<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ひろえもん
性別:女
年齢:57
プロフィール:海辺の街で猫3匹と夫とのんびり暮らす、ごく普通の関西のおばちゃんです。
約40年前、大学生だった私は京都の、いわゆる心霊スポットの池から徒歩5分の下宿に住んでいました。
昔、結核が不治の病だった頃、この辺りには隔離病棟があり、多くの患者がこの池で入水自殺したという噂があったのです。
下宿は1階と2階を合わせて24部屋の古い建物で、廊下の奥の壁には2mの高さに小窓があり、直径2cmはある頑丈な鉄柵がはまっていました。
最初は「泥棒対策かな? 大げさだな」と思っていたのですが、戸の外側にも錠前があります。
もしかすると、その下宿自体が隔離病棟だったのかもしれません。
私は下宿に住んでいる間や引っ越しをした後も、いくつかの心霊体験をしています。
下宿生活1週間目の夜、友人のバイクの後ろに乗って肝試しに出かけました。
何事もなく走っていたのに、池の手前でなぜか後ろから引きずり降ろされるように地面に落ちた私。
摩擦で両膝に火傷のようなケガを負い、血だらけになりました。
やはり池は呪われている? と怖くなりましたが、まだ若くて楽観的な性格だった私は「まあ、池に近づかなければ大丈夫」と思っていました。
それから2カ月後の夜、こたつでうたた寝してしまい、気がついたら午前1時。
翌朝5時にゴミ回収車が来るので、生ゴミを出しに外へ行きました。
帰り際、玄関で背後に嫌な気配を感じましたが、部屋に戻り、灯りを消し、再びこたつに潜り込みました。
目を閉じた次の瞬間、誰かが私の顔の真ん前にピッタリとくっついて寝転んでいるのを感じたのです。
電気をつけようとしたのですが、身体が動きません。
目を開けるとトンデモナイものを見てしまいそうなのでどうしようと思ったそのときです。
誰かが私の顔面に「ふーっ」と息を吹きかけたのです!
その息は若いけれど成熟しかけの女性のような匂い...。
難しい例えかもしれませんが、当時22歳だった姉とちょうど同じような匂いでした。
「寒かったの」とでも言いたげな、安堵のため息のような...。
必死に般若心経を唱えると全身の力がスッと抜けたので、すかさず電気をつけ、その夜は明るくしたまま眠りました。
入水自殺の霊が外からついてきたのか、それとも隔離病棟だった下宿にもともといた霊なのか、分かりません...。
その後、卒業までは無事に過ごしましたが、実家に戻り、引っ越しの荷物を整理していたときのことです。
水辺でたたずむ女性の絵の額を箱から取り出した瞬間、ボトッっと何かが床に落ちました。
それは人差し指大の真っ白な芋虫。
一瞬、女性の指かと思い「ヒッ」という声とともに反射的に窓の外に投げてしまったのです。
芋虫は庭に落ちたはずなのに、なぜか二度とその姿を見ることはありませんでした。
それから家族が心身ともに病気がちになり、私が実家を出た後も不幸が続くように。
私が下宿先から何を連れてきたのでしょうか? それとも偶然でしょうか?
そして、実家を出て2年後のことです。
行きつけのお店の男性常連客が私を見るたびに目を背けるので理由を聞いてみると、「背後に血だらけの遊女がいる」と言うのです。
私の京都での体験を、彼が知っているはずはありません。
しかも「遊女は右脚が不自由なようだ」とも言いました。
偶然だと思いたいのですが、現在、私は右脚を痛めてリハビリ中です。
思い半ばにしてなくなった方の霊がさまよっている場所は本当にあると思います。
自分が憑かれることによって周囲に怨念をまき散らす可能性もあるのだと、私は身をもって知りました。
興味本位でそういう場所には近づかないようにしてください。
関連の体験記:窓の外に青白い顔の少年が...!? 友人がガタガタ震え、同じ道を何度もループした恐怖の霊体験
関連の体験記:「自分でカッターで...」別れ話で彼が豹変。「死の恐怖」すら感じた20代の恐ろしくも切ない恋の話
関連の体験記:ありがとう、流星群!「軽い気持ち」で山を散策し、道に迷った私たち夫婦の救世主は...
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。