「もやしっ子」という表現も相まって、栄養がないイメージのあるもやしですが、実はビタミンCやB1、B2、カリウムなどが含まれ、食物繊維も豊富。しかも低カロリーなので、ダイエットや生活習慣病の予防にもぴったり。今回は、管理栄養士で料理研究家の村上祥子(むらかみ・さちこ)さんに「意外と知らない、もやし」について教えてもらいました。
緑豆もやし(写真右上)
春雨の原料でもある緑豆を発芽させて作るもやし。近年ではもっとも生産量が多く、一般的にもやしといえば緑豆もやしのこと。クセがなく、甘みもあって食べやすいのが特徴。どんな料理にも合いやすい。
大豆もやし(写真左上)
大豆から発芽させたもやし。豆がついていて歯応えがあるのが魅力。他のもやしに比べてたんぱく質が多いのも特徴。ナムルやスープをはじめとした韓国料理でよく使われる。他のもやしより栄養価が高い。
黒豆もやし(写真下)
原料は「ブラックマッペ」で、黒い皮が残っていることもあり黒豆もやしとも呼ばれる。シャキシャキとした食感と特有の豆の風味をもつ。細いのも特徴で、加熱してもしんなりしにくい。ビタミンCが多い。
意外と栄養が豊富
もやしというのは実は、緑豆や大豆などの豆や種子を発芽させた若芽=スプラウトの総称です。「もやしっ子」などと言われて、ひょろひょろとした見栄えから栄養がないような印象ですが、発芽の際に栄養が増えるので、ビタミンB1、B2やビタミンC 、カリウムなどが含まれています。また、不足しがちな食物繊維も豊富。低カロリーなのでダイエットや糖尿病などの生活習慣病の予防にも役立ちます。
スープもいっしょに
もやしの栄養であるビタミンB1、B2やビタミンC 、カリウムは水溶性の栄養素なので、スープやみそ汁はおすすめの調理法です。スープや汁もいっしょに食べるようにすると、無駄なく栄養をとることができます。洗うときは水溶性の栄養が流れ出ないように、サッと洗うだけにします。
サバ缶との相性は抜群!
ビタミンやミネラルが豊富なもやしには、たんぱく質を加えたメニューやビタミンD3が豊富な食材との組み合わせを心がけるとバランスがよくなり、もやしの栄養が存分に活かされます。特にさば缶は、100g中たんぱく質17.4g 、カルシウム260mg 、ビタミンD3 11.0μgと骨格筋作りには欠かせない優秀な食材です。もう一品というときは、ぜひもやし+さば缶のおかずを作ってみてください。
生で冷凍がおすすめ
もやしは日持ちがしない野菜です。未開封なら数日は持ちますが、開封したら翌日くらいには食べ切るようにします。水に浸けて冷蔵すると栄養価は溶け出てしまいます。食べられないときは生のまま冷凍するのがおすすめです。シャキシャキ感は失われますが、栄養は保たれ、そのまま汁物や炒め物に使えます。
《同じ仲間です》
貝割れ菜やブロッコリースプラウト、豆苗などは、全てもやしと同じ仲間です。種子や豆を発芽させた野菜で、発芽の際に栄養価が高まります。
取材・文/石井美佐 撮影/スタジオCOM(中野正景)