<この体験記を書いた人>
ペンネーム:柊子
性別:女
年齢:53
プロフィール:パート主婦。非協力的な夫あり。苦手な家事と、高齢で授かったまだ手のかかる子ども2人の育児に奮闘中。
82歳の義母は元気いっぱい。
そして私と同じく、決して美しいというわけではないご面相です。
私には高齢で出産した長女(15歳)がいるのですが、幸い(⁉)なことに私とあまり似ておらず、ぎりぎり「美人」のくくりに入る顔立ちです。
家族で夫の実家へ帰省した時など、義母はいつも「〇〇ちゃん(長女)、美人ね~」と話しかけてくれていました。
しかし、そのあとに必ず付け加えるのが「誰に似たのかしらぁ~」という言葉。
あまりにもしつこく繰り返されるため、やがて私は義母が「長女が美人」ではなく「母親はブス」だと遠回しに言っていると感じ始めました。
私や子供の誕生日には贈り物を欠かさないなど、気配りはしっかりしてくれる義母なので、やはり嫌味で言っているのだろうと思う気持ちが拭えないのです。
ある時、義母の「誰に似たのかしらぁ~」に(また始まった)と思いながらも「お義母さまに似たのではないですか?」とすまして言ってみました。
しかし義母は「私に似ていたら困るわ~」と戸惑った様子。
その素振りからすると、「自分に似ている」と言ってほしいわけでもないらしいと分かりました。
さらにその後、2018年頃のお正月に帰省した際にも、いつもの「誰に似たのかしらぁ~」がでました。
いい加減うんざりしていた私は「私に似たんですよ!」と言ってみたところ、思いもかけない返事が返ってきました。
「あら、違うわよ、あなたのお母さんに似たのよ」。
ああ、なるほどね...。
私の母は今や高齢ですが、昔はよく友達から「お母さんきれいね」と言われていました。
私の母を持ち上げる、ひいては私を持ち上げているつもりなのか、逆に「私の母に似た」と言うことでやっぱり私を貶めているのか...。
もはやどうでもいいのですが、「お母さんに似たのね」と言うだけにしておけば、その場が丸くおさまるのにと思ってしまいました。
遠方からわざわざ帰省したお嫁さん(私ですが)を労う気持ちで、それくらい言ってもいいのにと思ってしまったのは、私がずうずうしいのでしょうか。
先日、自宅に届いた義母からの小包の中には、わざわざ私宛に手紙が入っていました。
「先日お母さま(私の母)と電話でお話しました。〇〇ちゃんはお母さまに似て美人ですねって話したんですよ」
...それを伝えて私にどうしてほしいのでしょう。
義母とはますます距離を置き、関わらないようにしようとの思いを強くしていました。
しかしその後、ある人からの思いがけない言葉により、私も義母の気持ちについて、少し違う角度から考えるようになったのです。
その人が言うには、それは義母が自分のことをもっとほめてほしいという気持ちの裏返しからくる発言なのだと。
すぐには意味が分かりませんでしたが、よく考えてみてハッとさせられました。
義母は義父を看取った後は一人暮らしです。
それでも、子供や孫へのお祝いや贈り物を欠かすことはなく、一人で頑張ってきたのに、私たち夫婦や子供たちも「お婆ちゃん、頑張っているね」と義母をほめたことはありません。
少しでも自分をほめてほしくて、無意識に嫁の私を貶めるような発言をしているのではないか...そうしてしまう気持ちが分かる気がしました。
今までは、「ご自分は人のことをとやかく言えるご面相ですか?」と、義母に対してカッカしていたのですが、私は自分のことしか考えていなかったのかもしれません。
もちろん、真相は違うかもしれませんが、そのように考えたほうが、自分の気持ちが穏やかになることに気づきました。
元気そうな義母ももう82歳。
これからはもう少し義母の気持ちに寄り添い、労ってあげることが大事かなと思っています。
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