「500万円くらい損を...」肉乃小路ニクヨさんが、個別株で失敗して得た「4つの教訓」

こうして当初私はニュージーランドドルと米ドルの外貨預金、日経225(平均株価)の投資信託とグローバルソブリンの値動きを見ながら、お金がちょっと貯まって、安いと思う時に買い足していくという方法で運用していきました。良い時も悪い時もありましたが、この方法だと借金をしていないし、毎日値段をチェックしているし、買ったものが大きな値動きをするものでもなかったので、損は一切ありませんでした(といっても年利10%くらいの収益でしたが......)。

ところが保険会社に転職して正社員になりボーナスをもらい始めると、ガンガンお金が貯まっていきました。正社員になると上司と一緒にランチをする機会も増えたのですが、当時個別株の中でも仕手株にハマっていた上司が、毎日その話をしてきます。ちなみに仕手株とは特定の投資家によって株価が意図的に操作されている銘柄です。仕手筋(大量の株式を売買し、株価を操作する投資家や投資家集団)によって売買されている恐ろしい銘柄といえます。

「500万円くらい損を...」肉乃小路ニクヨさんが、個別株で失敗して得た「4つの教訓」 肉乃小路ニクヨさん
撮影/西尾豊司

私は投資信託大好きっ子だったので、当初は個別株についてはやったことがなかったし、やる勇気もありませんでした。しかし恐ろしいもので毎日1年以上、その上司の話を聞いていたら慣れて来ちゃうんですね。上司が薦めていた仕手株の値動きも自然と追いかけてしまい、追っていると、上司が買った値段よりも安くなってきていることがわかりました。

正社員として1年経てばボーナスは2回分貯まります。そのタイミングで誰にも言わず黙って、その仕手株を買ってしまいました。最初は値上がりしたので、しめしめと思って買い足しました。そうしたら、今度は下がってきちゃったんです。そこでも下がったからには上がるはず、これはチャンスだと思って買い足しておこうと思いました。この仕手株で大きく増やして高級マンションの頭金にでもしようと夢見ました。「これでやっと資産でも周りの同級生たちに追いつける」と焦ったんでしょうね。そしたらあれよあれよという間に値段が下がっていって、その会社は吸収合併されて企業名が変わって、持っていた株が二束三文になってしまいました。私はこれで500万円くらい損をしました。

不幸中の幸いだったのは、借金をしていなかったこと。だから誰にも迷惑をかけなかったのです。また、その後も仕事は順調で稼ぎ続けていたので、なんとか働いて損金をすぐに挽回できたことです。仕事をしていると一定期間頑張れば挽回がきくので、そういった意味でもまだ若いうちに、失敗を経験して良かったなと思いました。

この失敗から得た教訓は、

1.投資は余裕資金でやるべし
2.個別株は現物株(借入することなく自己資金且つ時価で取引する株)のみでやるべし
3.知らない会社の株は買わない
4.過去の値動きについて説明できる株を買うべし

です。

その後、保険会社でのキャリアを積んでいくうちに、さらに分散して投資することの重要さ、長期投資の大切さを学びました。このような経緯を経て、今現在の投資方針に辿り着くわけです。

<ニクヨの愛あるアドバイス>

投資に夢やロマンを求めると大変なことになる。夢やロマンという言葉が出てきたら、それは投資ではなく博打。若いうちの失敗は挽回できるのが救いだけど、良い子はマネしちゃダメですよ。

 

肉乃小路ニクヨ
経済愛好家、ニューレディー、コラムニスト。
渋谷教育学園幕張高等学校を卒業し、慶應義塾大学総合政策学部へ進学。大学在学中より女装をスタート。大学卒業後は金融業界で10年以上勤務し、お金のプロとして様々な提案を行う。証券会社、銀行、保険会社などを渡り歩き、夜は新宿2丁目の夜の社交場で、人間観察力を磨いてきた。42歳で退職し、その後はフリーランスとして、自分らしく生き、人生をバラ色にするために必要なお金との付き合い方を、多くのメディアで熱く発信する。千葉県出身。

※本記事は肉乃小路ニクヨ著の書籍『確実にお金を増やして、自由な私を生きる! 元外資系金融エリートが語る価値あるお金の増やし方』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。
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