<この体験記を書いた人>
ペンネーム:はおり
性別:女
年齢:58
プロフィール:専業主婦。子供は3人。上2人は独立、末っ子は18歳で大学一年生。趣味は断捨離と猫と遊ぶこと。
20数年前、私が30代の頃に流通会社の事務のパートをしていたときのお話です。
「不思議ちゃん」なとても変わった上司がいました。
私がパートで働いていた部署は総務課で、40代の総務課長の上司、30代の男性正社員2人、20代の女性正社員と私の5人がいました。
職場は、仕事の性質もあったと思いますが特別忙しいというわけでもなく、和やかな雰囲気でした。
総務課長は真面目で穏やかな人です。
その総務課長が、ある日欠勤しました。
次の日、出勤してこられたので私は「昨日は体調が悪かったのですか?」と聞くと、驚きの答えが返ってきました。
「昨日、大変だったんだよ。家に幽霊が出たんだよ~」
冗談かと思い笑って、その場を離れました。
お昼休みに20代の正社員の子とランチを食べながら、その話をすると驚くようなことを言い出したのです。
「それ、本人は本気みたいよ。この間休んだ時は、家に盗聴器が100個くらいあって、それを取り外すのに大変だったって言ってたよ」
普段は真面目な総務課長がそんなことを? 信じられないと思いました。
しかしよく見ていると、総務課長の不思議ちゃんぶりは、お弁当にも表れていました。
毎日、愛妻弁当を持食べているのですが、必ず御飯を半分くらい残すのです。
そして、残した御飯をラップで包み、総務課の隅にある冷蔵庫の冷凍室に入れます。
それがほぼ毎食なので、冷凍室には総務課長が食べ残した冷凍御飯がギッシリ詰まった状態に!
「あの冷蔵庫の冷凍御飯、食べないのですか? もし食べないのだったら、捨てても良いですか?」
正社員の子と私は冷凍御飯を捨てたくて、総務課長に聞きました。
「あれ、事務所の誰かがお腹すいたら食べたら良いかなと思って置いてたんだ」
総務課長の食べ残しの御飯は、さすがに誰もいらないでしょうと、20代の正社員の子と唖然としたのでした。
結局、半分は捨てて、半分は残しておいてということになりました。
「課長、お弁当の御飯、毎回残すんだったら、奥様にお弁当の御飯の量を少なめにしてって言ったらどうですか?」
「うーん。でも、せっかく作ってくれてるのに、量を減らしてくれと言えないよ」
そんな謎の答えを返してきましたが、なかなかの愛妻家だったようです。
総務課長が「明日は休みを取りますので」と伝えてきたので何気なく理由を聞いたところ、こんな答えが返ってきました。
「いや、明日、家にガス会社の人がくるんだよ。給湯器の調子が悪くて。それで、妻が1人でガス会社の人と対応するのは心配なんで、休むんだ」
その場にいた全員が「えー?」という顔をしました。
普段は総務課長の不思議ちゃんぶりに、いつもは何も言わない30代男性正社員の2人も「なんか、凄いよな」と苦笑い。
正社員の子と私は、「ちょっと変わってるけど。奥さんは幸せかもしれないね」と言い合いました。
その後、私はその会社を辞めてしまったのですが、今まで会った中でも一番不思議な人だったなと、しみじみ思い出します。
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