<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウォッチ
性別:男
年齢:61
プロフィール:子離れ出来ない母親に困っています。
私は61歳の男性です。
平凡な会社勤めをしています。
子供が二人おりますが、息子(33歳)も娘(30歳)も大学卒業後、それぞれ離れて暮らし、現在は、私の母(80歳)と妻(60歳)の3人で暮らしています。
最近、その母親が大病というほどのことではないものの風邪をこじらせてしまい、病院に入院することになりました。
母は「無病息災」を体現したような人で、今まで本当に病気などしたことがありませんでした。
私を出産するときも、当時は『家でたらいにお湯を張って産婆さんが取り上げる』時代だったので、入院の経験もありません。
そのため当初は私も少し心配で、通える限り病院に足を運ぼうかと考えていたのですが、今どうしても病院に足が向こうとしてくれません。
実はお見舞いに行くと、母は「あぁ、やっと来てくれた。私の一人息子の××ちゃん」と大きな声で私をそう呼んでくるのです。
確かに私は一人息子です。
私を生んだ後、父(享年73歳。現在は他界しています)が仕事で事故にあってしまい、子供が出来ない体になってしまったそうで、それゆえに私に対して少し過保護気味ではありました。
例えば、妻とは親戚の叔母が持ち掛けてきたお見合いで知り合ったのですが、叔母と妻と私の三人で初めて会うという会食の席でもこんなことがありました。
「お見合いって初めてだから、私も同席しなくちゃと思って」となぜか母が座っていたのです。
そこは叔母が、相手の方が緊張しちゃったらまとまるものもまとまらないんだからと母に説明し、早々に席を立ってもらいました。
またそれだけではなく、妻との新婚旅行の行き先がハワイだったのですが......。
「海外旅行なんて初めてだから、二人とも大丈夫か心配だし......」といつの間にかパスポートを申請して自分もついて来ようとしていたことだってありました。
きちんと説明したり、強く断ったりすると、意外にすんなりと「そうなの。
わかったわ」とこちらの要望を聞いてくれるため、当時も妻は笑っていてくれました。
しかし、今思い返すと「よくそんな母親のいる私と結婚してくれたな」と妻に感謝の気持ちが湧き上がってくるほどです。
しかし私も父親になり、その子たちも独立する年齢になった今、病院で大きな声で「××ちゃん」と呼ばれることには抵抗があります。
一緒にお見舞いに行っていた妻と病院の看護師さんには笑われてしまい、とても恥ずかしい思いをしました。
妻は相変わらず「そんなの気にしなくてもいいんじゃない? お義母さんも初めての入院で心細いんだよ」とおおらかに笑ってくれています。
ですが、私は母の顔は見たいけれど病院に行きづらいという、何とも言えない気持ちになっています。
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