<この体験記を書いた人>
ペンネーム:そらまめ
性別:女
年齢:51
プロフィール:若い頃からアウトドアが好きだったのですが、50歳を過ぎてインドアも楽しいと思うようになりました。
学生時代、短距離走で市の大会に入賞したこともあるくらい、私は走るのが得意でした。
2008年、38歳の時に息子の野球チームの親子試合で足の速さを生かして何度か盗塁に成功し、「そらまめさん、足が速い!」とチームメートの保護者から賞賛されました。
もちろん学生の頃より足の速さは劣っています。
でも、38歳という年齢を考慮すると十分速いと言われ、私もまだまだ捨てたもんじゃないといい気になっていました。
親子試合後、私の足が速いという噂が広まり、2009年には小学校の保護者対抗リレーの選手に、2010年には地区運動会で年代別リレーの選手に選ばれました。
しかし、運動会を前に夫と一緒に近くの公園で走る練習をした時のことです。
夫が私の走る姿をじっと見ていました。
「何?」
「なんか前より遅くなったね。無理して走ると足を痛めるよ」
夫からそんなことを言われ、ドキッ。
自分では前と変わらず走ることができていると思っていたので、夫のこの言葉はショックでした。
ですが、練習すればまた速く走れるようになるはずと思い直し、練習に励み、夫が納得できるくらい速く走ることができるようになりました。
まだまだ若い! 私! その時はそう思っていたのです。
しかしリレーの本番、地区運動会は残念ながら大雨で中止に。
その翌年から地区運動会の縮小があり、リレーがなくなり、短距離を走るという機会がなくなってしまいました。
あれから10年後の2020年、夫に誘われてフットサルをやった時でした。
フットサルはダッシュすることが多いスポーツ。
足の速さに自信がある私に向いていると勝手に思い込んでいました。
しかし実際、フッサルの試合が始まると、ダッシュしているはずが、なぜか思うように足が前に進まないのです。
「あれ? そんなはずはないよね? 私は足が速いはず!」
そう言い聞かせながら走ったのですがやっぱり進まない。
「年齢のせい?」とも思いましたが、年齢じゃなくリレーの時と同じく練習不足かもしれないとも思いまた公園で走ってみました。
でも走っても走っても全然前に進まないのです。
しかも自分の足が不安定で、けがをしてしまいそうな予感さえしました。
その時、以前夫に言われた「無理して走ると足を痛めるよ」という言葉が脳裏をよぎりました。
同じく2020年のある日、バスで出掛ける日のこと。
支度が遅くなり、バスの時間に間に合わないのでバス停までダッシュしなくてはならないという事態に。
ダッシュすれば余裕で間に合うはずと全力で走りだしたのですが、なぜかスローモーションのように全然体が前に進まないのです。
「あれ? なんで進まないの...」
心で叫びつつも全力で走ったのですが、結局バスに乗り遅れてしまいました。
「以前ならダッシュすれば絶対間に合っていたはずなのに...自分では足が速いと思っていたけどもうあの頃の自分はいないんだ...」
自分の衰えを実感した瞬間でした。
足が速かった自分はもういない...もう若くない...でもまた自分が納得できるくらい速く走れるようになりたい。
バスに乗り遅れた出来事が、自分を奮い立たせるきっかけになりました。
2021年の今、ケガに気を付けながら、少しでも早く走ることができるように日々ランニングをしています。
またバス停までダッシュすることがあったら、今度は乗り遅れることのないようにしなきゃ。
関連の体験記:気づいてしまった...中学校の給食室で働いていた私が目撃した、栄養士の「ある行為とその顛末」
関連の体験記:娘の私のため、頼まれた友人のため...マスクを求め開店前のドラッグストアに並ぶ母に複雑な思い...
関連の体験記:え! 断れず毎日渡してたの⁉「マスク1枚ちょうだい」と娘にねだる友だちに、私が考えた作戦は...⁉
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。