「寂しいから」亡き夫の衣類を捨てられない義母。遺品整理で学んだ「生前整理」の重要性

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ペンネーム:フラワー
性別:女
年齢:51
プロィール:51歳ライターです。毎日の人生を楽しむことが私の基本哲学。仕事・家事へと勢力的に取り組んでいます。

※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

◇◇◇

2013年夏、義理の父が他界。享年89歳でした。生前から頑固で破天荒なトラブルメーカーだった義父ですが、亡きあとは私たち家族に「自分の遺品を整理する」という難題を突き付けました。

遺品整理は義母がメインでするのがベスト。一つ屋根の下で生活していたわけですから、色々とあるはずです。しかし、涙にくれる義母は、「自分ではとてもできないからお願い」と、夫とその兄弟に託しました。

しかし、実際に動けるのは夫だけで遺品整理は事実上夫の役割に。私は内心「なんじゃそりゃ」と思いながらも、あれこれ言ってもやるしかないと笑顔で快諾。早速夫がメイン、私はサポートで義父の遺品整理が始まりました。

夫の実家で遺品整理をする目的は主に2つ。まずは本来の目的である形見分け。そしてもう一つが義母の安全を確保するため。夫としてはこちらの目的がメインだったようです。

というのも、夫の実家は狭い。いや、物であふれているからそう感じるのでしょう。それがケガの原因になっては大変と、義父が存命している時から不用品の片付けを提案していたのですが、ことごとく却下される始末。昭和の勿体ない精神が宿っている上に、人のアドバイスなど義父にとってはうるさいだけ。結局何一つ片付けられませんでした。

ようやく、遺品整理のタイミングで片付けられることになったというわけなのです。

遺品整理のステップは、仕分け→いるものの中から形見分け→不用品は処分→迷うものは保管、こんなステップで行う予定でしたが、ほとんど進みません。それぞれの立場と思いの違いが仕分け作業にストップをかけたのです。

まずは兄弟たち。あれこれ意見をぶつけてきましたが、「だったらやってね」の夫の一撃で撃退。結局ほとんどの場面で作業にストップをかけたのは義母でした。

例えば、40年以上前に購入したトレーニングマシン。室内で自転車をこぐアレです。昔のものは本当に大きくて重たい。それが室内にデーンと置いているわけですから、どうしたって邪魔になります。

それが何年も置いたままなので、さすがに要らないだろうと判断。義母に聞いたところ、こんなやり取りが。

夫:これ、いらないよね。
義母:高かったから。まだ使えるし。もったいない。
夫:使ってる?
義母:使ってない。
夫:誰が使うの?
義母:わたくし。
夫:じゃ、乗ってみ。
義母:よいしょ、よいしょ......おかしいな......乗れない。
何とか懸命に乗ろうとしていたのですが、義母は足が届かないでバタバタしていました。私は不謹慎にも心の中で爆笑。

万が一本当に使っては危険がいっぱい。笑いごとではすみませんので、義母をなだめて何とか処分にこぎつけました。

そして、義父の洋服の処分の時の会話はこんな感じでした。

夫:処分していい?

義母:......取っておいて。
夫:着る?
義母:わからん。
夫:わかるでしょ。着ないよね。
義母:......寂しいから。
夫:わかった。じゃあ今度ね。
この時は夫も私も涙がポロリとこぼれました。義母の寂しい気持ち、痛いほどわかります。

義母&夫&私で行った遺品整理は、一事が万事そんな感じで進みました。義母の生活を便利にしようとあれこれ考えても、義母本人が「捨てない」と決めてしまえば、強制的には捨てることができませんし、寂しさを感じさせてまで捨てるのはさすがにできません。結局多くを残したまま終了となりました。

このことがきっかけとなり、自然と夫と話し合うことに。その結果、生前整理がベストな選択だとなりました。今はその方向に着々と進んでいます。

関連記事:義父が残した"負"の遺品に、愕然とした夫。それを教訓に私たち夫婦は「生前整理」を決断した

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