高齢者が増える一方の現代社会、さまざまな介護用品が市場に出回っています。でも「どんな意図で作ったのか」「使ってみて実際どうなのか」が分からず、購入に迷っているかたや、ユーザーの意見を知りたいかたも多いのではないでしょうか。そこで「毎日が発見」編集部がオススメしたい介護グッズをピックアップし、製品開発者の思いなどを紹介します。今回は介護している方のための、骨盤と骨盤周りの筋肉をサポートするインナーを取り上げます。
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介護している方などの声をもとににインナーを開発
介護をしている人、立ち仕事が多い人の中には腰の痛みに悩まされている人が多いもの。予防のためにコルセット・腰サポーターなどを利用しているものの、付けていてもずれてしまったり、蒸れてしまったりして、仕事がしづらいという声がよく聞かれます。そこで、これまでさまざまなゴム製品を作ってきた「ダンロップホームプロダクツ」がサポートインナー「ナチュアシスト」を開発しました。
サイズはSM(ヒップ82~95cm)、ML(ヒップ87~100cm)の2種類あり、色はベージュのみ。ナチュアシスト5,500円+税。
骨盤の角度、メッシュベルトなど随所にこだわりを
製品化するにあたり、悩んでいる方にどんなサポーターが欲しいかを調査し、ベルトとショーツの一体型を目指すことにしました。
ただ腰を締めるだけでなく、サポートすることになると、「締める+骨盤の角度」が大切。さらに角度をキープするためには、骨盤周りの筋肉のサポート感が必要だということがわかりました。そこでこれまでの経験を生かして天然ゴムを編み込んだ幅広メッシュベルトを素材に採用し、ソフトな感触ながら骨盤をしっかりホールド。また、下腹部分にパワーネットを配置することで腹筋を意識させたそうです。
下着のラインが出にくいよう生地の厚さを1.7mmに
骨盤の筋肉、太ももの筋肉、腰の筋肉を支えるにはテーピングが重要のため、伸縮素材によるテーピング縫製に。テーピングの角度に関しては、スポーツ科学の考え方を基に研究して進めました。
1日履いていても快適に過ごすには血行障害にならないよう40hPaを超えない圧着が大切といいます。そのため、骨盤周りの圧着は28.4hPaに。また、生地に関しても通常の女性下着のようにしっとり肌触りのいいものを採用し、下着のラインが出にくいよう裾は切りっぱなしにしたうえ、厚さを1.7mmまでに抑えました。
例えばストッキングは通常5.5hPa、他社の骨盤ショーツは16.5hPaなので、28.4hPaの圧着は骨盤周りをしっかりしめていることが分かります。
厚さを1.7mm。女性ショーツのようにやわらかくしっとりした薄手の生地を使用しています。
モニターの試着により、骨盤がサポートされていることを実証
国際姿勢協会の姿勢測定器を使用し、実際にモニターにインナーを履いてもらい姿勢と骨盤の角度の測定を実施すると、装着後は、中位の8~10度の角度に変化したそうです。さらに、ゴルフクラブ開発でも使われているスイング解析システムでも、骨盤周りや太ももなどがきちんとサポートされていることが実証されました。
利用者からは「姿勢がよくなった」「コルセットと違ってズレあがらないのがうれしい」「腰が支えられているのが分かった」などさまざまな声が寄せられました。
編集部でも試着したところ、ほどよいフィット感なのに、腰回りがしっかりサポートされ、腰のすわりのよさを感じました。そのうえ、生地もやわらかくて履き心地がよく、パンツをはいても外にラインがでないので、安心して履いていられました。
腰痛の不安を抱えている方、このショーツで、自分の腰をいたわってあげてはいかが?
商品開発室島田菜実さん。「みなさんの腰の痛みの軽減に役立てばうれしいです」
取材・文/中沢文子 撮影/吉澤広哉