仕事や人間関係がうまくいかない...「もしかして自分は大人の発達障害なのでは?」と悩む人が増えています。しかし、その解決策を具体的に示した本は少ないのが現状です。
本書『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』は発達障害の当事者が、試行錯誤と度重なる失敗の末に身につけた「本当に役立つ」ライフハック集。うつでもコミュ障でも、必ず社会で生き延びていける術を教えます!
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大学時代は、全ての授業を大判の分厚い1冊のノートで記録していました。大学はさすがに授業の記録を一切保存しない方針では単位が取れませんので、ノートは読み返さなくていいやというわけにはいきません。
この方法なら、あらゆる情報がグチャグチャに混ざり合ってはいますが、とにかく1冊のノートにまとまってはいる。気合を入れれば吸い出すことは可能です。これが僕にできることの中ではベストだったのです。
通学かばんの中に常に入れっぱなしにしておけば、忘れる心配も少ない。大判ノートなので、家で使うことがあっても紛失しにくかったです。大学4年間でノートを紛失したことは一度もありませんでした。かばんそのものは2回紛失しましたが......。これは、3原則の「集約化」のみを行っていた状態と言えるでしょう。しかし、これだけでも世界は大きく変化しました。おかげで、僕はそこそこ良いと言える成績で大学を卒業できました。このハックに気づかなかったらどうなったか、考えるだけでも恐ろしいです。1年目はこのハックに気づかず、かなり悲惨な成績になりましたし......。
メモはどのページに書いてもいい
手帳に情報を書き込むときは、「可能ならメモ欄の最新のページ、でも余裕がない状態なら最悪どこに書いてもいい」という覚悟で使います。この程度のページ数の手帳なら、「どこかに情報がある」という前提で探し出せます。「とにかく情報を書き込む」ことが重要です。このハードルを上げると僕は情報を書き込まなくなるので。「美しく書こう」なんていう感覚は論外です。
この「美しく書く」罠にハマってる人、結構いると思います。僕は補習塾の講師をやっていたこともあるのですが、ノートが非常にきれいな子は成績があまり芳しくない傾向にありました。おそらく「きれいにノートを取る」ことにメモリの多くを費やしているのです。「読めりゃいいんだ、そんなもん。というか、読めなくてもいいんだよ。君がノートを読めないときに教えるのが僕の仕事なんだから。とにかくゴリゴリ書け!」と指導するだけで変化が生まれる子が結構いました。
芸術的なノートを取った結果、破滅的な点数を取る子供は案外います。あれは一番辛い話です。「手帳」も結構この傾向があります。僕の友人に遅刻魔の発達障害者がいましたが、おそろしくきれいに予定を手帳に書き込んでいました。おそらく、ASD的なこだわり傾向が結果につながっていなかったのだと思います。
読めればいいし、最悪読めなくても書き込まれていないよりはいい。書いてさえいれば記憶には残りやすいですし、グチャグチャの字も必死で読めばいくらかの情報を読み取れるかもしれません。少なくとも、そこに「思い出すべき情報があった」ことだけは記録に残っています。後は、大急ぎで電話して「すいません、もう1回教えてください」でOKなんです。
大体の情報は「申し訳ございません」で回収できるのです。
【まとめ】
・手帳は胸ポケットに入るサイズを買え
・仕事もプライベートも、絶対に全てを1冊に書き込め
・汚くても読めなくてもいいから、とにかく書け
次の記事「考えがとっちらかったら...「大きな紙」に思いをぶつけて現状打開!/発達障害の仕事術(15)」は近日公開。