高齢者が増える一方の現代社会、さまざまな介護用品が市場に出回っています。でも「どんな意図で作ったのか」「使ってみて実際どうなのか」が分からず、購入に迷っているかたや、ユーザーの意見を知りたいかたも多いのではないでしょうか。
そこで「毎日が発見」編集部がオススメしたい介護グッズをピックアップし、製品開発者の思いなどを紹介します。今回は点眼瓶を正しい位置に固定できる点眼補助具を取り上げます。
正しい位置で楽に点眼ができる補助具
目薬をさす際に、手がぶれてしまったり、腕が思うように上がらなくて、うまく点眼ができずにお困りの方がいらっしゃると思います。今回ご紹介するのは、1914年に創業し、ガーゼやマスクなどの医療用品を製造販売するメーカー「川本産業」が開発した「らくらく点眼」です。これは「目薬がうまくさせない患者さんのために何かできることはないか」と病院に意見を伺いながら作られた、点眼瓶を正しい位置に固定できる補助具です。一番最初に作ったのは20年前だったそうです。
「らくらく点眼」(写真左)と「らくらく点眼Ⅲ」。
緑内障の患者さんをサポートするために考案
緑内障を患っている方は毎日数回点眼する必要があります。「緑内障」の患者さんが苦痛を感じることなく、点眼できるような製品をつくりたいと考えました。実際に病院へ行って、看護師や薬剤師のかたに困っている点を伺ったところ、「1回できちんと点眼ができない」「瓶の先端が眼球に触れてしまう」「点眼瓶がつまみにくい」ことから、点眼が面倒になってしまうことが分かりました。そこで、処方箋点眼液専用で、正しい位置に固定できることを目指して製品作りに着手し、「らくらく点眼」を作りました。目の周りにフィットする形状で、点眼瓶を差し込むだけの簡単な補助具です。
「らくらく点眼」500円+税。
点眼瓶を穴に差し込むだけの便利さ。清潔感を重視し、分解して洗うことができる。
さらに、幅広い点眼瓶に適合するよう「らくらく点眼」を2014年に改良しました。差し込み部分は使用しやすいやわらかいシリコン素材で、カーブで丸みを持たせているので目の周りに優しくフィットするのが特徴です。使用してみると点眼薬が固定されているので、ぶれることなく安定して点眼することができました。点眼でお悩みの方は、ぜひお試しください。
※処方された点眼瓶に限る。ただし形状により一部合わないものもある
軽く握るだけで点眼できる「らくらく点眼Ⅲ」
握力が弱いので、点眼液を押せないという声が上がり、軽く握るだけで点眼できる「らくらく点眼Ⅲ」を2008年に開発。この製品は、点眼瓶を取り付けて、正しい位置に固定後、軽く握るだけで点眼できる構造となっています。カラーにもこだわり、できるだけ多くの人に見分けやすいカラー「ブルー」にしました。
※処方された点眼瓶に限る。ただし形状により一部合わないものもある
「らくらく点眼Ⅲ」800円+税。
カップを開けて点眼瓶を取り付けるのみ。目に当てて軽く握るだけで楽に点眼可能。
本体の窓から点眼瓶を見れ、使用量も分かる。
天然アロマが香る手指消毒剤「ステア®ジェル」
そのほかにも川本産業はさまざまな製品を作っていますが、なかでもおすすめしたいのが、天然アロマが香る手指消毒剤「ステア®ジェル」です。これはジェルを手指にすり込んで消毒するものですが、すり込むと配合されているアロマがふんわりと香るもの。さらに手に優しい保湿成分が配合されていて、べとつきにくく、サラッとした使用感になっています。容器もバッグに携帯しやすい小さなサイズとなっています。
「ステア®ジェル」60ml 500円+税。香りはリフレッシュアロマとリラックスアロマの2種類。消毒薬特有のにおいがなく、天然アロマのふんわりよい香りがします。
川本産業 商品開発部 粟飯原(あいばら)加奈さん。「少しでも楽に点眼できるようお手伝いが出来ればうれしいです」
取材・文/中沢文子 撮影/吉澤広哉