認知症の祖母の介護でボロボロ...。10年前の私と母を救った「歌」のボランティア活動

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:もなか
性別:女
年齢:44
プロフィール:5歳年下の夫と二人で東京のはずれで暮らしています。結婚してもうすぐ2年。

認知症の祖母の介護でボロボロ...。10年前の私と母を救った「歌」のボランティア活動 49.jpg

10年ほど前、私は30代、母は60代前半の頃の思い出です。

当時、家には認知症の祖母(90代)がおり、母を中心に家族で介護をしていました。

祖母の認知症は進行しており、家族みんなでとはいえ食事から下の世話までする介護はなかなか気の休まらないものでした。

私は趣味で楽器を習っています。

少し上手になってきたところで、時々人前で演奏を披露していました。

せっかくの特技なので、当時祖母が通っていたデイサービスの施設で毎月ボランティア演奏をさせてもらうことになりました。

趣味が役に立つのなら、私にとってもうれしいことです。

施設ではイベントとして予定を立てていただき、昭和歌謡などを演奏することになりました。

ただ演奏を聴くよりも、利用者の皆さんには歌を歌ってもらったほうが楽しいだろうと思い、演奏に合わせて歌ってもらうことにしました。

そこで、歌の好きな母にも手伝ってもらおうと考えました。

当時の母は家が自営業の事もあり、あまり自由に出歩きにくかったのと、祖母の介護疲れでストレスが溜まっている様子でした。

そこで、母のストレス解消のためにも外に連れ出す口実を作ることにしたのです。

「私1人じゃちょっと自信がないから手伝って」

そう言って月に一度のボランティア演奏に、一緒に来てもらうことにしました。

そして母にお願いしたのは、盛り上げ役として施設の皆さんと一緒に演奏に合わせて歌を歌ってもらう役です。

母も最初は恥ずかしがって渋っていたのですが、 回を重ねるごとにとても楽しそうに歌ってくれていました。

演奏後には積極的に利用者さんに話しかけて実に楽しそうでした。

母は回を重ねるごとに馴染んでいって、ある時仕事が抜けられず私1人で行った時などは「今日はお母さん来ないの?」と利用者さんに聞かれたこともあり、すっかり人気者でした。

見ていると、母はお話しするのがとても上手で、皆さんを楽しませていました。

当の母も「次は何をやる?」と演目の相談もしてくれるようになり、楽しんでくれてるのかなと感じました。

ちゃんとストレス解消になっていたようで誘ってよかったと思いました。

また、施設のクリスマス会に招かれた時は、私たちのために皆さんがプレゼントを用意してくれました。

その時撮った母の写真はとてもいい笑顔でした。

祖母が亡くなってからも数年間は2人でボランティアに通っていました。

その後私の転職などで通えなくなってやめてしまいましたが、あの時母と一緒にした施設での活動はとても良い思い出です。

皆さんに楽しんでもらうために始めたボランティア活動でしたが、逆に私たちのほうが元気をもらえていたのかもしれません。

今は母と離れて暮らしていますが、また機会があれば2人で何か出来たらいいなと思っています。

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