「ねぇねぇ、お義母さんって結局いくらお金を残していたの?」と素知らぬ顔をして聞いてきたときのことは、私は今でもよく覚えています。
それで、この手の死後での相続争いを解決する方法はたくさんあるんですが、私のお勧めは、親が持っている財産を目録にして整理して、どれくらいの金額があるから、どう分けるかというのを、親が元気なうちにやってしまうということです。
「え、いや、お金の話を親と話すのはちょっと...」
「しかも、親が死ぬ前提の話だから自分から切り出しにくい...」
というのはごもっともです。
ただ、避けていても否が応でもいずれ出てくる問題なんですよね。
あとで盛大に揉めるぐらいなら今のうちに話したほうが傷が浅いと考えられないでしょうか?
また、財産目録を作るのも死後にやり始めるとめちゃくちゃ大変です。
親が元気なうちに話をするのは、実はゴルフ会員権を持っていたとか、あの銀行にも預金があったとか、あとになって相続漏れが起きないためにも重要です。
親が元気なうちに話をしておくのは、介護を誰が行うかという点でも重要になってきます。
なんだかんだいって近所に住む実子が親の世話をすることが多いわけですけど、凄く世話をすることが分かっているから相続が少し多めに払うということが考えられますよね。
これが介護は頑張ったのに、財産は均等分割となると本当にめちゃくちゃ揉めます。
ご自身が介護をされている最中であれば、このモヤモヤはよく分かるかと思います。
親が亡くなった後になってしまえば、「介護が大変だったかよく分からないし、そもそも介護をするかで相続財産が変わるなら私も考えは違った」みたいに、介護に関わらなかった実子が急に掌返しをしてくるのもあるあるです。
だから、介護を見据えて、誰が主にサポートするから、それを考慮して相続の分け方を早めに整理しておくのが後で揉めないために重要になってきます。
私の感覚だと、これまで書いてきた節税や投資の話でもそうなんですが、日本人の一般的な家庭では、家族でさえもお金の話をするのはタブーみたいなところがあるんですよね。
親からすればお金目当てに自分と接してほしくないというのはあるんでしょうが、そのお金のせいで後になって自分の子どもたちが揉めるリスクを考えれば、親が自分の健康が気になってきたら、積極的に相続の話を子どもにしてほしいなと思っています。
今日はこんなところです。ではでは!
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。