一日中同じ格好。寝間着も外着も境目がない状態に。認知症に気づくまで/うちの親にかぎって!

こんにちは、松風きのこです。10年前のお正月、風邪で寝込んでいた母が、一気に老け込んでしまった話を前回書きました。手入れをする気力もないのか髪も顔もカサカサのシワシワ。もう体調は戻ったはずなのに何もかもやる気がなくなり、ふさぎ込んでいるのです。

前の記事「「あんなにオシャレだったのに...お母さんどうしちゃったの!?」認知症に気づくまで/うちの親にかぎって!」はこちら。

 

初孫の誕生という人生の一大事に寝込んでしまったことで、名実ともに一気におばあちゃんに。

認知症やうつなどは、何かショックなことやストレスがきっかけになると聞いたこともあります。でもきのこ母の場合は逆に、人生最大といっていいくらいうれしいはずのことでした。10年前に起きたこと。それはちょうど妹が子どもを産んだ年、つまり母にとっては初孫誕生という喜ばしい一大事...のはずでした。

妹も東京に住んでいて里帰り出産はしなかったので、母は世話をしに上京する予定だったのですが、そんな矢先に風邪をこじらせ、初孫に会うのもおあずけに。
なにより「娘の大事な節目に母親として何の手伝いもできなかった」ことを悔やんでいました。しかし妹はあっけらかんとしたもので「ぜーんぜん平気!もともと世話してもらおうなんて思ってなかったから東京で産んだんだし」となぐさめたらしいのですが、母はすっかり気落ちしてしまったのです。

お正月だというのに起きてもずーっと寝間着のまま。昼になっても、いや一日中そのまんま...。初詣に行こうというと、その上から重ね着しようとするので、着替えないの?と聞くと、「いいのよ、誰にも会うわけじゃないんだから」と。それまでは家の中でも、いつ誰が来てもいいような、すぐにでも外出できる格好、いや、むしろどこに行くの?っていうくらいキチンとした格好をしていたのに。
それまでは私が一日中部屋着(というか正直に言いますパジャマです)でいると、「だらしない!」と怒られていたのに。

じつはそれまでの母は白髪もシワも少なく、童顔で体型も20代から変わっていないという、娘の私が言うのもナンなのですが、かなり若く見えるタイプだったのです。それがたったの数ヶ月で、押しも押されぬ立派な(?)おばあちゃんに! マリー・アントワネット*かっ!?(*フランス革命の心労で、わずか数ヶ月で総白髪になったといわれている)

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その後、鬱々とふさぎこむことが多くなったので、これはもしかして「うつ」というやつかなあ? と心療内科をすすめたのですが、そういう病院に行くのは恥ずかしいことのように思うらしく、また車で連れて行く父にも"心の病"というものに偏見があるようで、少し通っただけで止めてしまいました。そもそも母ひとりで病院に行けない、ということにも疑問を感じていませんでした。田舎で交通の便も少ないし、少し歩いただけでも足だの腰だのが痛いと言うので"面倒だからしたくないのだろう"くらいに考えていて、"バスや電車に乗れなくなっている"とは気づいていませんでした。

まさかその時すでに認知症の影が忍び寄っていたなんて、認知症の兆候のひとつに「うつ」があるなんて、つゆとも思っていなかったのです。


次回に続く。

 

イラスト/にのみやなつこ

松風きのこ(まつかぜ・きのこ)さん

大学進学で上京し、広告制作会社でコピーライターを経験したのち、広告、雑誌を中心としたフリーライターに。父(82歳)母(81歳)は福岡在住。5年前、父が頸椎の手術をしたのを機に、それまで年に1週間程度だった帰省を3~4ヵ月間に増やし、さらに母が認知症と分かったため、東京と福岡を往復しながら遠隔介護中。母が認知症だとは気づかずに過ごした数年の間に、周囲がみんな逆効果の対応ばかりしていたことに思い当たり、この体験記を書くことに。

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