もう若くないんだ...必死の走りぶりを「エリマキトカゲ」と笑われた30年前のリレー走

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ちーさん
性別:女
年齢:62
プロフィール:現在60歳の主人と二人暮らし。一人息子は結婚して同じ市内に住んでいます。

もう若くないんだ...必死の走りぶりを「エリマキトカゲ」と笑われた30年前のリレー走 26.jpg

30年前、近所で若いお母さんと言われていた32歳の私。

40代、50代のお母さんたちから体力がガクンと落ちたという話は聞いていたのですが、正直良く分からないといった感じでした。

秋の行事で小学3年生の息子と地域の体育祭に参加したときのことです。

私は子ども会の役員をしていた関係上、体育祭の何かしらの種目に参加しなければならなかったのです。

他の役員の方が私に「○○さん、年代別リレーの20代に出る人がいないから、それに出て」と言ってきました。

「30代だから無理でしょ」と私が言うと、「大丈夫だよ。若く見えるから」と言いました。

その頃は今と違っていい加減なことが通用していたのです。

今だったらバレたらまずいということが、当時はバレなければいいという感じでした。

私も調子に乗ってしまい、地域体育祭最後の種目、年代別リレーの20代部門に参加をすることにしました。

最初に10代が走ってきて、バトンを受け取ります。

20代が受け取り、30代にバトンを渡し、30代から40代に、50代までいってゴールです。

当日は息子と仕事を休んだ主人も応援に来ました。

「そのくらい走ることなんてどうってことないわ」

少々足に自信があった私は、久しぶりに走ることに意欲満々。

まだ32歳だった私は、歳をとって体が変わっているということが想像できなかったのです。

リレーが始まると、私の前の10代の人が2番で走ってきて、バトンを渡されました。

勢いよく走り出したつもりの私は、とたんに違和感に気付きました。

「足が動かない! 足が重い! えーどういうこと!? 足がもつれる。若くないんだ」

そう、このとき感じたのは老いです。

軽いノリで参加を決めてしまった私は、事前に走る練習もしていなかったので、自分の足がこんなに重く、動かなくなったとは予想していませんでした。

「足がもつれるってこういう感覚なんだ...」

走りながらそんなことを思っていました。

それでも何とか必死で走り、次の人にバトンを渡しました。

次の人も40代なのに若ぶって30代部門で参加した人。

その人の走りっぷりを見ていましたが、失礼だけど笑ってしまいました。

下半身だけは一生懸命に頑張っているのは分かりましたが、上半身が追いついていかないといった感じでした。

そんな感じなので、私たちのチームの結果は散々なものとなり、面目なかったです。

それを見ていた息子と主人は、その場では何も言いませんでしたが、薄笑いをしていました。

家に帰ってきてから主人が「おい、そういえばあのリレーでエリマキトカゲが走っていたぞ!」と...。

エリマキトカゲ、みなさんご存知ですか?

30年前の当時より少し前に、エリマキを広げて荒野を走るテレビのCMが話題になっていました。

そのエリマキトカゲが走る姿が、リレーに参加した私に似ていたとのこと。

若く見られることで調子に乗り、20代部門でリレーに参加して足が動かないことに老いを感じ、「エリマキトカゲ」と言われた悲しいような笑えるような思い出です。

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