荷物が多すぎる...!38年暮らした家を引き払い、高齢母と新居へ

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:みすず
性別:女
年齢:55
プロフィール:55歳独身で87歳の母との2人暮らしです。2016年の12月に38年住んだ家から引っ越しました。毎日快適な生活を送っていますが、それまでには大変な引越し劇がありました。荷物が多すぎる...!38年暮らした家を引き払い、高齢母と新居へ 17-pixta_28739689_S.jpg

去年の12月、青春時代から38年間暮らしてきた思い出のつまった家から、今の新居に引越しをしてきました。前の家も借家であり、6畳3部屋と3畳1部屋続きのいずれも和室の部屋と、キッチンが別の木造平屋でした。築約70年の古い建物で、ベニヤ板の天井は剥がれ、キッチンやトイレの床は落ち掛け、所々の天井からは雨漏り。いつ倒れてもおかしくない位の家でした。しかし、毎日仕事が忙しい私にとっては、ただ寝るためだけにある家だったので、なかなか引越しに踏み切れなかったものでした。しかし、2つの事件がそんな私の気持ちを変えるきっかけとなりました。


まず、1つ目は熊本の大震災でした。私の住んでいる地域は、熊本程の酷い震度ではなかったものの、震度4強と5弱の連日の揺れで、家が倒壊してしまうのではないかと恐怖に震えました。さらに震度4の余震が10日間続き、夜眠ることが出来ませんでした。

そして2つ目は、大震災から1カ月後の母の1年近くの長期の入院でした。古い家なので、ドアを容易に壊すことができ、どこからでも不審者が入れ、1人で寝るには怖い家でもありました。当時、近辺では、空き巣被害にあった家もあり、不審者がウロウロしていると言う噂もあったので、安心して眠る事もできませんでした。さらに、トイレが和式だったので、退院して帰ってきた母には、洋式のトイレでないととても生活が難しいという点もありました。

5月に入院した母の容態が落ち着いた10月から引越しをしようと、まずは物件探しからはじめました。以前から母は、同じ町での一軒家希望でしたので、母の希望の条件で探そうと思いましたが、地元の2件の不動産をあたっても同じ町に一軒家の物件はなく、あっても家賃が私の予算にはとても合わないものでした。そこで、私は今回のように母の入院のようなアクシデントで1人になっても安心して住める立地を条件にしようと思いました。

前の家は、どちらかと言うと中心街から約12㎞離れた田舎町でした。そこで、同じ町から範囲を広げ市内で、2LDKのアパートで母がいるので1階、家賃は約6万程度の条件で不動産会社にリクエストしました。

1件目の不動産屋では、同じ町で3LDKの6万位の家賃。間取りは、申し分なかったのですが、すぐそばに線路があり、騒音など環境的には少し不安がありました。

2件目の不動産屋では、どちらかというと市内中心部に近い所で3件の物件を紹介してもらいました。その中の1件が気に入ったので、そこで前向きに検討しようと病院の母に相談に行ったのですが、母は「貴方が決める所ならどこでもいいよ」とあまり興味がないような気がしました。

ここにしようと決断したと同時に不動産屋から、その物件は他の方と契約したとのこと。とても残念でしたが、仕方がないと諦め、3件目の不動産で、4件紹介してもらいました。

その中の1件で、立地条件から間取りまで気にいったので、先日の失敗がない様に、すぐに決めました。

決めた物件は、大型ショッピングセンターには歩いて行ける距離で、市内の中心部には、車で10分と立地条件は抜群。間取りは12畳の広さのリビングダイニングに6畳和室の1部屋と6畳洋室の1部屋の2LDK。洋室には、別に2畳ほどの納戸が設置されています。お風呂には窓もあり、浴槽の壁際には手すりも設置され、上り口も段差がないので、母が退院しても快適に生活が出来ます。

契約もすみ、11月15日から入居できると決まり、今度は引越しの段取りです。まずは、荷物の整理と処分を考えることになりました。昔の人は、物を取っておく癖があるといいますが、母ももれなくその一人で、物が捨てられない人でした。

狭い家の中には、押入れからタンス、物置まで荷物がぎっしり、さらに3畳の部屋は物置状態でもありました。11月15日から、忙しい仕事の合間に荷物を段ボールや黒のゴミ袋に入れ、少しずつ自分の車で20分掛かる新居に運ぶことにしました。

しかし、なかなか荷物が多すぎて時間ばかりが過ぎ、思うようにはかどりません。12月の中旬に荷物の処分を業者に頼みましたが、いるものと要らない物を仕分けしながら、処分するものはトラックに乗せ、必要なものは一ヶ所に寄せる作業。

どこもここも荷物ばかり、私達の小さい頃の洋服からお雛様、子供の節句の道具、古新聞、スーパーの袋、卵の入っていたパックまで綺麗に箱に入っていました。貰い物の食器やタオルなどは使われないまましまわれたりと、なんでも綺麗にしまっておく母。家具から食器、布団、服などなど、業者の人の協力を得て埃まみれになりながら、3日間掛けて荷物の処分が終わりました。

新居へは、大きな荷物としては、整理箪笥2つと冷蔵庫と洗濯機、テレビのみを会社の人に運んでもらいました。後の荷物は、少しずつ毎日10日掛けて自分の車で運びました。

次に家具屋やホームセンターに行き、新居のためにソファと炬燵式のテーブル、食器棚、仕事用のデスクと整理ダンス1つ、照明、ガスコンロ、炊飯ジャー、掃除機、そして仏壇を購入。食器類は、母が人にもらって使わずになおしておいた物を使用しました。

12月10日から新居で寝泊まりをはじめ、全ての荷物を運び終えたのは、1月末までした。家の荷物のすべての処分に30万円掛かり、新居のための家賃や家具、電化製品、仏壇などの購入含め、150万位掛かっています。

業者の方にはいろいろ協力をしてもらいながら、一人で引越しを成し遂げた達成感はありました。新居は、治安も良好で、倒壊の心配もなくなり、毎日が快適です。もっと早く引越しすべきだったと後悔しています。また、今回の事での大きな教訓は、要らない物は常日頃からこまめに処分することです。

  

【「住み替え」に関する専門家のアドバイス】

日々の暮らしにおける「支出をコンパクト」にするため、きっと多くの人が毎日できる節約をしていると思います。ただ「毎日」という視点ではなく、「老後」や「自分が去った後」のことについてはどのくらいコンパクトにできているでしょうか。

子どもに負の遺産を残すことのないように生活のムダを減らす方法を、ファイナンシャル・プランナーの丸山晴美さんに教えてもらいました。

 

住んでいる一戸建てを売り駅近マンションを購入する

暮らしをコンパクトにする方法の一つに、住宅の住み替えがあります。家族が多いときには十分な広さだった一戸建ても、年齢を重ねるごとに2階への上り下りがおっくうになったり、掃除が大変になったりなど、持て余し気味になっている人も多いのではないでしょうか。例えば、30年くらい前に購入した一戸建てとなると、駅から離れていて、いまとなってはスーパーや病院に行くのも大変というケースもあります。

「それならいっそ売却し、そのお金で駅近の2LDKの中古マンションへの住み替えを検討してみてはどうでしょうか。中古なら価格も低めですし、間取りを変えたりバリアフリーにしたり、壁紙を替えるなどのリフォームも可能です。壁紙や床の張りえであれば100万円程度でできます」と丸山さん。

購入する際には、預貯金を取り崩したり、退職金を当てにすることはやめましょう。家の売却価格より安いのが前提で、7割ぐらいの物件が目安です。「7割程度で買えれば、残りの3割をリフォームや維持管理費などに使えます」(丸山さん)

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一戸建てから2LDKのマンションに住み替えるとなると、当然荷物を処分する必要も出てきます。この引っ越しがきっかけで、荷物を整理できれば一石二鳥です。子どもたちに迷惑をかけないための、いい機会になりそうです。

 

荷物を整理して出た古着などはポリオワクチンに換えて
開発途上国の子どもに届ける

古着などは古着ボックスを購入して指定の場所に送れば、ポリオワクチンに換えて、開発途上国の子どもたちにポリオワクチンとして届けることができます。

 

《一戸建ての売却価格の7割のマンションを購入する一例》


現在住んでいる一戸建て住宅を3,000万円で売却する
▼  
駅近の中古マンションを2,100万円で購入する
7割ぐらいの物件を購入する
▼  
差額の900万円をリフォーム費用や維持管理費などに充てる


中古物件を買う際、また売る際には仲介手数料がかかります。また、2019年10月には、消費税増税が予定されているので、もしそれ以降に売買を予定している場合は、消費税が2%アップすることを頭に入れておいてください。

 

  
冷蔵庫などの家電製品は買い替え時に小型化する

マンションに引っ越すことになったら、検討したいのが家電製品の小型化です。もちろん、現在利用しているものが使えるのであれば、そのまま使うにこしたことはありません。「ただ、マンションによっては、大型の冷蔵庫などが入らない場合があります。あらかじめ、台所の入り口のドアに冷蔵庫の横幅が通るかどうか確認してください」と丸山さん。

引っ越しや故障などのタイミングで買い替えるときには、2人あるいは1人暮らしでも十分な小型の家電製品を選ぶといいでしょう。また、大きな冷蔵庫より小さな冷蔵庫の方が安く買うことができますし、年間の電気代もお得になります。洗濯機に至っては、電気代だけではなく水道代も節約できるので、家計も助かるはずです。

2人あるいは1人暮らしの場合、野菜や肉などが食べ切れずに腐ってしまったり、賞味期限を過ぎて捨ててしまう経験されている人もいるでしょう。冷蔵庫を小型化すれば、当然いままでより入る量が少なくなるので、食材を買い控えることによって食品の無駄が防げるというプラスアルファの効果も期待できるのではないでしょうか。

ちなみに、冷蔵庫や洗濯機などの家電製品について、国税庁が発表している耐用年数は6年です。

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《買い替えるときに家電製品を小型化した際の節約の一例》


●洗濯機の場合

大きな縦型洗濯機(10㎏)⇒ 小さな縦型洗濯機(7㎏)⇒ 2万3,500円のお得
価格10万1,700円       価格7万8,200円      ・年間の節電額 約986円
                            ・年間の節水額 約1,564円

節電額と節水額は、メーカーが表示している消費電力と標準使用量で比較し、1日1回使用した場合で算出したデータを用いています。


●冷蔵庫の場合
大きな冷蔵庫(500ℓ)⇒ 小さな冷蔵庫(315⇒ 16万1,400円のお得
価格25万4,000円     価格9万2,600円     ・年間の節電額 2,000円

節電額は、省エネ製品への買い換えによる電気代削減効果を簡単に比較できるサイト、省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」のデータを使用しています。


取材・文/金野和子 イラスト/坂木浩子 

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
記事に使用している画像はイメージです。
 

<教えてくれた人>

丸山 晴美(まるやま・はるみ)先生

ファイナンシャル・プランナー。節約のことなど、初心者にも分かりやすいマネー術が好評。「貯まる女になれる本」(宝島社)など、著書多数。

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