<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ティンク
性別:女
年齢:52
プロフィール:事の発端は一人暮らしの義母の家にかかってきた怪しい電話。相手をしたばっかりに危うく被害にあうところでした。
これは今から数年前、実家で起こった出来事です。リンリンと電話が鳴ったので出てみたら、「ちょっと聞きたいのですが~」でいきなり始まりました。自分がだれなのか名乗りもしない相手なんて無視すればいいのですが、「もしかしたら知り合いかも」と考えてしまった義母は、「何を聞きたいの?」と返事をしてしまいました。
すると相手はとても親しげに「あのさ~、家にいろいろ要らないものあるでしょ。それ、買い取ってるんだ~」と本題を切り出しました。
そういうことね、と悟った義母は「うちには何もないから協力できないの、ごめんね」と伝え電話を切ろうとしたのですが、「あのね、ご近所さんみんな協力してくれてるよ」と義母に揺さぶりをかけます。その上で「いらないものがお金になるんだから、悪い話じゃないでしょ」と畳み掛けてくるのです。
実はこのころ、実家周辺では一人暮らしのお年寄りを狙った買い取り詐欺の被害がいくつか出ていて、手口もそっくり。電話やチラシの勧誘を真に受けて不用品を出すと、相手は1~2円で買い取ります。その上で「手間賃」とやらの結構な額を請求するのです。そこで支払いを渋ったら、凄んでみたり、近所に言いふらすなどと言って無理やり支払わせるのです。
ですので、ホントはこの手の電話を相手にしてはいけません。しかし、高齢者の義母は判断を誤ったのでしょう。さらに相手との会話を続けて、「そうね~、着物とかならあるけど、古いものだからね~、きっと二束三文だと思うよ」と伝えてしまいました。
これは、義母なりの断る口実だったのですが、これは相手にとって好都合だったみたいです。言葉巧みに義母にあれこれ質問して、探りを入れてきたそう。その結果、夫に先立たれたこと、一人暮らしだということ、子どもたちの仕事、遺産の話までしてしまったのです。
この辺りからさすがにまずいと思った義母は、電話の相手に「とにかく出せるものがないの。ごめんね~、もう電話切るね」と伝えました。するとここでお約束通りに相手が豹変。それまでとは明らかに違う乱暴な口調に変わり、「あのさ、時間使って散々話しさせて、何もないなんてアンタよく言えるね。俺のことバカにしてるの? あろうがなかろうがそっち行くから。家で待ってな」とまくし立てて一方的に電話を切ったのだそう。
その瞬間、恐怖で義母はパニックに。息子である夫に電話してもつながらないと、半べそ状態で私を頼ってきました。これは義母の一大事。ヘタするとショックで倒れてしまうかもしれませんので、仕事そっちのけで実家に向かいました。
小一時間ほどで実家につくと、義母は顔面蒼白で「怖い人がくるって言ってる。どうしよう」と震えています。ですが、相手の言い分は明らかに言いがかり。ですので、「キッパリ断ればいいのよ、お義母さん。私に任せて」と伝え、今度はこちらから相手への反撃開始です。
電話の着信履歴をチェックして相手に電話。何度目かでつながりました。さっそく、実家にくるのは断固断ること、それでも来るなら即座に警察を呼ぶこと、今後一切実家への電話はしないでいただきたいと冷静に伝えました。
電話の相手は何やらごちゃごちゃ言っていましたがそんなの完全無視。さっさと電話を切ってオシマイです。とはいえ、ホントに来たときのことを思うと私も少々怖かったので、実家近くの派出所に顛末を伝えてパトロールを依頼しました。
この方法が功を奏したのか、あるいは別の理由かはわかりませんが、結果的に相手が実家にくることはありませんでした。そして義母。よほど怖かったのでしょう。それ以降、見知らぬ相手の電話に応じることはなくなりました。
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