毎日が発見ネットの連載で「キッチン夫婦(妻)」としておなじみのべにゆうさん。彼女は40歳の時、14歳の息子がいる夫と結婚、以来、8年間にわたって生活を共にしてきました。ある日、中学2年生の多感な男子の母親になる――。継母としていろいろな出来事や、想いがあったと言います。今回は夏の特別連載として、10日間連続で「40歳の女性が、ある日、14歳の継母になった物語」をお送りします。
【前回】子宝に恵まれなかった私。「お母さん」という言葉にざわつく心.../14歳男子の継母になった私(5)
【最初から読む】40歳だった私が「14歳男子の継母」になることを決めた日/14歳男子の継母になった私(1)
3人で映る写真が欲しい!家族旅行はそのチャンス
息子が14歳の秋に3人家族として一緒に住み始めた私達。
お互いの距離を縮めるためにも、共通の思い出を作るためにも、「旅行」は大切なイベントだった。
自分達それぞれの心の中に思い出が残っていれば、目で見える写真があるかどうかなんて本当は重要ではないかも知れないが、夫も私も息子との「3人での写真」を欲しがった。
しかし家族としての写真を残したいという切実な思いの私達をよそに、息子は入卒式ですら写真を撮りたがらない。
それでも実に面倒くさそうにしている息子を入れて家族写真を撮ってきた。
そんな私たちが、3人で最初に旅行に行ったのは札幌。
結婚して5か月ほど経った頃だった。
まだまだお互いの緊張感がある時期。
特に息子と私の二人だけにしないで~っと思っている時期。
「お母様」と呼ばれるとビクッっとしちゃう時期。
飲食店などでは「3人です」と答えるような場面で、
"私達って普通に家族に見えてるんだろうか?"
"私はこの中でお母さんに見えてる?"
なんてふと気になったりした。
観光スポットでは3人で写真を撮りたかったけど、息子は嫌がった。
「オレはいい、二人で撮りなよ」と言われると、どうしよ....と思った。
二人で撮っていいのかな? のけ者になってるとか感じてない?
3人でいる時の言葉遣いとか距離感には気をつけるようにしていたが、息子が疎外感を感じるような行動を私がしていないかはかなり気になった。
たぶん気にしすぎて近付けない部分もあったと思う。
かまわれるのが嫌なんじゃないか、口出しされたくないんじゃないかと思ってしまい、ついそっけない態度になってしまっていたことも多かっただろう。
客観的に息子と私の様子を見ていた人がいたとしたら、やっぱり私は冷たく見えたかも知れない。
それでも...間には夫がいる!
写真は、半ば無理やり、そりゃぁ仙台から飛行機で札幌まで来てるんだしと、夫が強行して3人で並んだ写真を2か所(だったかなぁ)で、撮ることができた。
私だと本当は撮りたいのに遠慮が勝ってじゃぁいいよ....となるのだが、そこは夫! お父さん!!
「ね、1枚だけだから」と言って急いで撮ってくれた。
それが良かった。
今では、この残っている写真は宝物だもの。
この旅行の帰り道、夫が息子に聞いた。
夫「ねぇ、旅行どうだった? 」
息子「......うん....」
夫「うん、ってさ楽しかった、とかないの?」
息子「美味しかった」
この時の息子の「美味しかった」という言葉を私と夫はたまに思い出して話しのタネにする。
「楽しかったとかじゃなく、美味しかっただってさぁ」と。
でもそもそもこの旅行の目的の1つは"美味しいものを食べること"だったので、旅が良かったと言ってるのと同じだと考えるようにして私は勝手に安心している。
そして次に思い出に残っているのは、県内三陸海岸の気仙沼への旅行、トレーラーハウスに宿泊した時のこと。
2泊して夕食はデッキでのバーベキューを楽しんだ。
バーベキュー係は息子に任せた。
この時も息子は写真を一緒に撮ろうとすると、えっ俺はいいから....みたいな感じで逃げられた。
"大丈夫かな.....気恥ずかしいから? それとも私と一緒の写真なんて撮りたくもない?"
息子が火をおこしている様子をトレーラーハウスのキッチンの小さな窓からチラチラと眺めていた。
「こっち向いて~」とか言えないタイプだし、息子も写真に撮られるのが好きじゃなさそうだったので、カメラ目線の写真はほとんど撮れてない。
それでも見つからないように写真を撮っていた。
家の中だと会話が途切れるとソワソワするが、旅行中だと動いたり景色を見たりしているので気にならないし、いつもと違って学校や部活以外のことを話題にできるのがいい。
そうそう、外出先なら、食べ物の話も、たくさん聞ける。
だって、例えば私が作った料理のことだと、「美味しくない」とか「イマイチ」とか言えないだろうし、お互いに何かを思って聞けないし、言わないことも多い。
でも旅行などで出合った食べ物の話なら、気を使う必要もない。
私の知らない「小さい頃の息子」の写真たち
今年の春には息子が就職で県外へ出るということもあり、夫が息子が小さい時の写真を集めてまとめていた。
それをこの3月に見せてもらった。
夫がたまにする息子の小さい頃の話には、私が全く知らない分、複雑な気持ちを抱いてしまうけど、写真を見ていると、いっぱいの愛情と夫が息子を大事に思って育ててきた月日の流れを感じることができ、ほっこり温かい気持ちになった。
写真は夫が大切に保管している。
旅行も含めて、私は息子が14歳から21歳になるまでの共通の思い出を持つことができた。
そして写真も何枚か持つことができた。
さて、普段は自分のことをあまりしゃべりたがらない息子だが、長年一緒に暮らしているうちに、お父さんより私に話をしてくれることが徐々に増えてきたのだ。
次回はそんな話をしたいと思う。
つづく
【次回】ゆっくりと縮まる距離。息子との「くだけた会話」が何より嬉しい.../14歳男子の継母になった私(7)
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