アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
息子の通う高校でPTAの副会長に任命された時のお話です。
【前回】【PTAのザル会計】「それ、子どもに見せられます?」PTAの悪しき風習に私が切り込む理由
卒業式が過ぎ、そろそろ次年度の会長選出の時期になった。
そしてその選出委員は3年の本部役員と各種委員会の委員長(3年)たちだった。
小中のPTAでも選出委員会や推薦委員会なるものがあったので、おおよその流れは想像できた。
「次の会長はかづさんですよ! そうじゃなきゃおかしい!」
本部だけでなく各種委員会の副委員長や委員さんたちからも言われたが、3年たちが私の事など絶対に選ぶわけがない。
こればっかりは自分でどうするわけにもいかない。
ところが私を副会長に推薦してくれた坂田先生と後藤先生から、驚くことを聞いたのだ。
「校長から次の会長は絶対に男にしてくれと言われてる。それぞれの学校長が集まる会で、PTAの会長が女だと格好がつかんらしい。仕事が忙しくても式典にさえ出てくれれば格好がつくんやから、後の細かいことは女にさせとったらええと言うてる」
先生方は、次期会長を狙ってるならあきらめろと言いたかったのだろう。
一言で「驚いた」と言ってもまだ足りないほど驚愕だった。
PTAの会長は男やなかったら格好がつかん!?
後の細かいことは女にさせとったらええやと!?
失礼にもほどがある。
けれども、男の役員や委員っていたっけ?
どこからか連れて来るのか?
すると先生方は委員の中に一人だけ飯尾さんという男性がいると言い、既に校長の意向と共に選考委員のメンバーたちには伝えていて、飯尾さん本人に承諾も貰っていると言う。
恐らく次期会長選出委員会では、次の会長はその飯尾さんに決まるだろうとの事だった。
「で? その飯尾さんはもし会長に選出された場合引き受けると言ったんですか?」
「いや仕事があるから入学式と卒業式くらいしか出られんって言うててな。むしろほとんど委員の仕事をやってないから、辞めさせてくれって言うつもりやったらしい」
「そんな人を会長に持って来て、卒業式と入学式以外本当に出て来なかったらどうするんですか!?」
「そやから『細かい事は女に』って事で、引き受けて貰うように説得したみたいや」
「それで飯尾さんは受けたんですか?」
「『皆さんがサポートしてくれるのなら』って事で受けたらしいで」
開いた口が塞がらないとはまさにこのことだ。
この1年間に定例会や行事の2割程度しか出て来なかった会長を補佐し、40件を超える葬儀告別式に会長代行として全て出席してきたことを、次も男の会長にするから同じように女のお前らがやれだと!?
「先生! 申し訳ありませんけど、私辞めさせていただきます! なにも会長になりたくて言うてんのやないんです! これだけやってきたにもかかわらず、また同じように名前だけの会長の下につけやなんて! それも理由が『会長は男やないと格好がつかん』?? ちゃんと頑張ってくれる会長やったら男でも女でもサポートさせて頂きますけど、男でさえあれば役に立たんでもかまへん! 雑用は女にやらせとけって事ですよね!!」
「いやいやいやいや、だからあんたに頼んでんのや」
私が怒るだろうとは予想はしていただろうが、まさか辞めるとまで言うとは思わなかったようだ。
先生方は慌てて取り繕おうとしていたが、そんじょそこらの言い逃れ程度で私が納得しないのもよくご存じだ。
別にPTAを辞めたところで痛い事も痒い事も無く、なんら困ることなど無い。
逆に次期会長が今の会長同様に居ないのも同然の存在であっても、ややこしい面倒臭い3年達が卒業していなくなれば実質会長みたいなもんだろうと思えなくもない。
だがしかし!!
【会長は男やなかったら格好がつかん】
ただただこの一点が許せないのだ!
女で悪かったな!!
先生方から考え直すようにと言われるのを振り払って家に帰るものの、腹の中が沸騰しているように怒りが沸き立つ。
恐らくこの事は3年の川上さん達から、元会長の米沢さんの耳にも入っていることだろう。
私の事を会長にしてなるものかと、さぞやほくそ笑んでいるに違いない。
本部や委員の経験者ならわかると思うが、役員というのは総会までが任期なのだ。
子どもが卒業した3年の委員でも、総会で退任になる。
卒業式後に主だった活動は無く、各種委員会それぞれで最後の委員会が行われ、会議終了後にお疲れ様会などが開かれる。
会議室でお菓子やお茶で済ませる委員会もあるが、場所を変えて喫茶店やレストランで開く委員会もある。
あらかじめ《懇親会費》の名目で一人当たり500円の予算が組まれているので、参加人数に応じて支出される。
本部のお疲れ様会はどうするのかを、同じ2年の会計黒木さんに相談するために電話をかけた。
お疲れ様会自体は黒木さんにお任せになったが、私はどうにも黙っていられずに次期会長の件を話した。
「えぇぇぇ! そしたらまた役に立たん会長になんの!?」
「会長は男やないと格好がつかんって言うんやから、そうなるんやろ?」
「えー! そしたらかづさんが副会長で??」
「頑張ってくれる会長やったらサポートでも何でもするけど、他の事は女がやったらええんで式だけ出てくれたらええで受けた会長なんて、とんでもないわ! 私辞めますって先生方に言うてんよ。まぁ、これで私が辞めたら米沢さんが大喜びでまた定例会に来るやろうね」
「えーー!!」
黒木さんは悲鳴にも似た声で驚いていた。
その数日後、次期会長選出委員会が開催された。
私は選出委員ではないので当然学校に行くことも無いし、結局誰が選ばれたのか勿論どこからも連絡は無い。
と、思っていたところ、夜になってなんと米沢さんから電話が掛かって来たのだ。
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