高齢者が増える一方の現代社会、さまざまな介護用品が市場に出回っています。でも「どんな意図で作ったのか」「使ってみて実際どうなのか」が分からず、購入に迷っているかたや、ユーザーの意見を知りたいかたも多いのではないでしょうか。
そこで「毎日が発見」編集部がオススメしたい介護グッズをピックアップし、製品開発者の思いなどを紹介します。今回は食べこぼしが気になる方が外出先でおしゃれに付けられるエプロンを取り上げます。
たまには外出して食事したいけれど、こぼしてしまうので出られなかったり、一緒に出かけられないとお困りの方、いらっしゃいませんか。そんな方におすすめしたいのが、フットマークの「うきうき®シャツエプロン」です。これは、「外出先で、介助する人も介助される人も笑顔になり、人目を気にすることなく付けられるエプロン」をテーマに作られました。
うきうき®シャツエプロン3,200円(税別)/フリーサイズ(幅44×丈59㎝、首周り35~47㎝)
そもそもフットマークは、赤ちゃんのおむつカバーやリュックサックをはじめとするゴム布製品の製造を目的に、1946(昭和21)年創業しました。その後、近くに住む方から高齢者を介護するためにおむつが欲しいという要望があり、防水布地から大人のおむつカバーを作り、介護事業を開始しました。
リニューアルを重ねて現在の形に
開発にあたっては、外出先でエプロンとは分からないよう洋服感覚でつけられるデザインにこだわりました。とはいえ、機能的でないと意味がないので、綿生地の間に防水加工を施し3層構造にしました。また、すぐ身につけられるよう首の部分に面ファスナーを採用したほか、こぼした食物をキャッチできるポケットを表に取り付けました。
次に、軽量で、乾燥機にかけても傷まないエプロンにして欲しいという声があり、リニューアルすることになりました。生地はインクジェットプリントでナイロンにはみえない水をはじき、速乾性のあるものに。女性は丸いえり、男性はきりっとしたえりを付けました。
ポケットは裏付けにして、食事の際に表に出せるように。また形状記憶テープがついているので自由に形状を変えられる。
首は取り外しがしやすいよう面ファスナーに。
さらに、「ポケット内の隅の汚れが落ちにくい」、「外出の際に上着を羽織ってエプロンとわからないようにしたいのでポケットを工夫して欲しい」などの改良の要望がありました。そこで、ポケットを裏付けにして、食事の時に前に出せるようにしましたほか、こぼした食物がたまらず洗濯しやすい構造にしました。ポケットの入口には形状記憶テープをほどこし、自由に形作れるようにもしました。また、カラーは水玉柄の紺色など4色の他、冠婚葬祭でも身につけられる黒白の2色も作り、男女兼用でつけられるきりっとしたえりのタイプにしました。
男女兼用で身につけられるよう水玉をはじめ落ち着いた色彩と柄に。
撥水加工と分からない綿のような素材を採用しているため、水をはじきやすいうえに通気性がよく乾きも早い。
結婚式などでつけられるエプロンが欲しいという声から白と黒も作ったそう。
エプロンとは分からないおしゃれなエプロンも
「介護状態ではないが、食事中にこぼしてしまい洋服の汚れが気になる」という声から、Table withエプロンを発売。男性はベストタイプ、女性はプリーツタイプで、エプロンとは全く分からないのが特徴。ベストタイプには200年の歴史ある「播州織」を使用。プリーツタイプは「軽くて、おしゃれなエプロンがほしい」とのリクエストもあり、ストール感覚で身につけられるように創意工夫されています。両方ともに、特殊加工を施すことで洋服に汚れが浸透しにくくなっているうえ、洗濯機の使用可能となっています。
Table with 男性ベストタイプ5,300円(税別)は丈66cm×幅39.5cm(写真左)、女性プリーツタイプ5,000円(税別)は丈145cm×幅20cm。ぐるりと首に巻くなどアレンジ自在。
Table withエプロンを着用していますが、男性も女性もエプロンを付けているように見えません。
フットマーク ヘルスケア部 岩下恵美さん(写真左)と広報室 吉河祐子さん。
「常にお客様の声を第一に作ってきました。これからもその精神を忘れずに取り組んでいきます」
取材・文/中沢文子 撮影/吉澤広哉