アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
息子の通う高校でPTAの会長に選出された時のお話です。
【前回】次年度の副会長はトラブルメーカー!? PTAのワケあり人選に波乱の予感
元PTA会長の米沢さんが推薦した新副会長の下条さんと、全体会での顔合わせ前に会う事になった。
ところが、初対面にもかかわらず下条さんの態度や発言に驚いた。
「まぁ、私があんたの下についたるから、私に任せとったらええんで安心し!」
安心どころか不安でしかない。
明らかに私を下に見ている態度だ。
なにも自分が新会長になるからといって偉そうにするつもりは全く無いが、私よりも10歳以上年上の下条さんにしてみれば小娘程度にでも思ったのか。
けれどもこれだけの口を叩くくらいなんだから、実はやり手なのかもしれないとも思った。
なんたってPTA命と言っても過言でない米沢さんが推薦するくらいなんで、いい加減な人を入れるはずがない。
...と、この時こう思った自分を後々後悔する羽目になるのだ。
新旧役員の顔合わせの日が来た。
この日は米沢さんが来なかったのでほっとした。
恐らく私が会長になったことで、米沢さんはもう定例会には来ないのだろうと思った。
新役員の紹介も滞りなく終わり、総会での内容の確認後に新旧役員の引継ぎに移った。
それぞれの委員会や役員に分かれて引継ぎになったが、旧副会長だった私が新副会長である下条さんに引継ぎをしようとするも、下条さんは顔見知りの委員さん達と雑談ばかりで一向に私の話を聞こうとしない。
「下条さん、聞いてますか?」
何度も声をかけないとすぐに気が散ったように他の委員さんと雑談しようとし、私が一年間書き綴ってきたノートを見せても興味など無い素振りだった。
「まぁ、その時になったら私に任せときって」
「お任せはしますけど、その前に一通りの仕事の説明はしませんと!」
「わかってる! わかってる!」
わかってないからこっちとしては話しているのだ。
そもそも今日は茶話会でもなんでもなく引継ぎがメインなのに、下条さんの態度がもう既にわかってない。
「定例会は書記さんがレジュメを作って来てくれますから、そのレジュメ通りに進めてくださいね」
「そんな前もって決めてたって、その場になったらどうなるか分からんやろ?」
「どうなるか分からんけども、本筋としてはレジュメ通りに進めて頂くんです!」
「はいはい、わかったわかった!」
引継ぎは同じ会議室内で行われているので、私と下条さんの会話も他の方達には聞かれている。
次の総会で退任する旧3年生役員達が、こちらをチラチラと見ながら口元が笑っている。
昨年私が新副会長として役員会に現れた際には学校側のスパイだと思われていたが、さながらこの下条さんは旧3年生と元会長米沢さんが差し向けた刺客のようだ。
「もうええやろ!? 帰るわ。なんかあったらまた聞くし」
そう言って下条さんは会議室を出て行ってしまった。
「だ、大丈夫...?」
引き続き今年も会計をしてもらう、同学年の本部役員の黒木さんが走り寄ってきた。
「これが大丈夫に見える?」
「目が...、目が怒ってんで...」
私は大きく深呼吸をした。
下条さんが会議室から出て行くのを見た旧3年生たちも、バタバタと支度をして帰って行った。
その様子から、恐らくこの後米沢さんとどこかで待ち合わせでもしているのだろうと感じた。
下条さんの態度に私が怒りを滲み出していた様は、さぞかし彼女たちの美味しいネタになるに違いない。
後片付けをして、職員室に会議室の鍵の返却に行った。
そこにいたPTA担当の坂田先生に、一緒に来ていた他の本部役員達と先ほど起こったことを話した。
坂田先生は開いた口が塞がらないとばかりに口をあんぐりと開けて驚いていたが、即座に椅子に座り直してこう言った。
「まぁ、けど今度はあんたが会長なんや。こんだけようけあんたを信頼してついてきてくれる人らがおるんやから、みんなと相談しながらやって行ったらええ」
一難去ってまた一難だが、私には仲間がいるんだからと周りにいるみんなの顔を見て思った。
これで後は総会を待つだけになった。
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