<この体験記を書いた人>
ペンネーム:まなやさん
性別:女
年齢:52
プロフィール:遠方にお墓をもつ52歳。
私の両親のお墓は九州にあります。
両親ともに九州の出身ですが、結婚してからは関東暮らし。私も関東で育ちました。
そんな私の悩みは「お墓が遠方にあること」。
父が亡くなった時、私は遺骨を抱いて飛行機に乗ったのですが、乱気流で骨壺の蓋がガチャンガチャンと音を立て、割れるのではないかと冷や冷やでした。
また母の時は、母が両膝に人工関節を入れていたため、骨壷が手荷物検査で「ピンポン」と鳴り、検査をされました。
「生きていた時もレントゲンを何回も撮られて、骨になってまでX線にかけられて......お母さん、可哀想だな」
夫がぼそっと言ったのが、今も忘れられません。
そして、遠方にお墓があることの一番の問題は、墓参りのたびにビックリするほどお金が掛かることです。
両親それぞれの三回忌、七回忌...と九州まで位牌を持って墓参りをしていますが、そのたびに家族分の飛行機代、宿泊費、親戚への土産、親戚の仏壇へのご仏前、お墓の花代、寺へのお布施......。
土産は田舎では必須ですし、ひとつでも漏れがあろうものなら大変なことになります。
さらに、私の家系が昔地主だったため、お墓が驚くほど大きいことも拍車をかけます。いくつも並ぶ墓石の前にそれぞれ花瓶があり、そのすべてに花を入れるとなると......それだけで1万円近いお金がかかってしまうんです。
いっそのこと両親の遺骨だけ取り出して関東に連れてきてしまおうかとも考えたのですが、私たちの代で19代続く家なので踏み切れません。親戚もたくさんいますし、私の一存で墓じまいをすることは気が咎めます。
そしてもう一つ、私にはお墓の忘れられない光景があります。
うちの墓には際立って大きな墓石があり、その下に18代分の夫婦のお骨、つまり36の骨壷が入っています。
普段は長男夫婦しか入れないこの墓石の下に、両親の納骨の時に初めて入ったのですが...骨がバラバラ散らばっていたのです。
台風のたびに雨が納骨された半地下に溜まり、骨壺がぷかぷかと浮き、水が引いた後に引っ繰り返るようなのです。
いずれは自分もそこに入ることになります。
この問題を放置すると、我が子に同じ思いをさせることになってしまいます。
台風のニュースを見るたび、お墓の光景が思い浮かび、36人のご先祖様たちの魂は何処にあって、どうすることを望んでいるのか......と思いを巡らせてしまいます。
もしこのお墓の問題を片付けられずに私が旅立ったら、あの世でご先祖様と話し合って「お墓をこうして!」と息子に伝えに来たい...と思う今日この頃です。
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いっそのこと両親の遺骨だけ取り出して関東に連れてきてしまおうかとも考えたのですが、私たちの代で19代続く家なので踏み切れません。親戚もたくさんいますし、私の一存で墓じまいをすることは気が咎めます。
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