<この体験記を書いた人>
ペンネーム:とらとら
性別:女
年齢:52
プロフィール:52歳の兼業主婦。動物好きですが、どちらかと言うと猫よりも犬派です。
現在旦那の実家で、義父(78歳)、義母(76歳)、旦那(53歳)、息子2人(22歳と17歳)の6人で暮らしている52歳の私。
これはそんな私たち家族の10年ほど前の話です。
私たちは「リキ」という名の犬を飼っていました。
リキは旦那の知人が飼っていた犬の子供で、雑種でしたが見た目は白っぽい柴犬のようなワンコ。
子犬の時に我が家に来て、やんちゃに庭を駆け回るとっても元気な子でした。
また、どんなにしつけても「お手」と「伏せ」を間違えるような天然な子でもありました。
まだ小学生だった子供達は「お母さーん! またリキがゴロンって言ってもお手するのー!」とリキと遊んでは笑いながら、私に報告してくれたものでした。
本当は「お手」「伏せ」「おかわり」「ゴロン」などを聞き分けていたようです。
しかし数分前にお手が出来ていても、ちょっと庭で遊んだ後に「お手!」と言うとするのは「伏せ」。
そして、「どう? また上手くできたでしょ? だからおやつちょうだい」と言わんばかりに舌を出して、しっぽを振りながらキラキラした目でこちらを見てくるのです。
そんなとぼけた姿は家族全員を笑顔にしてくれて、みんながリキを愛おしく思っていました。
特に義母はリキを可愛がっていて、子供達が学校やサッカースクールで遅くなる時は、代わりにリキを散歩に連れて行ったり、遊んだりしてくれていました。
義母は嫁の私から見ても穏やかで優しい人で、リキもそんな義母によく懐いていました。
そんなある日、義母が散歩に行くと出ていったきり、暗くなっても帰ってこないことがありました。
その日、リキは動物病院で定期健診を受けていたので、義母はリキを散歩には連れて行っていませんでした。
私たち家族は心配して近所を探しまわりました。
そうこうするうちに夜も更けてきてしまい、警察に電話しようかと話していて時でした。
リキを連れて探しに行っていた子供達が、用水路で足を怪我して動けなくなってしまっていた義母を発見したのです。
田んぼ用の用水路は端に草が生い茂っていたため、義母はうっかり滑り落ちてしまったようでした。
しかも、草のせいで上からは見えにくく、深さもあるため近くを通った人にも声が届かなかったようです。
子供達にどうして見つけられたのか聞くと、なんとリキが用水路の近くでいきなり走り出して、義母が落っこちたらしい場所で激しく吠えだしたそうなのです。
何かあると思った上の息子が気を付けながら用水路を覗くと、下でうずくまっている義母を見つけたようです。
まだ用水路には水があったたため、あのまま夜を迎えると、義母は危なかったかもしれません。
本当にリキのお手柄でした。
その後は家族全員でいっそうリキを可愛がっていましたが、リキは数年前に亡くなりました。
最後の最後までちょっと天然おバカなワンコであることは変わりませんでしたが、今でも私たち家族はリキの命日には手を合わせてリキのことを思っています。
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