大好きな妻との日常を描いた『ふうふの日記マンガ』をSNSに投稿している漫画家・カレーとネコさん。仲良し夫婦の日々は平和そのもの...だったのですが、ある日、妻の体調が突然悪化。検査の結果、国の難病に指定されている進行性の病気「リンパ脈管筋腫症」であることが判明します。妻の突然の入院で2人の日常はどう変化していくのでしょうか。
夫婦で支え合う姿に心がじんわり暖かくなると話題のコミックエッセイ『大好きな妻が難病になった話~ふうふの日記マンガ~』。電子書籍化を記念して、作者のカレーとネコさんに本書に込めた思いを聞きました。
『大好きな妻が難病になった話~ふうふの日記マンガ~』(カレーとネコ/KADOKAWA)
――まずはカレーとネコさんの自己紹介をお願いします。
カレーとネコ:「ふうふの日記マンガ」という妻との日常を描いたコミックエッセイやギャグ漫画などをSNS上に投稿しています。2023年3月に妻が難病の「リンパ脈管筋腫症」と診断され、病気に関する内容についても発信するようになりました。
妻とは15年前にネットで知り合い、大阪と埼玉の遠距離恋愛を経て結婚しました。現在結婚7年目です。病気のことであたふたする事もありますが、2人とものんびりした性格なので毎日をマイペースに過ごしています。
――カレーとネコさんが漫画家になったきっかけについて教えてください。
カレーとネコ:小さい頃、本棚にあった『ドラえもん』を読んで、子どもながらに漫画の世界に魅力を感じ、『ドラえもん』を真似た漫画を落書き帳に描いていました。大人になってからも趣味で漫画を描いていましたが、ある漫画投稿サイトに載せた作品を編集者の方が読んでくださり、声をかけていただいたのをきっかけにギャグ漫画でデビューしました。
ただ、そのギャグ漫画というのがブラックジョークを交えたもので、読者が限定される作風だったんです。そういったブラックな部分を抑えて多くの方に読んでもらえるようなものをと思い『ふうふの日記マンガ』を描くようになりました。
――『ふうふの日記マンガ』をSNSに投稿するようになって反響はいかがでしたか?
カレーとネコ:最初はTwitter(現X)で投稿していて、今までと真逆の作風という事もあり、一桁いいねであまり反応も無かったのですが、絵柄や方向性が固まってきた頃には徐々に反応も増えていきました。その後1年遅れでインスタグラムにも投稿をはじめたのですが、そちらでもありがたい事に読者さんが増えて、多くのコメントをいただけるようになりました。男性で僕のような夫婦の漫画を投稿する人は少ないので、珍しさもあったのかなと思います。
――ネットで知り合い遠距離恋愛を続けてきたお二人ですが、結婚までの道のりは大変だったのではないでしょうか?
カレーとネコ:個人ホームページが流行していた時代に、自分のサイトへ漫画を投稿していたのですが、そこに感想をくれたのが妻でした。それから少しずつやりとりが増え、一緒にネットゲームをするようになった頃、妻が大阪へ来るという事で、その時初めて会いました。
付き合い始めてからは遠距離でしたが、LINEなどで毎日連絡をとったりしていました。僕が仕事の都合で東京へ引っ越し(またすぐ大阪へ戻りましたが)、遠距離ではない期間もあったりしたので、僕の物事を重く受け止めない性格も相まって遠距離を乗り越えた感はあまりないんです。「気づいたら結婚してた」というのが正直なところですね(笑)。
――今回の電子書籍では、おまけマンガとして妻さんも執筆されています。お二人とも漫画描きであるという共通点も気が合うポイントだったりするのでしょうか?
カレーとネコ:そうですね。やっぱり同じ趣味で理解があることはとても大きいと思います。妻も前から漫画家を志していて、今回おまけマンガという形ではありますが、妻が漫画家デビューを叶えられてとても嬉しく思います。2人でひとつの漫画を作るという事で相談し合ったりといった過程も楽しかったですね。
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2人が出会ったきっかけは、カレーとネコさんが公開した漫画に妻さんが感想を送ったこと。もともと漫画が繋いだ縁だけに、夫婦の日常を漫画化するのは2人にとって自然な流れだったのかもしれませんね。 しかし、そんな彼らの日常に、少しずつ「不穏な足音」が聞こえてくるのです...。
取材・文/宇都宮薫