考えがとっちらかったら...「大きな紙」に思いをぶつけて現状打開!/発達障害の仕事術

pixta_38370561_S.jpg仕事や人間関係がうまくいかない...「もしかして自分は大人の発達障害なのでは?」と悩む人が増えています。しかし、その解決策を具体的に示した本は少ないのが現状です。

本書『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』は発達障害の当事者が、試行錯誤と度重なる失敗の末に身につけた「本当に役立つ」ライフハック集。うつでもコミュ障でも、必ず社会で生き延びていける術を教えます!

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前の記事「予定もメモも! 情報は「1つの物」に集約すれば「忘却リスク」を回避できる/発達障害の仕事術(14)」はこちら。

 

◆アイデアを出すときは 「大きな白紙」を用意しよう

アイデアノートは大きければ大きいほどいい

発想を書き留めたり、思考したりするためのノートに関しては、僕には手帳とは全く別の原則があります。ノートは大きければ大きいほどいいです。僕は、何かを書きながら考えるときには大判のスケッチブックを使います。よく美大生が持ち歩いているあれです。この本のプロットも、まさにそのスケッチブックに書いています。

実は「小さくて携帯性の良い手帳」に「大量のメモ欄」を求めるのは、この項で説明する内容と大きく関係しています。手帳に関して、携帯性は譲れないがそれでも大量のメモ欄が欲しい、その理由についてのお話です。

ADHDである僕の思考は、非常にとっちらかっています。この文章のように整然と右から左へ、あるいは上から下へ流れていくものではありません。ひとつの発想が幾重にも分岐し、また回帰し、絡み合いながら広がっていく思考の形態には、ノートの罫線は邪魔以外の何物でもなく、また通常のサイズではその広がりを受け止め切れません。「大きな白紙」こそが、思考を広げていくのに最も適しているのです。

僕にちょっとだけ良いところがあるとしたら、それは「アイデアマン」であるということと、計画立案をするのが非常に得意ということです。「こんなビジネスで儲けませんか?」という話をデッチ上げることに関して、あるいは「こんなやり方はどうですか?」と提案することに関して、僕は幸いに一定の評価をいただいています。ただでさえ欠点まみれの人間なので、わずかな利点は生かし切っていく必要がある。そうは思いませんか?

では、それを具体的にどうするか。僕はこの本を書くに当たって、まず白紙のド真ん中に「生存」と書きました。その「生存」から矢印を引いて、「どんな風に」と書きました。そこから「人間関係」「仕事」「生活習慣」「依存」といった概念が生まれました。そこからさらに、この本の各章に書き並べたハックに細分化していきました。

僕の脳は、とにかくさまざまな思考や発想が同時並行的に渦巻いています。これはADHD傾向の皆さんに一般的に見られる傾向だと思います。だから僕は、「喋りなさい」と言われたら無限に喋り続けることができる人です。ひとつの発想が別の発想につながり、またそれがさらなる発想につながる。思考が次から次へと連鎖していく速度と飛距離こそ、僕の数少ない優れたところです。ADHDの方にはこれが得意な人がやはり多い気がします。

しかし、この能力にはひとつとても大きな欠陥があります。自分が何を考えていたのか思い出せなくなる、ということです。ややもすると、単なるハイスピードカラ回りになってしまう。この本を読んでいる皆さんなら、考えれば考えるほど回し車の上を泣きながら走るような気持ちになった経験、ありますよね?

これを防ぐためには、外部記憶媒体に記録を残す以外の方法はありません。会社を経営していた頃は、僕がひたすら喋り続け、部下がその記録を取り続け、一定の時間でやめて最後にその記録を2人で見返しながら具体的な計画に落とし込むという方針を採用していましたが、1人でこんなことを行うのは到底不可能です。

かと言って、「ノートをまとめる」というのも非常に難しいのです。奔流のような思考は、ノートに書き留める手のスピードを大きく上回ります。また、僕の思考は積み上げるというよりはあっちこっちに飛び散ってまた戻ってきて、を繰り返す性質があります。それは、整然とした形にまとまるものでは決してありません。

そこで冒頭のハックになります。大きな紙に、発想が連鎖するままに矢印で単語や短い文章を連ねながら360度広げていくのです。「型にはまらない発想」と言えば聞こえがいいですが、実際のところアウトプットの奔流を制御できていないだけです。しかし、その奔流の中から使えるものを拾っていく以外に、この使い勝手の悪い脳を活用していく方法はありません。

具体的に、「この本のドラフト」の写真を添付しますので、大変汚いものでお目汚しかと思いますが、ご参考にしていただければと思います。

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人生に苦しんだときにも、白紙のスケッチブックが使える

そしてもうひとつ。もし、あなたがこの「大きな白紙に360度思考を広げる」のであれば、その中心になる言葉(この本の場合は「生存」です)は、可能な限りポジティブなものにすることをおすすめします。例えば、僕が会社経営で追い詰められたときには、いつも白紙の真ん中に「打開」と書くところから思考を始めました。そこから、資金繰りであるとか人繰りであるとか、赤字事業の損切りであるとか、新しい借り入れの計画とかに思考を広げていくのです。

僕の会社経営の後半は非常にしんどいもので、「現状をとにかく把握してひとつひとつ打開策を考えよう」と心に決めるだけでもストレスで吐いてしまうような状態でした。自分の会社の現状の問題点を箇条書きにするなんていうのは、本当に地獄のような作業です。

しかし、まずは「打開」という概念を中心に据え、そこから思考をひとつひとつ広げていく。これならば、「もうダメだ」「こんなことになったのは全部僕が無能だからだ」「こんなことをするべきではなかった、もう死んでしまいたい」みたいな思考をある程度追い払うことができます。

皆さんが人生に苦しんだとき、ぜひ試して欲しい思考の広げ方です。僕は「打開」が好みですが、ここは皆さんのお好みのポジティブな言葉から始めればいいでしょう。僕は辛いことがあるたびに、人生に迷うたびに、いつもこの「儀式」を行っています。白紙が文字で埋め尽くされる頃には、頭の中が整理されて次に取るべき行動が見えてくる。とてもおすすめできるハックです。

そして、このハックにも「集約化」「一覧性」(なるべく大きい1枚の紙に書く)、一手アクセス(全ての情報が一目で見通せる)が見て取れることに注目していただきたいと思います。

あの3原則は、具体的な「道具」に留まらず、抽象的な「思考」などにも適用可能なのです。

 

【まとめ】
・アイデアノートは大きいほどいい
・ノートはきれいに取るな。思いつくまま書きなぐれ
・人生に迷ったら、白い紙の中心に「打開」と書こう。必ず解決策が見つかる

 

次の記事「「片づけられない物」は「本質ボックス」にぶっこめばすっきり解決!?/発達障害の仕事術(16)」は近日公開。


借金玉(しゃっきんだま)

1985年生まれ。診断はADHD(注意欠陥多動性障害)の発達障害者。幼少期から社会適応が全くできず、登校拒否落第寸前などを繰り返しつつギリギリ高校までは卒業。色々ありながらも早稲田大学を卒業した後、何かの間違いでとてもきちんとした金融機関に就職。全く仕事ができず逃走の後、一発逆転を狙って起業。一時は調子に乗るも昇った角度で落ちる大失敗。その後は1年かけて「うつの底」から這い出し、現在は営業マンとして働く。


 

『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』

(借金玉/KADOKAWA)

社会生活がうまくいかず苦しむ「大人の発達障害者」が増えていると言われる現代日本。発達障害によって30歳を前に人生をほぼ破たんさせかけた著者が、試行錯誤で編み出した「発達障害者のため」の今日から使えるライフハックを多数紹介! 仕事や人間関係がうまくいかない全ての人のための「日本一意識が低い」自己啓発書です。

この記事は書籍『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』からの抜粋です
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