20代で結婚、2男1女を授かり、主婦として暮らしてきた中道あんさん。でも50代になると、夫との別居、女性としての身体の変化、母の介護...と、立て続けに「人生の転機」が訪れます。そんな激動の中で見つけた「50代からの人生を前向きに過ごすためのヒント」。
中道あんさんの周囲で聞こえるようになってきた介護のための地元へのリターン、「介護リターン」。このタイミングをきっかけに新たな人生を改めて考えている人も増えているそうです。
【前回】母は6年で1800万円...60歳、今後の自身の介護にかかる費用を考えてみた
私は、経営する会社の将来や自分の老後を考えて不労所得を得ようとして不動産投資を始めました。
先日も2軒目の投資用物件と出会い、購入を決めています。
今すぐにでも住めるような状態の物件だったので、購入翌日から入居者を募集したのです。
すると、その日のうちに問い合わせがあり、内覧も要らないから申し込みしたいという強いオファーでした。
その理由は、介護だったのです。
借主さんは地方に夫婦で暮らしていたのですが、この物件の近くに住む親御さんの介護が始まったので住む家を探していたんだそう。
親が高齢になり自立した生活が困難になると、子どもが介護を担うために実家に戻ることが求められます。それを「介護リターン」と呼んでいます。
借主さんが抱える介護の程度までは存じておりませんが、
・家族が一緒に過ごす時間を増やし、親や家族とより密接な関係を築くことができる
・介護施設や外部の介護サービスの利用は高額になることがあり、家族が介護を担うことで経済的な負担を軽減できる場合がある
・親の面倒を見ることが人生において重要だと考える人が増えつつある
介護リターンには以上のような背景やメリットがあるように思います。
実際、私の友人もパートをやめ、毎日ひとり暮らしの父親のためにごはんを作りに実家に通っているそう。
「そんなの負担じゃない? デイサービスに行ってもらったら?」と尋ねると「違うんねん。わたしがそうしたいの」と返ってきました。
素晴らしい親孝行娘だな~と思いました。
そうなるためには、それまでに良好な父娘関係の構築があったからではないかと思います。
彼女の場合は介護リターンではなく、自分の住まいの近くに両親を呼び寄せたパターンです。
以前までは、このパターンが多かったのではないでしょうか。
私も、父が亡くなる前には自宅近くにマンションを借りようかと奔走して、両親に打診したことがあります。
実際は「気持ちだけいただいておく」と断られましたが、後にひとり暮らしになった母を自宅に引き取ることにしました。
実家に帰ろうとしなかったのは、それでは自分の人生が立ち行かないからです。
介護リターンの課題は
・都市部でのキャリアや仕事を中断せざるを得ない場合がある
・地元に戻ることで、以前の社会的ネットワークが途絶えることがある
・新しい人間関係やコミュニティ作りに参加しなくてはならない
という、生き方レベルで変える場合も少なくないでしょう。
私も、父が亡くなる前はまだ夫と一緒に住んでいたので、家を留守にして親の面倒を見ることに対して遠慮がありました。
昭和世代は、夫に対して遠慮する風潮がまだまだあるのではないかと思います。
でも、夫がいなければ(失礼な言い方ですが)自分がしたいように人生を選択できるのです。
実際、私のところに相談に来られる女性から、夫と熟年離婚して経済的自立を果たしたと思ったら、今度は田舎に住む親のことが気がかりになってきたという悩みを聞くことがあります。
また、ある離婚女性は、親の介護に際して、努力して掴んだ正社員の座を手放して、実家の農地を譲りうけて農業で起業したいといいます。
介護が始まって、やっと自分の本音に気づくことができ新しいビジョンを生み出したのです。
このように、自分自身の価値観やライフスタイルを明確にして、それに基づいた介護の選択を行うことが重要です。
私の場合は、3年前に母を看取り介護は終了しました。
今度は自分の番になるので、将来に備えて不労所得の仕組みを構築している最中です。
そのことを家族全員にオープンに対話して希望を行動で示しています。
60歳をすぎれば、いつ何時どうなるかなんて誰にも分からないものです。
だから、早いうちに経済的な準備だけでもしておくことが大事。
介護する側だけでなく、される側にも言えることですよね。
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。