アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
息子の通う高校でPTAの副会長に任命された時のお話です。
【前回】「次期PTA会長にかづさんが選出されました♪」選出委員の3年生全員一致って...一体何が?
「役に立たんでも男なら誰でもいい」という理由で委員の一人である男性を会長に選出しようとしていた学校側と選出委員達。
けれども私が「それなら私が辞めます」と言うと、他の本部委員達も辞めると言いだした。
一旦引き受けていた男の新会長も「サポートしてくれるのなら」との条件だった為に辞退し、結局私が次年度PTAの会長に選出された。
それを聞いた本部役員達も大喜びしてくれたが、一抹の不安は元会長が推薦した新副会長の下条さんの事だった。
しかしながら、1年生の時になんの委員もしていなかった私がいきなり副会長としてやって来たとき、役員一同が私を学校側のスパイだと戦々恐々となったのとある意味同じ状況だろう。
私は黒木さんにそのことを知らせた。
「...って事で、米沢さんの推薦で下条さんって方が副会長になるらしいねん」
「えっ! 下条さん...」
「まぁ、私も初めて入った時は皆さんから『誰やこいつ?』って感じで、スパイやと思われてたやろ? そやから同じ状況かなと。でも、委員名簿を見ても下条さんって名前が見当たらんから、私と同じように一般会員から連れてくんのかなと」
「下条さんかぁ...」
「へっ? 下条さん知ってんの?」
「ん...、詳しくは知らんけど、1年生の時になんやトラブルがあって2年になる時に委員から抜けたらしいんよ」
「あぁ...、でもそんなトラブルメーカーをPTA命の米沢さんが推薦するとは思えんのやけどなぁ」
黒木さんは下条さんの存在自体は知ってはいたものの、そのトラブルの内容は詳しくは知らないらしい。
まぁ、どっちにしても過去にトラブルがあったという理由で今後も同じ状況になるとは言い切れないので、下条さんが副会長になる事をPTA自体が拒否する事は出来ないし、拒否出来るのであればそもそも私自身がPTA役員になっていない。
数日後、再び米沢さんから電話が掛かってきた。
私は下条さんが過去にトラブルを起こしてPTAを抜けた件を聞いた。
「あぁ、あれはなぁ...。でも、あの人もあの人であの件では反省してるし、もう大丈夫やから。それに私からの推薦やから、顔に泥塗る事はせんようにって言い聞かせてるし」
「いったい何をしたんですか?」
「もう過ぎた事やし、今後は何かあったら私に言えばいいから」
いや、何かあっても米沢さんに頼ることなどしませんけどね。
やはり下条さんがPTAの委員を辞めなきゃならないようなことをしたことは確かで、恐らくそれは公にされずに当時の会長だった米沢さんが下条さんが辞めることで収拾を付けたのだろう。
けれど、やはり米沢さんは今後もPTAに関与してくる気満々だという事だけは分かった。
「新年度役員の引継ぎやなんやで顔合わせがあるんやろ? その前に一度下条さんと会っといたほうがええんやないの?」
個人的に会う必要は感じなかったが、興味本位というか好奇心というか、会ってみる事にした。
「そしたらセッティングするわ」
翌日には米沢さんから日時と場所の連絡があった。
言われた時間に出向くと、既に米沢さんは来ていて隣に米沢さんと同じか少し上と見れる恰幅のいい女性が座っていた。
「あっ、来た来た! こっちこっち!」
米沢さんの手招きで席に着き、軽く挨拶をした。
「下条には色々先に話してるから、かづも相談相手になると思うよ」
「あぁ、そうなんですね。よろしくお願いします」
なぜか米沢さんは私も下条さんも呼び捨て。
とりあえず下条さんは見たところ私よりも10歳は年上に見えた。
「下条は子どもさん3人いてて、一番下の子があんたのとこと一緒の3年生なんよ」
「あ、そうなんですね。何組ですか?」
幸いな事に息子とクラスは違ってホッとした。
けれども下条さんの態度が最初から私は気になっていた。
なにかこう態度がデカいというか、そう、子どもは同級生だが年上ママさんからの今まで経験した事のある、あの上から目線だ。
いくら新会長とはいえ、少なくとも私の方がだいぶ年下なので「よろしくお願いします」と頭を下げて挨拶したものの、そんなに反り返ったような態度を取る?
すると下条さんが口を開き、その言葉に私は驚いた。
「まぁ、私があんたの下に付いたるから、私に任せとったらええんで安心し!」
一応私も大人なので顔には出さなかったものの、正直言ってムッとした。
あんたがどこの誰とも知らないし、今まで何をしてきた人かも知らないし、ましてやトラブルを起こして委員を辞めたという事は知っているので、少なくともあんたに任せて安心するなんてことは決してない。
私がチラッと米沢さんの顔を見ると、米沢さんもなにかを察したようで慌てて言う。
「もう下条もー、お手柔らかにしてよー」
「わかってるわかってる(笑)」
「あんたの事で大変な目に遭うのはまっぴらごめんやから~」
「だから反省してるってー」
米沢さんと下条さんは笑いながら話しているが、私の頭の中は不安で黒い煙がモクモクと立ち込めていた。
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