<この体験記を書いた人>
ペンネーム:まる
性別:女
年齢:45
プロフィール:中学1年の娘を持つ母。現在ペンションの管理人をしているため、夫と娘とは離れて暮らしています。
ペンションのオーナーをしている知り合い(41歳)から、管理人をやってくれないかと頼まれました。
当時たまたま子どもが寮生活をしていた私は、時間の自由がきく状態だったこともあり、声をかけられたようです。
私はもちろんペンションの管理人の経験などありません。
さらにはペンションがあるのは交通の不便な場所なのにもかかわらず、私は車の運転はできません。
何度も断ったのですが、食い下がられ、本当に困っていたようだったので、次の管理人が見つかるまでという条件で、引き受けることにしました。
そうして私が仕事を始めて間もなくのことです。
ペンションに設置されている循環風呂の調子が悪くなりました。
循環風呂というものを今まで見たことも触ったこともない私は、対処法がわからず、オーナーに電話をしました。
「ボイラーを壊さないように気をつけて」
オーナーは面倒くさそうにそう言い電話が切れました。
ショックでした。
私は不安なまま、何度もボイラーの様子を見ながら一晩を過ごすことになったのです。
次の日、連絡先を必死で探し、循環風呂専門の業者の方に来ていただきました。
その方は、日曜日だったのにもかかわらず、2時間以上かけてわざわざ駆けつけてくれました。
お風呂の状態を丁寧に見てくれただけではなく、私がボイラーが壊れるのが心配で、寝ずに一晩中様子を見ていたのを聞いて、「今日はゆっくり休みなさい」と優しい言葉までかけてくれたのです。
とにかく不安だった私は、その言葉にとても救われました。
さらに、次の日にもわざわざ電話をかけ、循環風呂の様子と私の体調まで気にかけてくれる気遣いに感激しました。
一方オーナーは、循環風呂が直った件を報告すると「有料ですか?」と責めるような口ぶり。
循環風呂の専門の方を呼んだので、修理代を気にしての発言でした。
故障したときの電話での一言といい、オーナーの態度に私は非常に違和感がありました。
何もかも初めての私は、管理人としての仕事だけでなく、他の住人の方々との付き合い方も心配でした。
ですが、住人のみなさんは何も知らない私にいろいろ親切に教えてくれて、移動が必要な時には気軽に車に乗せてくれました。
初めての管理人という仕事に不安しかありませんでしたが、周囲のみなさんが優しく接してくれたお陰で、だんだん楽しく仕事ができるようになっていったのです。
しかし、オーナーの態度は結局変わることはありませんでした。
その後も何度もオーナーから心無い言葉をかけられ、嫌な思いをし、周りの方たちの優しさが身に沁みる日々を繰り返したのです。
このまま関係を長く続けていくことは難しいと思い、先日、管理人の仕事を辞める旨を伝えました。
管理人の仕事からは離れることになりましたが、人の優しさに触れ、素敵な出会いがありました。
嫌な思いもたくさんしましたが、貴重な経験をさせていただいたことだけは、あのオーナーに感謝しています。
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