日頃のモヤモヤやイライラ...人生を重ねると、さまざまな心配事が出てきますよね。そこで定期誌『毎日が発見』の「お悩み相談」コーナーから「読者の悩みと専門家のおこたえ」を抜粋してご紹介します。今回は、「友人に戦争や政治の話はしないほうがいいのでしょうか...」というお悩みに、作家、合気道家の三枝龍生さんがアドバイス。さあ、あなたは...どう思われますか?
【お悩み】
世の中の不安や政治の話など、話せない雰囲気どうしたら
母は86歳で、子どもの頃に戦争を体験しました。
終戦は11歳。
母が覚えている限り、その頃の話を私や子どもたちにしてもらっています。
食糧難で、白米が入っていない麦ばかりのご飯が苦手だったこと、当時の新聞の一面の様子、8月15日を境に昨日まで正しかったことがそうではなくなったこと...。
母はPCもスマホもAmazonも使いこなすような人で、懐古趣味ではないので逆に説得力があり、私自身の考え方も母の話に大きな影響を受けています。
悩みというのは、いまの世の中に対する不安を、口に出せないような雰囲気があることです。
友人に、戦争は怖い、そういう方向に日本が変わっていかないでほしいというような話をすると、全く違った意見を持っていて不機嫌になったり、話をすること自体が迷惑のような顔をされます。
やはり政治的な話はしない方が良いのでしょうか。
子どもたちに「しない方が良い」と言うのも抵抗があります。
東京都 F・Nさん(56歳)
【おこたえ】
語ることができるお母様を誇りに思い歴史観の追求を
質問者に、儂(わし)がはじめに断っておきたいことは、歴史はいつも時の権力者によって、歪められるモノ、だということ。
それは、過去においてもそうであったように、いま、我々が一般に正しいと思っている歴史観も同じく、歪められたモノであることを知ってください。
その上で、毅然といまの歴史観と違うことを沈黙でなく、語れるというのはかなり立派なお母様です。
それをまず、誇りと思ってください。
お母様もいまの歴史観を知っているので、それに抗して話すのは大変な労力と信念であることを理解してあげてください。
そしてさらに大事なことは、仮に、いまの歴史観もお母様の歴史観も違っているとして、質問者の方が俯瞰力を持って、正しいと思われる歴史観を追求してみることです。
あるいは、そういう気持ちになってみてください。
貴重な歴史の側面を話すお母様を誇りに思いながら。
それは、世界が動き、歴史観が動こうとしているいまこそ、必要な姿勢と言えます。
●三枝龍生さん(作家、合気道家)
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