「図太い一家」「悲しい家庭」靴の取り違えで激怒した傲慢塾長。しかしその言葉はブーメラン...!

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ころちゃん
性別:男
年齢:53
プロフィール:長年子ども相手の仕事をしてきましたが、独身で自分の子どもはいません。親の介護と自分の老後が気になる最近です。

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数年前、とある学習塾に勤めていたときのことです。

50過ぎの塾長はいわゆるパワハラ体質で、理不尽な言動を繰り返すタイプの人でした。

毎日がすさまじい怒号と罵声の連続で、当時40代だった私を含めた5人の社員は、翻弄されおかしくなりそうな状態でした。

今思えば、このような職場で2年も耐えたのを後悔しています。

退職直後にストレス性の大病を発症したのも、心身共に相当な無理があったからかもしれません。

塾では珍しくありませんが、ある日中学生の女子生徒が、「自分の靴がない、代わりにサイズが2センチ小さい同型の靴が残っているから間違えられたのだろう」と言ってきました。

間違えた方がすぐに気付いて連絡してくると思った私たちは、不便を詫び代わりの履物を用意し、彼女を帰宅させました。

そして間違えた方から連絡を受けたら、塾長に即報告するよう指示がありました。

超零細企業でしたが、塾長は自分に対しての「報連相」にはとてもうるさい人だったのです。

さて、その日授業が全て終わっても、靴の件で電話はありません。

「2センチも大きいのに気付かないとは、図太い一家やな」

塾長は不機嫌でした。

さらに一日、二日たっても連絡はありません。

みんなが不思議がる中、塾で働く塾長の奥さんに声をかけられました。

「自分の子どものより2センチも大きな靴が玄関にあるのに、ずっと気付かない親御さんって、どう思います? お忙しいかもしれないけど、これじゃ子どもが可哀想。悲しいけど、これが今の日本の家庭の現実なのね」

私は頷くことしかできませんでした。

そして事件のあった日と同じ生徒たちのシフトの日、また同じ女子生徒がやってきました。

「私の靴が今、靴入れにあります」

塾長は色めきます。

「よっしゃ、犯人がそのまま履いてきたんやな」

彼は頭をひねり、その靴を持ち何食わぬ顔で教室を周り、持ち主を尋ねるふりをして犯人を見つけようと考えたのです。

いいアイディアと満足して授業開始を待ち、塾長はとぼけた顔でいそいそと、まずは小4クラスの戸を叩きました。

たまたま授業がなかった私は、お付きの役を言い渡され後ろに立っていました。

犯人が小学生の可能性は低く、ここは形だけでさっと素通りのつもりでした。

「授業中すまんな。ところでこの靴誰のや?」

塾長は明るくそう呼びかけました。

「はい!」

満面の笑みで、指先までぴんと手を伸ばしたのは塾長の娘でした。

一瞬全てが静止しました。

漫画のような眼前の光景に、私は塾長の顔を見れず、平静を装うのがやっとでした。

激しく動揺し、揉み消しは不可能と判断したのでしょう。

塾長はポーズとしてか、娘を塾長室に呼び長時間出てきませんでした。

休憩時間になり同僚から顛末を聞かれて答えても、なかなか信じてくれません。

声を潜めて見たことを繰り返し、塾長室を指さすと一同驚愕の表情で声を殺して笑っていました。

塾長の奥さんが言う「現代日本の悲しい家庭」は塾長一家だったのです。

その夜のミーティングで、果たして塾長はこの顛末をどう報告するのだろうと、みんな楽しみにしていました。

しかし、結局塾長からの報告はありませんでした。

ただ、子育てに悩む親の気持をもっと思いやるべきだという説教はありました。

「みんなごめんな、アホやったわ」

これだけでも言ってくれたらよかったのに。

やがて社員全員が退職することになるのですが、大切な人生、関わるべきでない人、組織というのは、残念ながら存在すると痛感します。

皮肉ではなく、本当に「逃げるが勝ち」だと思いました。

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