令和に人気の「レコードプレーヤー」。即完売の「サウンドバーガー」と「チェキ」に共通する魅力

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『高くてもバカ売れ! なんで? インフレ時代でも売れる7の鉄則』 (川上徹也/SBクリエイティブ)第8回【全8回】

インフレによる値上げが続き、消費者の購買行動にブレーキがかかる中、それでも売れ続ける商品は確かに存在します。それらの商品は一体何が違うのでしょうか? 湘南ストーリーブランディング研究所代表の川上徹也氏による『高くてもバカ売れ! なんで? インフレ時代でも売れる7の鉄則』は、その疑問にロジカルに答えています。実際に売れた商品の事例を見て、理由を考えながら読み進めてみましょう。

※本記事は川上徹也著の書籍『高くてもバカ売れ! なんで? インフレ時代でも売れる7の鉄則』(SBクリエイティブ)から一部抜粋・編集しました。


令和に人気の「レコードプレーヤー」。即完売の「サウンドバーガー」と「チェキ」に共通する魅力 08_pixta_5678663_M.jpg
※写真はイメージです(画像提供:ピクスタ)

令和の今、なぜレコードプレーヤーが売れるのか?

多くの人がスマホでサブスクの音楽を聴く時代、レコードプレーヤーの人気が若年層の間で高まっています。

いかにも「昭和レトロ」なデザインのものもありますが、ここではネオレトロ感のある「サウンドバーガー」をご紹介したいと思います。

「サウンドバーガー」は、創業60周年を迎えたオーディオテクニカが、1982年に発売した同名のポータブル・アナログレコードプレーヤーを復活させた商品です。2022年11月にオンラインストアのみで売り出したところ、発売するやいなや即完売。翌月の再販売でも瞬く間に完売しました。

アニバーサリー企画として「サウンドバーガー」が選ばれたのは、アナログレコードを知らない世代に、その魅力を伝えるコミュニケーションツールとして最適だという理由がありました。従来のオーディオファンにも注目されましたが、とくに目立ったのがZ世代の盛り上がりでした。

創業60周年記念イベントに設置したサウンドバーガーの先行販売エリアには、ポップカルチャーやファッションとしてレコードに興味を持つ若年層が多数来場。レコードをハンバーガーのパテのように挟み込んで回転させる再生方法が斬新だということで、非常に好評だったといいます。

その場ですぐにリアルな写真が手に入り、それを人にあげることもできる「チェキ」と、持ち運びが可能なレコードプレーヤーである「サウンドバーガー」は、どちらもコミュニケーションツールとして魅力的だという共通点があります。

デジタルとアナログの「いいとこ取り」を実現し、ユーザーに「レトロエモい」体験を提供できれば、そのガジェットはヒットの期待大と言えそうです。

 

川上徹也
湘南ストーリーブランディング研究所代表。大阪大学人間科学部卒業後、大手広告代理店勤務を経て独立。数多くの企業の広告制作に携わる。東京コピーライターズクラブ(TCC)新人賞、フジサンケイグループ広告大賞制作者賞、広告電通賞、ACC 賞など受賞歴多数。現在は、広告制作にとどまらず、さまざまな企業・団体・自治体などのブランディングや研修のサポー ト、広告・広報アドバイザーなどもつとめる。著書は『物を売るバカ』『1行バカ売れ』(いずれも角川新書)、『キャッチコピー力の基本』(日本実業出版社)、『江戸式マーケ』(文藝春秋)、『売れないものを売る方法? そんなものがほんとにあるなら教えてください!』(SB 新書)など多数。

※本記事は川上徹也著の書籍『高くてもバカ売れ! なんで? インフレ時代でも売れる7の鉄則』(SBクリエイティブ)から一部抜粋・編集しました。
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