<この体験記を書いた人>
ペンネーム:とらとら
性別:女
年齢:52
プロフィール:今年52歳の兼業主婦。最近上の息子に彼女ができました。
私は52歳の兼業主婦です。
最近大学生の息子(22歳)が彼女にブランド物の財布をプレゼントしたという話を聞いて、ふと昔を思い出しました。
私がまだ20代の頃、世間はいわゆるバブル時代でした。
男性はいかに女性にゴージャスな思いをさせられるかが大切という、特殊な恋愛観がありました。
知り合いの中には、誕生日に数名の方から同じブランド品を指定して買ってもらい、そのうちの一つだけ残して他を質に入れるという強者さえいました。
しかし私自身は相手に尽くしてもらうより尽くしたいタイプです。
今でこそ時代の流れに乗っていなかったことを少しもったいなかったと思うのですが、当時はお金を持っていることを故意にアピールしてくる男性を毛嫌いしていました。
また、男性の気持ちをもてあそんでいるような女性には嫌悪感に近い感情を抱いたこともありました。
しかし、そんな私も一度だけ男性の方からブランド物の財布を受け取ったことがあります。
相手の方は私より8歳ほど年上で、知人と飲みに行っていた時に知り合いました。
私は「お代は良いよ」言ったその方に「いえ、知り合ったばかりの方に奢ってもらうのも気が引けるので」と、失礼のないようお金を支払って店を後にしました。
それがどうやら彼には新鮮だったらしく、連絡先を交換することになりました。
とは言っても、当時はまだ携帯電話などもないので頻繁に連絡を取り合うことはなく、日程が合ったら食事に行こうと誘ってくれる程度です。
それでも、当時は彼が仕事以外で一番お会いしている男性でした。
そんな付き合っているとも言えないような曖昧な関係で食事をしていたある日、彼からプレゼントだとブランドの紙袋を渡されました。
「受け取れない」と断った私に、彼はこう言いました。
「君がプレゼントを簡単に受け取らないのは知っているけど、もう会えないかもしれないから最後の記念だと思って」
どういうことか聞くと、彼は事情を話してくれたのです。
「これから事業を展開するために大きな借金をする。今は景気がいいが、今後どうなるか分からないから、自分から離れておいた方がいい」
後で知ったのですが、彼はいわゆる青年実業家で、実際に夜の店を何軒か経営していたのです。
教えてくれた知人の話では、彼はその後本当に億単位の借金をし、新しい会社を立ち上げたそうです。
私とは住む世界が違う人で、私と会っていたのも気まぐれだったんだ実感し、以降は連絡を取り合うことはありませんでした。
その時渡された財布は、箱に入ったままタンスの中に大事にしまってあります。
未だにあれが恋だったのかどうかも分かりませんし、彼が私のことをどう思っていたのかも分かりませんが、なぜか捨てることが出来ずにいます。
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