やる気に火がつく「5秒の儀式」で長期タスクに手をつけろ!/発達障害の仕事術

pixta_13123277_S.jpg仕事や人間関係がうまくいかない...「もしかして自分は大人の発達障害なのでは?」と悩む人が増えています。しかし、その解決策を具体的に示した本は少ないのが現状です。

本書『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』は発達障害の当事者が、試行錯誤と度重なる失敗の末に身につけた「本当に役立つ」ライフハック集。うつでもコミュ障でも、必ず社会で生き延びていける術を教えます!

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「手をつけられない」を5秒で解決する「儀式」

「やるぞァァァ!」で済ませてきたあなたへ

例えば、プロジェクト単位の仕事や資格試験の勉強のように数カ月~1年で終わらせるべきタスク......鬼門です。これが完璧に管理できるなら、人生大体うまくいくよ、くらいの難易度があります。

とりあえず皆さんの長期タスクに対する基本的なプランについてですが、僕は詳しいですよ。まず、「よっしゃやるぞ!」って思いますよね。そして、おもむろに期間の3割~半分程度をドブにぶっこみますよね。期間の2割程度を空費したあたりから焦燥感が発生し、長期タスクに手をつけることがますますイヤになってくる一方、それが気がかりで日常生活にも支障が出てきます。

「やらなきゃ。でもまだ時間あるし......やらなきゃ......」。そして、残り時間が半分~3割を切ったあたりでおもむろに「やるぞァァァ!」みたいな気持ちを起こし、いいほうのシナリオでは過集中がガンガン発生し、細かいことはよくわからないけど成果は出た、という感じになります。

悪いシナリオは特に記述しなくてもいいですよね......。

結局、「何かわかんないけど何とかなった」みたいなことになっても、再現性は基本的にないので、いつもそうなるとは思わないほうがいいでしょう。何とかなることがないわけではないですが、何ともならないときは何ともならないものです。しかし、あの「何とかなった!」は常習性があるんですね。1回成功体験を作ると、確実に「癖になる」のです。皆さん、思い当たる節はありませんか。ありますよね。

 

何が何でも手をつけるために

僕らの人生、「何かやる気がどうしても出なかった」というあれがなければたいていうまくいくのではないでしょうか。長期的にモチベーションを維持し、一定の作業効率を維持するというのはそれだけ難しいことで、実際問題これが100%できる人間なんてまずいないでしょう。

しかし、僕も少しずつではありますがこれに対応する方法を覚えてきました。まず、第一ですが「とりあえず手をつける」がとても重要な概念です。例えば長期の休養期間(という名のダラつきタイムなど)を挟んでしまい、作業効率が再度低下し、予定も大崩れしてしまった。これは本当によくあることだと思います。

モチベーションが低下した状態から再びタスクの処理に戻る場合ですが、邪魔者が山ほどいると思います。机の上は片づいていないし、メールは返していないし、洗濯物も溜まっているでしょう。それらに触ったら終わりです。わかりますね?

僕がよくやっている机の上を5秒で片づける「儀式」を伝授しますので、よく覚えておいてください。

(1)まず机の上に腕を置きます。
(2)次に、その腕を右もしくは左に大きくスライドさせます。
(3)大量に物が落下しますが、作業スペースだけは確保できるはずです。後から拾えばいいんです。

このハックは、「やってやったぜ!」という爽快感がすさまじいです。「俺はここまでしてやるのだ」という脳の中に湧き出すあれが、あなたの手を動かします。

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どうすれば「ハマる」状態を作り出せるのか

長期タスクをやり遂げる第二のポイントは、「ハマる状態を作り出す」ことです。長期タスクは取り掛かった序盤が圧倒的に苦しいです。作業効率は悪いですし、全体像も見えないまま、とにかく手を動かさなければならない。進捗も達成感もほとんど感じられないでしょう。それを突破して、全体の見通しが立った段階を僕は「千里の半ば」と定義しています。

とにかく、この千里の半ばまで到達することが一番大事です。僕や皆さんが心ならずも爆死した長期タスクを考えてみると、たいてい「半ば」まで到達していないと思います。逆に言えば、「半ば」までやり込んでいたなら「今さら後に引けないんだ、すでに時間と金をぶっこんでしまったんだ......」というあれが発生しているはずですし、やめるのもそれはそれで難しいはずです。

この心理を利用することで、意図的に「ハマる」を作り出すことができます。皆さんはギャンブルをしたことがありますか。例えば、パチンコなんかをやったことがある人はわかると思いますが、人間が強力なモチベーションを手に入れるのは「取り返したい」というときです。「欲しい」という感情より「取り返したい」という感情のほうが、何十倍も強いのです。

卑近な喩えで恐縮ですが、パチンコで3000円負けているときに携帯電話が鳴り、気の置けない友人から楽しい飲み会の誘いが入ったら、僕はおそらくパチンコを打ち切ってもっと楽しい飲み会に出ると思います。しかしこれが3万円負けている状態だったら、自分の判断がどうなるかは自信が持てません。ギャンブルは負ければ負けるほど、「損失を取り返したい」という心理が強くなるのです。

そういうわけで元来衝動性が強く、依存に陥りやすい僕は現在ほとんどギャンブルをやらなくなったのですが、この「悪しき習性」を良い方向に利用することが可能であることに気づきました。いい意味での「サンクコスト効果」と言ってもいいかもしれません。

これを具体的なメソッドに落とし込むにはどうしたらいいか。簡単です。パチンコは500円ずつの投資がどんどん積み重なって、ついに後に引けない額になる。これと同様に、毎日、あるいは毎週少しずつコストの投下を繰り返していくのです。これは金銭的コストと労力的コストの両方を含みます。というよりは、この2つを組み合わせることでより効果的に強化することができます。

例えば、参考書を買い揃えるなら一時に全てを購入するのではなく、1冊ずつ揃えていく。また、学習も思い立って1日丸ごと勉強するのではなく、1日 30 分だけやる。ほとんどそれが無為に終わったとしても、繰り返すことが重要です。

 
【まとめ】
・仕事を始めるときは、「儀式」をうまく使え
・とにかく、「千里の半ば」までやれ。そうすれば自然にやめられなくなる

 

次の記事「人の名前が覚えられない? ならば「あだ名」で紐づけしよう!/発達障害の仕事術(20)」はこちら。


借金玉(しゃっきんだま)

1985年生まれ。診断はADHD(注意欠陥多動性障害)の発達障害者。幼少期から社会適応が全くできず、登校拒否落第寸前などを繰り返しつつギリギリ高校までは卒業。色々ありながらも早稲田大学を卒業した後、何かの間違いでとてもきちんとした金融機関に就職。全く仕事ができず逃走の後、一発逆転を狙って起業。一時は調子に乗るも昇った角度で落ちる大失敗。その後は1年かけて「うつの底」から這い出し、現在は営業マンとして働く。


 

『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』

(借金玉/KADOKAWA)

社会生活がうまくいかず苦しむ「大人の発達障害者」が増えていると言われる現代日本。発達障害によって30歳を前に人生をほぼ破たんさせかけた著者が、試行錯誤で編み出した「発達障害者のため」の今日から使えるライフハックを多数紹介! 仕事や人間関係がうまくいかない全ての人のための「日本一意識が低い」自己啓発書です。

この記事は書籍『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』からの抜粋です
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