もしや、それは...?「手芸愛」あふれる先輩の作品をほめた私に訪れた恐怖

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:たけちゃん
性別:女
年齢:52
プロフィール:主婦です。子どもはおらず、最近転職しました。新しい職場の人間関係に悩んでいます。

もしや、それは...?「手芸愛」あふれる先輩の作品をほめた私に訪れた恐怖 18.jpg

転職したばかりの52歳の主婦です。

現在の職場の先輩Aさん(65歳女性)のハンドメイド攻撃にモヤモヤしています。

私の新しい職場は、お昼休みは交代で取り、休憩室で過ごすのが基本です。

ある日、在職20年のベテランAさんと、二人きりでのお昼休みとなりました。新しい職場でうまくやっていくには、Aさんを敵に回すわけにはいきません。それなのに私はテンパってしまい、お茶をテーブルにこぼしてしまいました。

「す、すみません」と慌てる私に、Aさんは「これで拭きなよ」と、パッチワーク・キルトのティッシュ入れを差し出してくれました。

そのティッシュ入れは、ひと目で手作りの品だとわかりました。

縫い目が明らかにミシンによるものではないのです。薄茶とグレーの切れ布の配色も「シック」というよりは「地味」に近い印象でした。

でも、ボタン付けすら面倒な私からすれば、充分に称賛に値する品だったので、Aさんに尋ねました。

「素敵なティッシュ入れですね。Aさんが作られたのですか?」

Aさんは大きく頷くと、「手芸が趣味であること」「特に針仕事が好きで、お菓子をつまみながら針を動かすのが、至上の楽しみであること」など手芸愛を熱く語り始めました。

そのとき「あなたにも作ってあげるね」と言われたのですが、社交辞令だと思い、気にもしませんでした。

ですので、翌朝、職場に着くなりAさんから、「はい。約束のアレ」と小さな紙袋を手渡されたときは、本気で何の約束なのか思い出せませんでした。

袋の中に入っていたのは、パッチワーク・キルトのティッシュ入れ。

もちろん下手ではないのですが、手作り感が満載で、かすかに防虫剤の臭いがします。聞けば、パッチワークの布は、ご自分の古着とのことでした。

古着のリサイクルと知り、かなり引いてしまったのですが、気持ちは嬉しかったので、丁寧にお礼を述べました。Aさんは満足そうでした。

使わないと悪いと思い、ティッシュ入れをバッグに忍ばせ出勤すると、再びAさんから紙袋を渡されました。

昨日のより二倍の大きさの紙袋には、ポーチと携帯ストラップが二つずつ詰まっていました。私と主人の分だそうです。

困惑する私に、Aさんはこう畳みかけました。

「お返ししなくいいからね」

本当に「気を遣わなくていいよ」といった感じの口調でした。でも、お返しをするつもりなど1ミリもなかった私は、殴られたような衝撃を受けました。

私はその日、お礼の品として、千円程度のお菓子を買って帰りました。

自宅で貰ったポーチを手に取ると、チョコレートと思しき小さな焦茶の物体が付いていました。「お菓子を食べながらの針仕事が好き」というAさんの言葉が思い出されます。このポーチを作ったときも、チョコレートをつまんでいたのでしょうか。チョコレートを口に入れた指で、縫ったのでしょうか。

潔癖症ではないですが、想像するといい気はしませんでした。

「なぜ欲しくもない物を貰って、お金を使わなければいけないのか」とモヤモヤしつつも、翌日、Aさんにお礼の品を渡しました。Aさんは飛び上がらんばかりに喜びました。

「息子の嫁なんてお礼も言わないのに、あなたは偉いわ」と褒められ、ほんの少しモヤモヤも晴れたのですが、やっぱりお返しなどしないほうがよかったにかもしれません。

なぜなら、私は見てしまったのです。休憩時間にAさんが「刺繍入の手提げバッグ」を縫っているところを。

アレは誰のために作っているのでしょうか。

私のためとしか思えません。

もし、そうだとしたら、またお礼をしなければならないのでしょうか。この先も続きそうでモヤモヤは募るばかりです。

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