浸水寸前でも頑なに避難を拒否する高齢の父。台風19号を経験して/キッチン夫婦(夫)

pixta_17921135_S.jpg

こんにちは、ブログ「キッチン夫婦」夫のKです。

前回の記事:離れて住む両親に温かい手料理を。86歳の父が喜んだほっくほくの『山形風芋煮』/キッチン夫婦(夫)

台風19号は各地に甚大な被害をもたらしました。自分たちが住む宮城県は福島県に次いで死者数が多かった県。日本各地で堤防が決壊、川の氾濫の様子が連日テレビで流れました。

妻の実家は決壊した川の近くにあり、今回の台風で恐ろしい経験をしました。この事を書きたいと思います。

台風19号は宮城県には10月12日夜から13日にかけて襲来しました。

妻の実家は自宅から車で50分程離れたところにあり、70代の両親が二人暮らし。周囲よりは小高い立地に家がありますが、近くに川があります。

この川は過去に何度か決壊して洪水になったことがあり、県では何年もかけて堤防工事を行ってきました。

強い勢力の台風がくることが予想され、警戒すべき事態だと認識していた妻。

避難所に行きたくても車の運転ができない両親を心配し、12日に実家に泊まることにしました。

懐中電灯、食料品、避難の際に使う毛布などを準備し、側溝などのどぶさらいも行いました。

日中から強い雨が降り出しましたが、ピークは夜中になるとのこと。

避難情報には5段階があります。

警戒レベル1は災害への心構えを高め最新の情報に注意、2は避難方法などを確認、3は高齢者などの避難、4は全員避難、5は命を守るための最善の行動、と区別されています。

日中は警戒レベル3が発令。

夜にはレベルが上がる事も予想されましたが、両親が高齢なことや、ペットを避難所に連れて行けないこと、近所の人とも相談し周りも避難はしないことなどを踏まえ、自宅にとどまることを選択したそうです。

夜中になり強まる雨、風。私は自宅にいましたが、妻とのLINEのやりとりで、今晩は2階の一番安全なで寝ると連絡があり、私は少し安心して眠りにつきました。

ところが妻の方は、眠れないほどの恐怖を感じていたのです。

ゴーゴーという音を立てる暴風と豪雨に次々と入る緊急エリアメール。近くの川が決壊して洪水になった子供の頃の記憶がよみがえります。

夜中の0時に緊急避難情報レベル4「全員避難」のメールがきました。でも夜中、外は豪雨、とても避難などできません。

深夜2時頃にはレベル5のメールがきました。これは「命を守る最善の行動をせよ」との内容です。

避難のポイントはレベル5を待たないで避難を始めること。この段階では手遅れになることがあると認識していました。

しかし、レベル4が発令されたのは深夜0時、レベル5は深夜2時です。

今できるのは2階にいることと祈ることしかなく、「川、耐えてください、台風去ってくれ、早く明るくなってくれ」と、寝れずの一晩を過ごした妻でした。

台風が過ぎ翌朝は快晴。 私の自宅の周りでは被害はなかったためひと安心し、妻にLINEをすると「こうなるとは思ったけど、家の周りが水で囲まれている、でも家に浸水はしてないから大丈夫。ただ家に続く2本の道が冠水して家は孤立しているんだよね。堤防は今は決壊してないようだけど、河川水位情報を見ると危ない高さになっているからまだ不安。避難しなきゃないかも・・・」との連絡。

実家は裏に小さな山があり、正面は田んぼでこの間を通る2本の小さな道で家に行きます。私は何はともわれ妻の実家に向かいました。

実家の近くまで行き、光景が目に入ると絶句。

私は阪神大震災、東日本大震災を経験し、恐ろしい光景を見てきましたが、被害状況を生で見るのとテレビで見るのとは別物。見た事のない光景を見ると、脳が混乱する、今回もまさにその状態でした。

湖のようになった先に、自宅の外に出て来ていた妻の姿が見えました。携帯で連絡をとり長靴でなら冠水した道を通れることを確認しながら、妻の実家へたどり着きました。

両親は意外に元気でほっとしていたのもつかの間「(近くの)川が氾濫危険水位を超えました。今すぐ避難をして下さい」と知らせる消防車が慌ただしく過ぎて行きます。

緊急メールでも「(近くの)川が決壊しました。避難をして下さい」とのこと。決壊場所は車で10分の場所です。義母と妻との表情にも緊張が見てとれました。

家の周りの水は朝方よりも幾分引いてきて、なんとか車は通れることを確認。

妻と相談し、不安で落ち着かなくしてとどまるよりもやはり我が家へ避難すべきだと判断しました。

義母は了承してくれましたが、義父は「俺は避難しない、ここは大丈夫だ、絶対しない」と言います。

「お父さん、半日くらい家に遊びに来て下さいよ」と言っても「嫌だ」とどうにもなりません。妻は「万が一の場合には裏山に逃げてくれるだろうと考えるしかない」と言いました。

その後、妻と義母を連れ自宅に避難しましたが、幸い半日後には実家へ戻れました。

ただ、車で10分程の隣町では氾濫した水が一帯に流れ込み、5日以上たっても、大きな沼になった水が引きませんでした。実家からすぐ近くでのことで、実家がこうなってもおかしくなかったのです。

この文章を書きながら妻に問いかけてみました。

「万が一洪水になってしまってお父さんに何かあったら、あの時首に縄をかけてでも連れ出さなかったことを後悔するようになるんじゃないかな?」

そう聞くと、

「それは想像に難くないことで、"後悔"という言葉だけではとても言い表せないほどのダメージを心に受けると思う。例えば、3・11の津波の時の体験者の話を聞いたってわかるし。でもそれはお父さんだってわかるでしょうってこと。あなたの命はあなただけのものではないってことも言いたくなるけど、究極、命はその人のもの。今の状況だと私にお父さんの命の責任はないけれども、万が一のことも想像した。でもお父さんは想像しないってことなんだよね。けど実際は首に縄をかけることもできないから、本人に動く意思がなければ連れ出したいけどどうもできないのが現実」

そう、心痛を私に語ってくれました。

今回の台風を経験して思うこと

〇夜中に警戒レベル4、5が発令されても、もうどうにもならない。これは想像はしてましたが、その恐怖は文字には書けないほど。

〇義父のように「俺は避難しない、ここは大丈夫」と言われたら家族としての対応はどうしたら良いのだろうか? 妻と話し合いましたが、答えはでない。東日本大震災を経験し、想定外の被害は知っていたのに、父を説得できなかった。

〇今回の災害での死者の8割は60歳以上の高齢者の方。この事実は、あまりにも身近な事に感じる。

〇ペットを避難所へ連れて行けないため避難をしなかった。このような人が多いのが現状。

〇堤防の工事はずっとやっていたけど絶対ではない。

東日本大震災を経験し、想定外の災害を何度も見てきたのに、目の前でおこる災害には落ち着いて対応すること、最善の行動をとることの難しさをひしひしと感じました。

私達の経験談がほんの少しでもお役に立つことを願います。

そして今回被災された方々には心からお見舞い申し上げます。1日も早く平穏な生活に戻られることを心からお祈りいたします。

今回は、トーストを焼く時の裏ワザレシピです。

東日本大震災直後、被災地ではお米があってもライフラインの関係で炊けない人が多く、食パンがよく売れました。

今回の台風でもスーパーやコンビニでのパンの売り切れを目のあたりにしました。

例えば電気を使うトースターが使えなくてもフライパンで焼くこともできますし、手軽に食べれるからでしょう。

非日常時は調理にこだわっている余裕はないかも知れませんが、ここではトーストを耳まで美味しく食べられる焼き方を紹介したいと思います。

---------------------------------

『パンの耳を美味しく焼く裏ワザ』

食パントースト.jpg

食パンの耳に沿って包丁で切り込みを4つ入れて、トーストするだけ。

切り込みは下まで貫通させますが、四角は切らず切り落とさないようにします。

パンの耳.jpg

裏ワザをして焼くと耳も同時に焼きあがるため、サクサク食感のパンの耳が食べられますよ。

夫婦のエピソード&レシピが満載!キッチン夫婦さんの記事リストはこちら!

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
記事に使用している画像はイメージです。
 

キッチン夫婦

50代夫と40代妻、大学生の息子の3人家族。ステップファミリー(子連れ再婚家族)になって6年目。4年前から"おいしいで今日も仲良し"をテーマにブログ「キッチン夫婦」を夫婦で運営。主に日々作った料理と家族の日常をのせています。また、地元東北のおいしい食材を伝えたい思いも強く、ブログを続けている動機の一つです。夫婦それぞれが家族を思って作る料理、一緒に食事をすることで生まれる話題や会話を大切にしています。そのことが私達家族の気持ちにつながりができることを実感してきたからです。いつか本当の家族の『絆』ができることを願いながら。いつか将来息子がこの家族を振り返る時期がきた時に笑顔が思い浮かぶように。

※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

コメントする

この記事に関連する「みなさんの体験記」のキーワード

PAGE TOP