<この体験記を書いた人>
ペンネーム:八知
性別:女
年齢:56
プロフィール:バツ1女性です。おばさん派遣社員のちょっと笑える職場あるあるをお届けします。
私は正社員で働いた事がほとんどなく、アルバイトやパートをして今迄過ごしてきました。
職歴としては、20職種以上経験したでしょうか。事務、飲食、販売、製造、サービス業ほかさまざまです。
ここ数年はずっと派遣で働いており、色々な会社に派遣される中、4年前、ある会社に事務の仕事でお世話になる事になりました。
派遣契約というのはだいたい3カ月おきに更新の確認があるのですが、50代の私はもう他に行く処が無いのでは? という不安からずっと更新を祈りながら働いていました。
幸いその会社では長期で更新を続ける事ができていました。
しかし派遣法で今迄続けていたその仕事は3年で契約満期、目の前が真っ暗になりました。
ですが偶然にもその会社の別部署で派遣社員として受け入れてくれる事になり、私は本当に運が良かった! と、喜び勇んで勤め始めたのです。
ところが、同じ会社といってもその部署は今迄と全く違う環境でした。
部署が違えば何もかもが違うのは当然ですが、それより何より私自身が変わり始めていました。
更年期を経て色々と身体の不調はありました。
まず、老眼の急加速。
昔は何でもなかったPC作業の打ち間違いが格段に増えました。
特に数字の見間違いと入力欄の見間違い。
はたまたアドレスを選び間違えて別会社にメールを送ってしまうという恐怖体験。
これは視力というより脳の判断ミスも問題です。
特に顕著であったのが短期記憶の衰えです。
昨日教わった書類の分類方法が思い出せません。
取ったメモのどこに書いたか思い出せず、探し出すのに一苦労です。
また、勘違いも増えました。
今迄山田さんと思っていた人が実は中田さんだった! 何故気づかなかったのでしょう?
質問されても、咄嗟に最初の1文字だけしか出て来ない。
コピーとスキャナーのボタンを押し間違えて、いつまで経ってもコピーが出て来ず、他人のPCに謎のスキャン書類を入れて気味悪がられる。
他人のタイムカードを間違って押す。
印刷間違いで大量の紙がシュレッダーに。
しかもプリンターの選び間違いで遥か彼方のプリンターに出力されて汗だくでそこまで猛ダッシュ。
孫ほど歳の離れた同僚にていねいに仕事を教えてもらい、1度で覚えきれずに何度も聞いてポカンとされる。
ICカードがうまく扱えず、部屋に1人だけ入れない&出られなくなる。
本当に恥ずかしかったのが伝票を間違った所に保管してしまい、行方不明になった事です。
その時は大捜索大会になってしまい、結局見つかったのですが、途中何度も防犯カメラ(私が映っている)をスロー再生してもらい、ドラマのように捜索場所を推理するという、夢でうなされそうな体験をしました。
もしかしたら認知症の初期なのでは? と不安になりました。
しかしある日たまたま昔の部署に手伝いに行く事があり、その時は普通に仕事が出来ていたので、業務が合わない、又は心理的なものかもしれない...そう思いたい!
そう思い込む事を許して下さい! と何度心の中で叫んだかしれません。
しかし結局1年で降参、退職する事にしました。
周囲の方にあまりにも申し訳なかったのです。
職場を去る日、なぜか涙を流してくれた同僚の方には感謝しかありません。
こんなお騒がせの私ですが、仕事をする上で思うのは私のようなおっちょこちょいがいる事で、他の人が(この人よりかはマシだ)と安心して働く事ができるから存在価値はあるという事です。
誰しも必ず歳を取って衰え、仕事もおぼつかなくなり、若い人に迷惑をかける。
今回、その事を身をもって体験し、その辛さがよく理解できました。
家族からは毎日辛そうに働いていたのだから、暫くゆっくり職探しをしなよ、と励まされました。
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