毎日が発見ネットの連載で「キッチン夫婦(妻)」としておなじみのべにゆうさん。彼女は40歳の時、14歳の息子がいる夫と結婚、以来、8年間にわたって生活を共にしてきました。ある日、中学2年生の多感な男子の母親になる――。継母としていろいろな出来事や、想いがあったと言います。今回は夏の特別連載として、10日間連続で「40歳の女性が、ある日、14歳の継母になった物語」をお送りします。
【前回】家族の姿を形に残したい。しぶる息子と撮った家族旅行の記念写真
【最初から読む】40歳だった私が「14歳男子の継母」になることを決めた日/14歳男子の継母になった私(1)
だいぶ時間がかかったけど...変化していく息子との関係性
息子が14歳、中2の10月から家族として一緒に住み始めた私達。
息子はあまりおしゃべりする方ではないし、私も話を聞きだすのが上手ではない。
だから、息子が不安そうに見える時、ストレスがあるんじゃないかと感じる時、何か問題があるのか探ってみようとするが、本心を知ることはできなかった。
息子は高校卒業後から近くのコンビニで夜に4~5時間、週2、3回バイトをしていた。
帰りは22時20分くらい。
その時間帯、私はいつも一人リビングでPCに向かっている。
そこにバイト帰りの息子が「ただいま」と帰ってくる。
バイトが終わる22時をちょうど過ぎた頃から、私はソワソワしながら、でもなるべく"いかにも待ってました!"と見えないように装いながら、PCの前で書きものをしているようにして「ただいま」の声を待つ。
ちょうどいいタイミングでご飯を出したいので、息子が帰宅して来た自転車の音とライトの光を察知すると、夕飯を温めなおし、麦茶をつぎ、汁物をそそぐ。
と同時に、学校や部活のことそれ以外のことでも何か私が聞けることないかなと考えながら、ちょっとだけ緊張する。
息子は黙々と食べるだけだから、早い。
早いが私はその間、何か聞けないかぁ?あぁやっぱり今日も聞けないっ.....と何にも集中できず過ごす時間だった。
私は変に気を遣ってしまうようなところがあるので、"きっとお腹も空いてるだろうし、疲れているだろうし"と思うと、YESかNOで答えられるようなことしか聞けなくて、会話と言える会話がなかったかも。
どうしてもあと一歩のところを踏み込むには勇気がいった。
それでもどれくらい経った頃からだろう。
結婚して5年目くらいからか、息子が少しずつ何か答えてくれたり、話しかけてくれるようになってきているのに気が付いた。
そもそも年頃の男の子が毎回「いただきます」「ごちそうさま」「行ってきます」「ただいま」をきちんと言ってくれたので、十分と言えば十分だったかも知れない。
さらに昨年、2019年になって(結婚して7年目)からは、新発売のコンビニ商品や自分が食べたいと思ったものを買ってきて、「これ食べる?」と私にも分けてくれるようになった。
あー嬉しかった!!
でももう22時を過ぎた時間。
内心"歯磨きしちゃったし.....若者はいいけど、私が今食べたら確実に太る道が待っているんだよぉ...."とは思った。
思ったけれど、それ以上にやっぱり嬉しかったなぁ。
夫と私がブログでコンビニの食べ物なんかも紹介しているのを知っていることもあり、「これTwitterで話題になってるけどどうなんだろ?」って感じで教えてくれたりした。
それと同じ頃からだと思うが、息子が私に対しても「あのさ」とか「~なんだよね」「うん」という感じの話し方になっていた。
たぶん、息子は無意識なんだろうが、私は「おぉっ!」と感激、心の中で万歳をし、夫に報告していた。
それ以前が敬語だったわけではないが、くだけた普通の感じの口調に変わってきていた。
そしてだんだんバイトで大変だったこととか、自転車が調子悪いとか、今度友達と遊びに行くとか、床屋に行きたいとかそういうことをお父さんより先に私に話すようになった。
「Y君がこう言ってたよ」と夫に伝えると、夫は「ふ~ん、Y、俺よりべにゆうさんに話しするよね。俺にはギリギリで本当に困った時だけやっと話してくるのに」とちょっぴり嘆き気味。
数年かかったことになるけど、私たちは、こうして少しずつお互いに「気楽にいられる」関係になっていった。
◇ ◇ ◇
そうやって、私たちの関係にも少し変化があった息子も高校を卒業。
地元の希望の大学に進学することができた。
しかし、その頃息子は、どうやら大きな悩みをかかえるようになっていたようだ。
それは普段の会話から読み取ることができたかも知れないのに....そのサインを見逃してしまったかも......と少し後悔している。
次回はそのあたりのこと書きたいと思う。
つづく
【次回】大学に行かず引きこもる息子。母親として、私に「できること」は.../14歳男子の継母になった私(8)
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