<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男
年齢:59
プロフィール:自分が若い頃に見ていた50代よりは若々しいつもりでいたのですが、やはり寄る年波には勝てないようです。
「あれ? なんか、足が...イタタタ」
それは3月末の朝のことでした。
ふくらはぎがひどくひきつったように激痛が走ったのです。
「こむら返りか? 伸ばすと治るかな...イタタ...」
30代の頃、登山した翌朝にこむら返りが起こり、ふくらはぎを伸ばすようにしたら楽になったのを思い出したのですが、今回は効果がありません。
「どうしたの?」
妻(56)が、足を引きずって起きてきた私を見て、心配して声を掛けてきました。
「いや、なんだか急に右足のふくらはぎがつったみたいで...」
「伸ばすといいのよ。やってあげようか?」
「いや、もう試したよ。ダメだった」
背もたれに寄りかかりながら椅子に座る様子は我ながら情けない格好です。
「じゃあ、つってるってわけでもないんじゃない? 何かしたの?」
妻に言われるまでもなく、起きた時から考えているのですが、特に心当たりがありません。
「...足を寝違える人っているの?」
座りながら足をさすっている私の顔をのぞき込むようにして、妻にも首を傾げられてしまいました。
「どうするの? 仕事行けそう?」
「...うーん、立つのもきついぐらいだからなあ、行っても足手まといになりそうだ」
役場の広報課に勤めている以上、外回りの取材は必須です。
このざまでは迷惑をかけるだけと割り切って、午前中は有休を取って病院に行くことにしました。
「今朝から急にですか? 心当たりもないと...」
「はい、そうなんです」
「一応レントゲンを撮ってみますか」
外科の先生も首をひねりながら少し触診をした後、レントゲン室へ行かされました。
しばらくして名前を呼ばれ、診察室に戻りました。
「レントゲンに異常はありません。触診の結果も考えると...筋肉痛ですね。いわゆる」
「は? 筋肉痛ですか?」
「はい、何か無理はなさいませんでしたか?」
「昨日は普通に仕事に行っただけですよ」
「ふむ...数日前とか、どうですか?」
「数日前? 関係ないとは思いますけど...」
そこで3日前の休日、新しくできた郊外型のショッピングモールに妻と出かけ、物珍しさもあって、数時間ウィンドウショッピングに興じたことを話しました。
「でも3日も前ですよ」
「ふだん、そんなに歩かれるんですか?」
「いやそれほどは、さすがにその日は少し足は重かったですけどね...」
すると医者は我が意を得たりと説明してくれました。
「それですね、筋肉の損傷が徐々に進んだんだと思います」
「そんなことあります? 今までも筋肉痛になったことはありますが、大抵はその日のうちに痛くなってきましたよ」
「筋肉痛は、筋肉の損傷なんですけど、年齢を重ねて筋力自体が弱まると、徐々に損傷を広げて、数日たって一気に、ということがあるんです」
年齢を重ねて、というフレーズに頭を殴られた気分でした。
「湿布を出しておきます。1週間たっても痛みがひかないようならまた来てくださいね。若い時より治りも遅いですから」
2発目のカウンターパンチによろけそうでした。
3日も前の無理が今ごろ響いてくるなんて、なんとも恥ずかしい気分でした。
「うちの奴、大笑いするだろうな。...職場のみんなにも言いづらいなあ、3日前の無理がたたったらしいです、なんて...」
自分がもう若くないことを痛感した、赤面ものの出来事でした。
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