<この体験記を書いた人>
ペンネーム:みけ
性別:女
年齢:50
プロフィール:両親と同じ敷地に住んでいる自営業の50歳女性。
同じ敷地内に住んでいる80歳の父の事です。
うちは自営業で、自宅から歩いて3分くらいの場所に事務所があります。
事務所の敷地内には倉庫や作業場といった用途で使う建物の他に、温室や家庭菜園などができる庭もあります。
4年前に仕事を引退したものの、家より事務所にいる時間の方が長かった父は、今でも毎日通っています。
自宅は両隣のお宅の建物に挟まれて薄暗く、いじれる庭もないので、事務所にいる方が清々するのも理由なのだろうと思います。
足の運動にもなるし、訪ねて来てくれた人達と接していれば脳のためにもなるので続けて欲しいのですが、悠長なことを言っている場合ではなくなってきました。
父はずっと歩いて事務所まで通っていたのですが、今年に入ってから自転車を使うようになったのです。
自転車に乗っている姿は始めて見ましたが、歳のわりにしっかり乗れている事にはビックリでした。
どこで探してきたのか電動の空気入れを購入して、タイヤのチェックも怠りません。
これなら大丈夫と安心していたのですが、その矢先、小雨の降る日に私の目の前でよろけて転びそうになりました。
とっさの事態に何もできず立ちすくんでしまい、「骨折したらどうしよう」なんて考えていた私。
幸い支えてくれる塀があり、うまくもたれてズルズルと着地し、軽い擦り傷だけで済みました。
ほっとしましたが、同時に安心が不安に変わりました。
父は何事もなかったかの様に、助け起こそうとする私を振り切って走り去りましたが、見送る私はもう疑いの目でしか見られませんでした。
「また繰り返すぞ」と。
それ以来、意識して父の事を見るようになり、驚いた事があります。
小雨とは言えない雨の日には傘をさして片手運転をしていたのです。
しかもサンダル履きで!
仰天しました、私だってやらないよ。
雨が強い日は歩いて帰っていると思い込んでいた分ショックでした。
「お父さん、雨なのに傘をさして片手運転なんて何考えてんの? また転ぶでしょ?」
つい、声を荒げてしまいました。
すると父は「転んじゃいないよ」とシレっと答えます。
いつものパターンなのですが、余計頭に血が上ってしまいました。
「場所に助けられただけでしょ。サンダル履きなんだし、雨が降ったら歩きなよ」
「...」
「聞いてる?」
「...無理かどうかは自分で分かる」
ダメだ、父はぜんぜん分かってくれていません。
頑固な父は今も私の心配はどこ吹く風で、片手運転を続けています。
事務所までの道路は、朝夕の通勤時は飛ばしている車も通るため、あおられる事もあると考えると心配です。
「歩けるんだから歩いて!」
そう言いたいけど言えなくて、モヤモヤしています。
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