「ユッケはこう食べるんだよ」と網の上に...ヤンキーだった現夫との懐かしくも恥ずかしい思い出

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ちーさん
性別:女
年齢:62
プロフィール:現在60歳の主人と二人暮らし。一人息子は結婚して同じ市内に住んでいます。

「ユッケはこう食べるんだよ」と網の上に...ヤンキーだった現夫との懐かしくも恥ずかしい思い出 50.jpg

主人とつき合い始めたのは、まだ2人とも高校生の頃で私が一学年上です。

現在、主人は60歳、私62歳なので長いつき合いです。

先日、近くの焼き肉屋さんがコロナ禍のためお客さんが減り、肉が余っていると言うので、ユッケを特別に作っていただきました。

それを夕食に用意して、若い時の主人と焼き肉デートをした時のことを思い出してなんだかおかしくなり笑ってしまいました。

17歳のころの主人は最近話題になった映画『今日から俺は!!』の主人公そのもの。

根は真面目だったのですが、とにかく粋がっていました。

「この世に怖いモノなどない」と言い張り、俺について来いというタイプ。

見た目も良かったのでモテたようですが、なぜか超真面目で地味な女子高生だった私に猛アタックしてきました。

当時は携帯電話などなかったので、自宅の電話に毎日電話をかけてきて、デートに誘ってきました。

両親に叱られないようにヒソヒソと話し込む毎日です。

本当にまめな人でしつこくデートに誘われ、「焼き肉に行こう」と言われてOKしてしまった私。

それほど当時の私には「焼き肉」が魅力的だったのです。

デートの日、初めて行く焼き肉屋さんに入ることに緊張した私はオドオドしていました。

一方主人は、17歳なのに堂々としているように見えました。

テーブルに座ると、主人は慣れたようにお肉の注文をして「あと、ユッケも追加して!」と、ヤンキーらしく(?)焼き肉屋さんのおばちゃんにため口でした。

しばらくするとおばちゃんがお肉と一緒にユッケも持ってきてくれました。

主人は慣れた手つきでお肉を焼き始め、焼けた肉を私のタレが入った小皿に乗せてくれて「もう大丈夫だから、食べな」と優しくリードしてくれました。

初めての焼き肉屋さんに緊張していた私は、主人を頼もしく思いつつ、美味しいお肉を食べて幸せいっぱい!

「お肉おいしーい! これはどうやって食べるの?」

そう言って私が指さしたのはユッケ。

「これ? こうすればいいんだよ」

主人はユッケをかき混ぜて丁寧に網の上に乗せてました。

「まるでハンバーグみたいだね」

私が言うと、主人はちょっと顔を曇らせていたような気もしますが、ポロ、ポロと肉が網の下に落ちていきます。

「お肉が落ちちゃう」と思っていると、お店のおばちゃんが来て大声で言いました。

「やだーこれは焼いて食べるんじゃないよ。これはかき混ぜてそのまま食べるの!」

主人はそんなこと言われても恥ずかしそうなそぶりも見せず、平気な顔をしていましたが、私は恥ずかしくて、恥ずかしくて...。

ユッケをもう一つ頼み、主人は美味しそうに食べていましたが、私は食べられませんでした。

周りの人たちは、焼き肉を食べる若い2人が調子に乗ってユッケでハンバーグを作っているのを見て笑っていたんじゃ...そこが気になりますが、良い思い出にはなりました。

それにしても...堂々とユッケをハンバーグにして焼いてしまっても、悪びれたり照れたりしなかった主人、あっぱれ!

その後何十年もずっとこんな調子で共に過ごしています。

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